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DLC本編
屋上組!
しおりを挟む屋上に入るとそこには、いつものメンツが陣取っていた。
「あーーーーー!!!!!ホントに田中だ!!!!本物?!」
「里田ぁ!久しぶりじゃん~!!元気してた?…ッアイテテテ!!」
里田は一目散に俺に駆け寄って抱きつくと、つむじに顎をグリグリと押し付けてる。
どいつもコイツも長身自慢か…?!
「黒木がひさびさ学校来たと思ったら、めっちゃパン買い込んでるし…田中が来たって聞いてびっくりしたや!」
そう言われて黒木を盗み見ると、購買で買ったらしきパンを店の様に広げていた。
いつもはあまり量を食べない黒木だからこそ、異変を感じて問いただしたところ、俺の帰還を知ることになったようだ。
「これ、田中君の分…買う暇なかったでしょ?」
「く、黒木様ぁ…!!」
「え、なら俺の分のおかずも分けてあげる!卵焼きがいい?あ、唐揚げもあるよ!」
里田はよほど嬉しかったのか、興奮した喋り方で自分の弁当の位置まで俺を連れていくが、普通に引き摺られている。
(まるでおもちゃを引き摺り回す犬だ…)
「田中、もみくちゃにされてんな」
「そう思うんだったら助けろよ!!」
「食べ終わったら考えるわ」
「薄情者ッ!!!!」
主人はドカッと隣に座り込んでパンを開け始めた。
「あれ、主人がパンって珍しくない?」
「あぁ、ちょっとな。多分そのうちまた弁当になる」
「そっか」
なるほど、それでさっき階段で遭遇したわけか。
「田中、あ~ん!」
理由を聞いてもいいものかと迷っていた俺の視界に、赤い物体がズイッと侵入してきた。
何かと思い横を見ると、里田がドヤ顔でおかずを差し出していた。
「たこさんウィンナー!あげる」
「めちゃ可愛いもの入ってんじゃん!ありがと」
断るのも悪いかと思い口に含むと、肉の旨味とは少し違う、なんだかちょっと甘い味がした。
(そっか。この形状のウィンナーってこんな味がするんだ。)
「ムフ、そうだね。かわいいね!」
「ん?」
「やっぱり田中ってかわいいなぁ、って」
里田はニコニコと微笑みながら咀嚼する俺を観察している。
前もこんなことあったな。
「なんだよ、こんなモブ顔のどこがかわいいんだよ…」
「ん~なんだろ。仕草とか、雰囲気?そんな感じ。」
「そうですかそうですか…」
諦め半分で黒木にもらったパンを食べ進めていると、里田が何かを思い出したように「あ!」と声を上げた。
「そういえば田中って俺らんクラスになるんだよね?教科書とか持ってるの?」
「あ、そういえば。課題とかもどうしてんだ?」
「俺の、貸す」
「あ~、みんなごめんっ!実は帰ってきたのも期間限定で、また帰ります!てへ」
瞬間、空気が凍った。
いや本当に、比喩じゃなく周辺の気温が何度か下がった気がする…あれ、もしかしてこれヤバい感じ?
「それ、聞いてない」
「冗談やめてよ~!…え、ほんとに?」
「…そんなにそっちがいいのかよ」
三者三様に俺に対して抗議の声を上げる。
主人は、目に見えて落ち込んでしまった。
「…ごめん!事情があって…でも、みんなの顔が見たくて帰ってきちゃった。」
黒木だけは俺がこの世界に留まり続けられないと知っていて、悔しそうな表情を浮かべていた。
「いつ、帰るの」
「1週間とかそこらかな…その間はこの学校に来てもいいって先生からOK貰えたんだ。」
「田中のおばか!!」
「え、今、あの里田から馬鹿という罵声を食らった気がするぞ。」
里田におばか、と罵られた俺は挙動不審になってしまった。
(里田にその言葉を投げつけられる日が来るとは…!!)
「こっちに住めばいいのに!なんで戻っちゃうんだよぉ」
ポカポカと拳で軽く叩かれながら、それは出来ない相談なんだよな…と遠い目をしてしまう。
こちらでのクリア条件を満たした前回は、即頭をぶつけてしまい、帰還させられた。
現実世界では俺がゲームに没頭している、という状態でリアルに時間が経過していたし、
前回も今回も、妹からは納期が言い渡されている。
(やることいっぱい、胸もいっぱい…)
終いには泣き出した里田に完全に抱かれながら、
もう一つ言わなければならないことがあると気がつく。
「あと、進級できてなかったから、みんなの後輩になりますッ!」
「マジ田中…お前本当におばかだな!!」
「おばかおばか!!」
「…おばか」
主人や黒木までもが罵倒に加わり、3人のご機嫌を取るべくハグをして回るハメになったのは、ここだけの秘密だからな!!
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