異世界転移したので、帰還方法を探しながら魔王倒します

こうたろ

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3話「黒い霧の魔物と特製ベーコンIII」

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「着いた~」

 街道を歩いて3日。村の入口に立ったアキラは伸びをしながら大きく息を吐いた。

「お腹減ったな……」

「ベーコンが無い村なんて!」

「無茶言わないで、この規模の村で家畜がそんなにいるわけないじゃん。川があるし魚は期待できるよ」

「ベーコン……っ!」

 悔しそうなエレナを小突くセシリア。

「まあまあ、エレナ。アキラさんがスクランブルエッグを作ってくれますよ」

「作れるけど不味いよ」

「えぇ!?そんな事ないですよ!」

 ミリアはそう言いながらも、顔には少し不安の色が浮かんでいた。

「塩も砂糖も切らしたんだよ。ここで補充できないなら味気のないスクランブルエッグしか出せないよ」

「そうなんですか、あのふっくらしたスクランブルエッグは私ももう一度食べたいです」

「だからあれは卵焼きだって」

「まあ見てみなきゃ分からないさ。ほら、早く村に入って宿を探そう」
 セシリアの提案に全員が頷き、一行はようやく休息の地へと辿り着いた。



 村の入り口をくぐった瞬間、どこか陰鬱な空気に包まれていることにアキラは気付いた。畑には枯れかけた作物が放置され、家々からは怯えたような声が漏れ聞こえる。

「なんか……様子がおかしくない?」

 エレナが眉をひそめる。普段なら観光客を見かけると元気に挨拶してくれるはずの住民たちが、皆俯いて歩いているのだ。

「聞いてきますね」

 ミリアが近くを歩いていた老婆に声をかけた。しばらく話し込んだ後、深刻な表情で戻ってくる。

「皆さん……近隣の村で最近奇妙な魔物が出没しているそうです」

「魔物?ゴブリンとか?」

 セシリアが杖を軽く鳴らしながら尋ねる。

ミリアが説明するには:

 煙のようにゆらゆらした「黒い霧」の塊。生物に触れると急速に体力を奪い取り、意識不明にする。すでに3人の農夫が倒れ病床に伏す。

「つまり物理攻撃主体の私たちにとっては最悪の相手だな」

 セシリアが冷笑しながら評価する。

「魔法で片をつけられるかも知れないが……」

 その時だ!

「おおお!あなた方は勇者さま方ですか!?」

 甲高い声と共に杖を突いた老人が駆け寄ってきた。典型的なファンタジー作品でよく描かれる「村長」というテンプレートを忠実に再現した男性だった。

「はあ?いや違わないけど……」

 アキラが困惑して答えるが、村長は夢中で続ける。

「是非ともお助け願えませんでしょうか!報奨金はもちろんのこと!我が村の特産「燻製のベーコン」も差し上げます!」

「ベーコンッ!?」
「お任せ下さい!」

 エレナとミリアの声が完璧にハモる。あまりの急変ぶりに村長が目を丸くする一方、アキラは呆然と呟いた。

「ミリアさんまで……」

「メインで対応するの私なんだけど……」

 セシリアが溜息をつきながらも、すでに状況確認のために質問を投げかけていた。

「出現場所は?」

 こうして一行は魔物討伐任務を引き受けることとなった。
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