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3.推しの為に悪役令嬢を研究します!
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――こうなったら、もっともっと悪役令嬢の腕を磨くしかないわ!!
イザベラは先日の失敗を猛省し、そう固く心に誓ったのであった。
そして数日後――
「お嬢様……。」
メイドが青褪めた顔で見つめる先には、町娘に扮したイザベラの姿があった。
そしてイザベラが見つめる先には、市井の町並みがあった。
イザベラは後学のためと言って、メイドを連れて平民街へ見学に来ていたのだった。
貴族たるもの市民の生活を知る事は、将来の領地経営や社交界での話題作りに役に立つこともあるので、非常に良い心掛けだと思うのだが、いかんせん見学する場所に問題があった。
「ふむふむ、腰に手を当て踏ん反り返る角度は……あの位が威圧感があっていいわね……。」
「……。」
「あ、あのメイク、意地の悪さが凄い滲み出てるわ!今度、試してみましょう♪」
「……お嬢様……。」
「あ、あっちのマダムは」
「お嬢様!」
同じように町娘の姿に扮し、主人であるイザベラの行動を黙って見守っていたメイドは、とうとう我慢できなくなり声を掛けてきた。
そんなメイドに、イザベラはキョトンとした顔をしながら振り返る。
「どうしたの?」
「どうしたのではございません。市井の様子をご覧になりたいと言うのでお供いたしましたが、お嬢様は一体何を調べているのですか?」
メイドの言葉に、イザベラは瞳をパチクリと瞬かせる。
見ると、何故かメイドは青褪めた顔でイザベラを責める様な目で見ていたのだった。
しかも、イザベラとメイドから少し離れた場所で護衛をしていた騎士達も心なしか青褪めていた。
しかし、そんなメイド達に向かってイザベラは
「え?何って、悪役令嬢の研究よ。」
と、至極当たり前のように言ってきたのであった。
「な、何ですかそれは?」
主人の言葉にメイドが目を丸くしながら聞き返してきた。
そんなメイドにイザベラは、ポーチの中から一冊の本を取り出すと、得意げな顔で見せてきたのだった。
「ほら!あなたが、この前買ってきてくれた新刊の中に私が求めていた物があったの。これを見本にしてるんだけど、どうもリアリティが出せなくて……それで、実際にモデルを探した方が手っ取り早いと思って来てみたのよ。」
イザベラが見せてきた本は、学園を題材にした恋愛小説であった。
しかもこの小説、驚くほど前世でやっていた乙女ゲームの世界に酷似しているのだ。
これを発見した時、イザベラは「悪役令嬢の見本だわ!これを求めていたの!!」と大喜びし、それ以降、肌身離さず持ち歩く様になったのであった。
そんな事とは露知らず、メイドはイザベラの言葉に思わず突込みを入れる。
「モデルって……一体何のモデルですか?」
「え、だから悪役令嬢のモデルよ!あ、あの居酒屋のマダムなんか、すっごく気が強そうでいい人材じゃない?」
「お嬢様……。」
イザベラの説明に、メイドは等々頭を抱えてしまったのであった。
そんなメイドを置き去りに、イザベラは嬉しそうに市井の見学に勤しむのであった。
「ねえ、エリオット。」
「なんだい?イザベラ。」
ある時、婚約者が珍しく王子に甘えたような声で話しかけてきた。
イザベラの珍しい行動に、エリオットは嬉しそうに返事をする。
「ちょっとね、聞きたい事があるの?」
「うんうん、いいよ。なんでも聞いて!」
最近は、口を開けば悪役令嬢の事ばかり言ってくるイザベラだったが、今日は何故かいつもの可愛らしい表情で、しかも上目遣いでこちらを見てくる姿に、エリオットは内心ドキドキしながら笑顔で応じたのだった。
「その……明日、着ていく夜会のドレスの事なんだけど……。」
イザベラは、恥ずかしそうにモジモジしながら相談してきた。
その可愛らしい姿に、王子はニコニコしながら「うん」と、話の続きを待つ。
そして――
「これとこれ、どっちのドレスがいいかしら?」
そう言いながら、イザベラが選択肢に挙げてきたドレスは、どちらもドギツイ色のドレスだった。
「…………。」
エリオットは、いきなり見せられたキツイ色のドレスに一瞬目が眩み固まっていた。
笑顔のまま固まる王子に、イザベラが「エリオット?」と可愛らしく小首を傾げて訊ねてくる。
そんな婚約者に、エリオットは引き攣った口元を必死に隠しながら答えてきたのだった。
「え、ええ~と……ぼ、僕には、ちょっとドレスの事は、わからない、かなぁ~~?あは、あはははは……。」
そう誤魔化し笑いをするエリオットの目元には、薄っすらと涙が滲んでいたのであった。
イザベラは先日の失敗を猛省し、そう固く心に誓ったのであった。
そして数日後――
「お嬢様……。」
メイドが青褪めた顔で見つめる先には、町娘に扮したイザベラの姿があった。
そしてイザベラが見つめる先には、市井の町並みがあった。
イザベラは後学のためと言って、メイドを連れて平民街へ見学に来ていたのだった。
貴族たるもの市民の生活を知る事は、将来の領地経営や社交界での話題作りに役に立つこともあるので、非常に良い心掛けだと思うのだが、いかんせん見学する場所に問題があった。
「ふむふむ、腰に手を当て踏ん反り返る角度は……あの位が威圧感があっていいわね……。」
「……。」
「あ、あのメイク、意地の悪さが凄い滲み出てるわ!今度、試してみましょう♪」
「……お嬢様……。」
「あ、あっちのマダムは」
「お嬢様!」
同じように町娘の姿に扮し、主人であるイザベラの行動を黙って見守っていたメイドは、とうとう我慢できなくなり声を掛けてきた。
そんなメイドに、イザベラはキョトンとした顔をしながら振り返る。
「どうしたの?」
「どうしたのではございません。市井の様子をご覧になりたいと言うのでお供いたしましたが、お嬢様は一体何を調べているのですか?」
メイドの言葉に、イザベラは瞳をパチクリと瞬かせる。
見ると、何故かメイドは青褪めた顔でイザベラを責める様な目で見ていたのだった。
しかも、イザベラとメイドから少し離れた場所で護衛をしていた騎士達も心なしか青褪めていた。
しかし、そんなメイド達に向かってイザベラは
「え?何って、悪役令嬢の研究よ。」
と、至極当たり前のように言ってきたのであった。
「な、何ですかそれは?」
主人の言葉にメイドが目を丸くしながら聞き返してきた。
そんなメイドにイザベラは、ポーチの中から一冊の本を取り出すと、得意げな顔で見せてきたのだった。
「ほら!あなたが、この前買ってきてくれた新刊の中に私が求めていた物があったの。これを見本にしてるんだけど、どうもリアリティが出せなくて……それで、実際にモデルを探した方が手っ取り早いと思って来てみたのよ。」
イザベラが見せてきた本は、学園を題材にした恋愛小説であった。
しかもこの小説、驚くほど前世でやっていた乙女ゲームの世界に酷似しているのだ。
これを発見した時、イザベラは「悪役令嬢の見本だわ!これを求めていたの!!」と大喜びし、それ以降、肌身離さず持ち歩く様になったのであった。
そんな事とは露知らず、メイドはイザベラの言葉に思わず突込みを入れる。
「モデルって……一体何のモデルですか?」
「え、だから悪役令嬢のモデルよ!あ、あの居酒屋のマダムなんか、すっごく気が強そうでいい人材じゃない?」
「お嬢様……。」
イザベラの説明に、メイドは等々頭を抱えてしまったのであった。
そんなメイドを置き去りに、イザベラは嬉しそうに市井の見学に勤しむのであった。
「ねえ、エリオット。」
「なんだい?イザベラ。」
ある時、婚約者が珍しく王子に甘えたような声で話しかけてきた。
イザベラの珍しい行動に、エリオットは嬉しそうに返事をする。
「ちょっとね、聞きたい事があるの?」
「うんうん、いいよ。なんでも聞いて!」
最近は、口を開けば悪役令嬢の事ばかり言ってくるイザベラだったが、今日は何故かいつもの可愛らしい表情で、しかも上目遣いでこちらを見てくる姿に、エリオットは内心ドキドキしながら笑顔で応じたのだった。
「その……明日、着ていく夜会のドレスの事なんだけど……。」
イザベラは、恥ずかしそうにモジモジしながら相談してきた。
その可愛らしい姿に、王子はニコニコしながら「うん」と、話の続きを待つ。
そして――
「これとこれ、どっちのドレスがいいかしら?」
そう言いながら、イザベラが選択肢に挙げてきたドレスは、どちらもドギツイ色のドレスだった。
「…………。」
エリオットは、いきなり見せられたキツイ色のドレスに一瞬目が眩み固まっていた。
笑顔のまま固まる王子に、イザベラが「エリオット?」と可愛らしく小首を傾げて訊ねてくる。
そんな婚約者に、エリオットは引き攣った口元を必死に隠しながら答えてきたのだった。
「え、ええ~と……ぼ、僕には、ちょっとドレスの事は、わからない、かなぁ~~?あは、あはははは……。」
そう誤魔化し笑いをするエリオットの目元には、薄っすらと涙が滲んでいたのであった。
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