異世界転生したら宇宙の帝王になった件~俺は今日も最強ハーレム部隊を作ってる~

こうたろ

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第2話「逆襲の陣形」

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 フィリアが部屋を飛び出してから十分も経たないうちに、執事のベルナールが訪ねてきた。銀縁眼鏡を掛けた端正な青年で、皇族秘書の役割も担う彼は手帳を片手に深刻な面持ちだった。

「殿下。全艦隊総司令部より至急通達です。『アルカディア星域』にて我が帝国の第七艦隊が重大な損害を受けました。敵新型兵器『ネオティタン』に対抗できず……現在撤退中とのこと」

「被害状況は?」

 アヤトが鋭く問いかける。ベルナールはわずかに首を振った。

「主力戦艦5万隻が沈没。巡洋艦含めて生存率4割以下……最悪です」

 室内の空気が張り詰める。第七艦隊といえばガルグレイヴ家の精鋭部隊だ。それがここまで蹂躙されるとは尋常ではない。

「現場指揮官のアルマン提督はどうしてる?」
「重傷ですが命に別条なし。自ら殿を務めて乗組員の多くを救出したようです」

 その瞬間、アヤトの脳裏に戦略の迷路が展開される。超高速思考が無数の選択肢を刹那で吟味していく。

 ――第七艦隊を壊滅寸前まで追い込む火力……しかも統率の取れた機動。おそらく敵AIは我が軍の戦闘データを完全に学習済みだ。ならば正面突破は自殺行為……

「ベルナール。第五特殊混成艦隊を編成させろ。旗艦は《アークエターナル》。随伴艦は通常艦を極力減らし、実験中の高機動試作艦を中心に集めろ」

「しかし殿下! それでは数が……!」
「数より、だ。今の敵に旧式艦は玩具に過ぎない。あとカルナ兄さんの第二艦隊を呼んで、後方に配置して後詰めをしてもらう」

 兄の名を出すとベルナールは驚いた顔を見せた。普段兄弟で連携など滅多に取らないのに珍しい判断だと言わんばかりだ。

「承知しました。すぐに手配します」

 執事が去ると入れ違いにフィリアが戻ってきた。

「車の用意が出来ました殿下。それにこれを……」

 差し出されたのは小型のコンソール端末だった。表面には複雑なコードが走っている。

「現地からの通信ログです。暗号解読には時間が掛かりますが……戦闘映像だけは表示できます」

 画面には損傷した味方艦が次々と爆散する光景が再生される。敵新型艦『ネオティタン』の輪郭が明らかになるにつれ、アヤトの瞳孔が収縮した。

 ――銀灰色の装甲板……六基の推進装置……中央の球状コアは防御バリア発生器か?

「これは……データベースにある設計思想と根本的に違う。明らかに独創的な新機軸だ」
「恐らくは……」

 フィリアが端末を操作しながら静かに言った。

「三年前に失踪した研究主任ヴァレス博士の手によるものではないでしょうか」
「あ~……」

 記憶の引き出しを引っ掻き回す。天才エンジニアとして知られたヴァレスが突然行方不明になった事件は確かにあった。当時は事故扱いで処理されていたが……

「反乱軍に技術流出したと考えるのが妥当か。となると艦隊規模だけで押しても無駄だな」

 アヤトは玄関に向かって歩き出した。背後でフィリアが慌てて続く気配がする。

「では殿下はご自身でお乗りになられますか? 今回は私も同行致します」
「はいはい、でも……」

 アヤトは一度言葉を切る。立ち止まって向き直り、フィリアの瞳を見て話す。

「今回は乱戦だよ?」



 アヤトがブリッジに入ると、艦長のエリアル・クロフト准将が敬礼してきた。25歳という若さではあるが歴戦の兵士で、アヤトが信頼する数少ない武人だ。

「お待ちしておりました殿下。艦隊は四十八時間以内に会合地点到達可能です」
「助かる。作戦仕様書はすでに全兵に伝えてあるね?」

 エリアルはにやりと笑う。

「『乱戦作戦』の件ですよね? 皆震え上がっておりますよ。実験中の高機動試作艦にバリアントを搭載し、敵艦隊の目の前に迅速に展開。バリアントが乱戦をしている間に艦隊が包囲網を形成する……しかし、殿下もバリアントに搭乗して前線ですか。そんな危険なこと……」
「それが一番確実な方法だ」

 アヤトは前方スクリーンに投影される戦術図を見ながら淡々と言った。

「私なら乱戦中に敵AIの計算パターンを逆算できる。遅れは取らないよ……それに、そっちが迅速に包囲網を作成すれば、その分俺の危険度は下がるよ」 
「……了解致しました。では命令通り、我々は全力で殿下をお守り致します」

 エリアルは改めて敬礼した。
 フィリアは傍らで静かに聞いているが、不安げな表情は隠せない。アヤトはそっと彼女の肩に手を置いた。

「お前もちゃんと守ってよ?」
「……はい!」



 ――四十六時間後:アルカディア星域境界線上空――
 宇宙空間に漂う冷気の中、アヤトは全身青い装甲のバリアント、《ドラグーン》の操縦桿を握っていた。機体内部は魔力炉の低音が静かに鳴っている。

≪バリアント部隊、全機準備完了≫
≪了解。これから敵艦隊の索敵範囲に入る。遭遇まで三分≫

 耳元の通信機越しにエリアルたちの声が響く。

「フィリア、管制状態はどうだ?」
≪安定しています。ただし……≫

 フィリアの声がかすかに揺れた。

≪敵艦隊の密度が想定より濃いです。第六惑星軌道付近に新たに一万七千隻が確認されました≫

 モニターに拡大画像が投影される。銀色の蜂の巣のように密集した敵艦が宇宙の黒さを覆い尽くしている。

「なるほど……」

 アヤトの唇が歪んだ。

≪どうされますか?≫
「計画通り進行する。艦隊は距離を維持したまま扇形展開。バリアント隊は突入角度を十度左に修正。それと第二艦隊に伝令。暇してるでしょ?一万七千はお裾分けだ」
≪……読んでおりましたね?≫
「なんのことやら……」

 無限の魔力炉が唸りを上げ、機体の周囲に紫電の粒子が舞う。超高速思考が最適な侵入軌道を叩き出した。

「バリアント第一小隊、私に続いて……《ドラグーン》発進!」
≪了解!!≫

 11機の量産型《サラマンダー》が編隊を組んで追随する。速度は通常バリアントの三倍。しかし敵の防御ライン突破まで残り五十秒。迎撃ミサイル群が蜂の群れのように迫ってくる。

「《シールド》展開」

 《ドラグーン》の前面に半透明でヘクス状の壁が展開される。敵ミサイルはバリアに触れると同時に爆発していく。だが後続の機体に降り注ぐ弾幕は苛烈だ。

≪第二小隊、損耗率10%≫
≪第三小隊、損耗率8%≫

 報告が立て続けに入る。

 ビームライフルで可能な限り撃ち落して後方の損耗を減らす。

≪警告!敵バリアント接近!≫

 機体のセンサーが警報を発する。レーダーに現れた無数の光点。それは例の敵の新型バリアント《デーモン》だった。

「……来たか!散開!」

 数は百機以上。対する味方は四十機ほどだ。
 ――相手は高性能AIを積んでいるが学習能力が高いと聞くが、しょせんはAI。「今まで見たことのない動き」を見せればいい!

「全機に伝達!《ゼロ・サーカス》陣形を展開する!」

 敵機が肉薄するなか、《ドラグーン》を中心に十三機が複雑な三次元機動を開始した。通常の旋回軌道ではなく、零距離離脱と超加速を交互に繰り返す荒技だ。

≪きゃあぁっ!!≫
≪加速負荷が限界値を超えてます!≫

 僚機の悲鳴が通信越しに聞こえる。アヤトだけが平静を保っていた。超高速思考が重力加速度と敵機の機動予測を完璧に補正していたからだ。

「耐えろ!指示通りに……あと十秒!」

 敵AIが新たな動きに対応しようと演算する僅かな隙。その隙を突いて《ドラグーン》が右斜め上方へ。《デーモン》の射線を潜り抜けると同時に背部のランチャーから小型ミサイルを放射した。精密誘導された八発が敵陣の中心で炸裂する。

≪命中確認!敵小隊壊滅!≫

 間髪入れずに軌道を変え、今度は小刻みなステップで敵の側面へ回り込む。敵AIは複雑な機動に対応しきれない。そのうちの一部が陣形を崩した。

≪やった!敵陣列に亀裂発生!≫

 フィリアの歓喜の声が響く。その刹那――

≪包囲完了!≫

 《アークエターナル》からの通信だった。主力艦隊が敵艦隊を包囲した。

「バリアント部隊……撤退!」
≪了解!≫
「エリアル艦長!」

 アヤトが叫ぶ。

≪了解!艦砲射撃を開始します!≫

 全艦隊の砲門が一斉に火を噴いた。集中砲火の雨が敵艦隊を飲み込んでいく。

 ――数時間後。
 残党狩りを終えた《アークエターナル》のブリッジで、アヤトは大きく息を吐いた。前方スクリーンには炎に包まれた敵艦の残骸がゆっくりと流れていく。

「よくやってくれた。エリアル艦長」

 エリアルは丁寧に一礼した。

「ありがとうございます。ですが、殿下……こちらの方が嬉しいです」

 エリアルは自身の身体を抱いて、胸を強調するジェスチャーをしてきた。

「良いよ……おいで」

 エリアルは嬉しそうに駆け寄ってきて、抱きついてきた。

「はぁ~♡ やっぱり殿下の匂いが落ち着く……」

 エリアルは俺の胸元に顔をこすりつけて幸せそうな声をあげた。

「ちょっと艦長! 抜け駆けはダメですよ!」
「そうです!」

 騒ぎ始めた艦橋メンバーをエリアルが見渡す。そしてその顔のまま、

「うらやましいなら、あなたたちも並んだら?」
「えっ!? 本当にいいんですか?」
「もちろんよ♪ 皆平等に可愛がってもらいましょう♡」

 それを聞いたメンバー全員が、我先にと俺のもとに集まってくる。
 まあ皆頑張ったし、艦隊の包囲も俺の予想よりもかなり早かったのでそのご褒美ってことで。

「じゃあみんな順番に……」
「やった!」
「アヤトさまの香り……好き♡」
「ご主人様……あたしのおっぱいどうですか?」

 ブリッジはしっちゃかめっちゃかで、様々な嬌声が飛び交っていた。
 なお、機体の整備をしていたフィリアが後で泣きじゃくった。
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