異世界転生したら宇宙の帝王になった件~俺は今日も最強ハーレム部隊を作ってる~

こうたろ

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第3話「忠誠と裏切りの狭間で」

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 敵艦隊を殲滅してから二日が経過した。《アークエターナル》は首都星ネビュラへの帰路についている。艦内は凱旋ムードで沸き返っていた。廊下を歩くだけで乗組員たちが帽子を振って祝福してくれる。

「殿下!今回の奇策には参りましたよ!」
「まさかあんなに簡単に包囲できるなんて……」

 乗組員たちの興奮した声を受け止めつつも、俺の脳裏ではすでに戦略マップが展開され続けていた。超高速思考が自動的に次の局面をシミュレーションしている。今回の勝利は確かに大きいが、本質的には時間稼ぎに過ぎない。

「まだ気が早いかな……」

 呟きながら自室に戻ると、フィリアの姿があった。

「殿下。お帰りなさいませ」

 金髪碧眼の美人メイドはいつも通り完璧な微笑を浮かべていたが、その目の奥に微かな翳りがあった。

「どうしたの?顔色が悪いぞ」
「いえ……少し疲れが出ただけです」

 嘘だな。

「シミュレートでの訓練の時間、伸ばしてるでしょ?最近疲労の上がりが激しいよ」
「……さすがです」

 フィリアは観念したように俯いた。

「腕を上げないと殿下の傍で戦えないので……」
「無理しないでよ。俺だって君がいないと困るんだから」

 そっと彼女の肩に手を添えると、フィリアの頬がほんのり紅潮した。

 だがすぐに真面目な表情に戻る。

「それと……陛下より通信がありました。到着次第、謁見の間へ来るようにと」
「父上が?また厄介事か」
「詳しいことは明かされていませんでしたが……殿下宛ての案件のようです」

 重い腰を上げてブリッジへ向かう。艦長席ではエリアルが報告書に目を通していた。

「あ、お疲れ様です殿下。さっき整備班から連絡がありまして」

 エリアルが艶やかな唇で微笑んだ。

「《ドラグーン》の損傷具合ですが、推進器に多少の歪みがあるものの飛行には支障ありません。ですが次回以降はパーツの更新が必要になりそうです」
「わかった。到着したら即修理予定を入れておいてくれ」
「はい♡」

 嬉しそうな返事だった。



 五日後。《アークエターナル》は帝都宙港へ入港した。大歓声とともに迎えられ、俺はフィリアを従えてコロニーに降り立つ。しばらくぶりの帝都の空気は乾燥していて、砂埃が鼻腔を刺した。

「おかえり、無事で何よりだ」

 城の入口で待っていたのは先に帰還していた兄・カルナだった。第二艦隊を率いる戦略家肌の男で、常に冷静沈着だが今日は珍しく安堵の表情を浮かべている。

「助かりました。兄さんがあの一万七千隻を掃討してくれたおかげで乱戦に集中できました」
「過小評価だな。そもそもお前の作戦が無ければ勝つのは難しかっただろう。俺にも華を持たせるとはな」

 そう言ってカルナは俺の肩を軽く叩いた。

「今夜は祝勝パーティだ。父上も久しぶりに晴れやかな顔をしている」
「はい、楽しみにしてます……だけどまず謁見ですね」
「ああ。父上の呼び出しは重要案件だろう」

 父上――レグルス皇帝ラインハルト。帝国の最高権力者。内政については冷徹で合理的な人物だが、反乱鎮圧に関しては容赦を知らない。

 玉座の間は荘厳な大理石造りで、中央に黄金の玉座が据えられている。父上は白髪混じりの鋭い目つきで俺を迎えた。

「戻ったかアヤト」

 相変わらず低く渋い声だ。

「報告はすでに受けている。敵艦隊壊滅に貢献したことは賞賛に値する」
「感謝します」
「だが真に危惧すべきはここからだ」

 父上が手を上げると、執事のベルナールが立体映像パネルを展開した。

「アルカディア星域における敵残党の逃走経路を分析した結果……奇妙なパターンが見つかった。彼らは壊滅直前に『第七拠点』方面へ移動していたのだ」
「第七拠点……?」

 俺の脳内で知識が奔流する。第七拠点は帝国西部の最も端に位置するセクターだ。旧式基地であり、今は使われていないはず。

「つまり彼らは帝国領内に……まだ反逆の意思があると?」
「そう考えるのが自然だ。そして驚くべきことに――」

 ベルナールが資料を差し出した。そこに記されていたのは一枚の写真だった。

「これは……」

 息を飲む。

 写真には破壊された建物の中に佇む白衣の人物が映っていた。ヴァレス博士――失踪した天才エンジニアだ。しかし生存はほぼ絶望視されていたはずなのに……

「父上……」
「間違いない。博士は生存している」

 胸中がざわつく。ヴァレス博士は帝国の最高機密に関与していた人物だ。その技術を反乱軍に提供しているならば、今後の戦況は激変する可能性が高い。

「命令は簡単だ」

 父上の眼光が鋭くなった。

「ヴァレス博士の確保と第七拠点の制圧。期限は二週間。ただし近場のコロニーに被害を出さぬよう注意せよ」
「承知しました」

 俺は平伏する。

「それとアヤト」

 父上が声のトーンを落とした。

「カルナは参加させぬ。ここがお前の独力での試練とする」
「……はい」

 カルナは少し離れた位置で眉をひそめたが何も言わなかった。
 兄の力を借りることではない。父も俺がカルナ兄さんに手柄を上げさせるために連れ出したのを理解してるのだろう。まあ連続しては露骨だろう。



 謁見を終え、自室に戻るとフィリアがすぐに水を持ってきた。

「失礼します……殿下」

 フィリアはグラスを渡しながら俺の顔を覗き込んだ。

「大丈夫ですか?ヴァレス博士の件……相当危険では?」
「危険なのは承知の上さ。でもこれはチャンスでもある」

 フィリアの青い瞳を見つめ返す。

「ヴァレス博士が反乱軍に協力しているなら……なぜ今まで活動を控えていたのか疑問だ。そして今になって表舞台に出る理由も」
「……確かに」

 フィリアはグラスをテーブルに置きながら呟いた。

「博士が帝国側に復帰する可能性も?」
「あるね。いや……むしろそれを狙うつもりだ。もし彼をこちらに引き込めれば大きな戦力増強になる」

 超高速思考が即座にいくつかのプランを描き始める。

「博士が居なくなったことで中止されたバリアントや艦艇の開発計画を再開できるかもしれない」
「そのためには生きて捕らえる必要が……」
「ああ。交戦を避けた接触法を考えないと。正面から殴りあうのはお互いリスクが大きい」

 フィリアは膝を折って跪いた。

「私はどこまでも殿下とともに行きます」
「ありがとう」

 俺はフィリアの手を取り引き寄せた。胸の中に彼女を抱き寄せて頬を撫でる。
 フィリアは一瞬びくりと身体を固めたが、すぐに体重を預けてきた。
 手をお尻の方に下げる。

「ひゃ……////」
「さて……準備を始めようか」



 翌日。艦隊司令部の一室でエリアルと打ち合わせを行った。

「第七拠点までの航路を再検討しました。通常ルートだと防衛線が厳しいですが……」

 エリアルが提示したのは非公式の輸送経路だった。小惑星帯を利用して接近するというものだ。

「なるほど。小規模な高速船を複数使う形がベストかな?」
「その通りです。《アークエターナル》では目立ちますから」
「わかった。バリアントを主体に少数精鋭で行くよ。ただし……」

 俺は指で空中に円を描いた。

「艦は《メテオストライカー》を選ぼう。あれはバリアント母艦としても優秀だし」

 エリアルがメモを取る。

「了解。すぐに準備を進めます!」

 胸を張るエリアル。その大きすぎる双丘が強調される。



 それから二日かけて人員と装備を揃えた。《メテオストライカー》は小型高速艦だがバリアント用の格納庫を複数備えている。俺はその艦橋で最終チェックを行っていた。

「各所異常なし!いつでも出航可能であります!」
「ありがとう」

 フィリアが通信で艦内の整備状況を報告してきた。

≪バリアント隊の全機整備完了。《ドラグーン》の修復も済みました≫
「了解。フィリア、部隊長としてバリアントの指揮系統を頼む」
≪はい。殿下の指示通りに致します≫

 エリアルが横に並んで言った。

「では出航準備……と言いたいところですが殿下」

 エリアルが片手を掲げると艦橋の大型モニターに新たな通知ウィンドウが表示された。

「偵察ドローンから緊急通信です。帝国西部セクターで小競り合い発生……反乱勢力と思しき艦影あり。相手はは第八艦隊直下の少数艦隊です」
「ほう……」

 眉根を寄せる。第八直下となると3男、ゴルラン兄さんだ。
 ゴルラン兄さんは基本的に好戦的な性格で常に積極的な態度を見せる。
 今回も戦闘で派手な活躍を狙ってるんだろう。

 ただ、何故そこに居るかだ……。
 ヴァレス博士が持つ技術はどの勢力も欲しがる。それは帝国も重視している。

「《マッドスター》は?」
「居ないようです」

 ゴルラン兄さんが乗る旗艦が無い。極秘で動いてる?

 父上ももう歳だ。後継者争いが激化し始めている。
 ヴァレス博士を確保して、自分だけ高性能なバリアントを得ようとしてるのか。

 ゴルラン兄さんのことを考えていると少し気が滅入る。派手な功績を上げて、自己主張の塊みたいな性格の持ち主だからだ。

 だからと言って撃破してもなぁ……面倒ごとになるのは目に見えているし……。
 まあその時に考えよう。反乱勢力に普通に負けるかもしれないし。

「第八艦隊の救援に向かう必要はありませんか?」
「そうだね。こっちはヴァレス博士の確保が優先だ……《メテオストライカー》発進。目的地は第七拠点」

 エリアルが了承して出航準備を進める。
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