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捕まりました!
しおりを挟む昼休み
俺はいつも通り、購買にパンを買いに来ていた。
いつもと違うのは、黒木がいない事だ。
里田と主人は実家暮らしで、いつもお弁当だった。
黒木はあの通りブルジョワだから購買に来るもんだと思ってたら、今日は弁当だったのだ。
どうしたのかと聞くと『まずは胃袋から…』とよく分からない回答をしてきた。
(黒木は不思議なヤツだからな…)
自分のことを高い棚にブチ上げながら、黒木を評する。
まあ、そんなこんなで購買に1人で買いに来ているのだが…
「な、ない…だとッ!!!」
「ごめんねぇ、最初に買ってった子が、今日誕生日の子がいるからって沢山買ってっちゃったのよ~!」
売り場には閑散とした空気が流れている。
それもそのはず、花形のやきそばパンもカレーパンも…そもそも他のパンだって今日は売り切れていた。
「残すはあんぱん一個…だが、確実に足りないっ!!!」
「何がだ?」
「昼ご飯だよ!!!あんぱん一個って…俺は女子か…やっぱり俺はオンナノコなのか…」
「女ぁ?…テメェ頭おかしくなったのか?」
「ええ、そうですよ!!俺は女…ん?」
あれ、俺…誰と喋ってる??
「そうか…じゃあ丁重に扱わないとなァ?」
硬い腕を肩で組まれ、銀髪が俺の視界でチラつく。
(こ、この重厚感は…っ!)
「あ~…嘉賀先輩…」
「よぉ田所。テメェ、あの一回で無罪放免とか考えてんじゃねぇよな?」
「いやあ…ははは…」
(こんなデジャヴ…求めてなかったよ…)
先輩はグッと眉間に皺を寄せると、俺の首根っこを掴んだ。
「オラ行くぞ」
「え、今ですか?!」
「あ?当たり前だろ。放っとくと逃げるからな」
(お、俺の昼飯~!!!!)
今となっては光り輝くあんぱんとの別れを惜しみながら、俺は屋上へ引き摺り込まれた。
報連相が出来る男なので、引きずられながら、主人に懺悔のメッセージは入れておいたよ!
あっという間に連れ込まれた屋上は、やはり静かな空間だった。
俺が突撃した後は、特にチャレンジャーがいたと言う噂はない。
それよりも最悪な事に、旧校舎の王の機嫌が悪いとの話まで聞いていた。
もしかして前回ドアを壊したのバレたのかな…なんかバキって鳴ったもんなぁ…
(そりゃ近寄れなくもなるよ…)
嘉賀先輩は俺を貯水槽のあたりまで連行すると、壁に俺を押し付け、右腕で俺の退路を絶った。
こ、こりゃあ"壁ドン"ってやつではないですか…?
「ようやく捕まえた。」
「ひぇ…」
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