BLゲームのモブ(俺)は誰にも見つからないはずだった

はちのす

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DLC本編

イレギュラー

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『連絡先を交換しよう…は、スマートフォンが無い?』

『伝書鳩でお願いします!』

『本気か?…まあいいか。俺の連絡先と住所は渡しておく。来てくれるなら連絡をくれ』

そう言い残して立ち去った秀先輩を罪悪感を持って見送った。


「ふぅ、この生活も明日までか…やっぱり、何回経験してもお別れは寂しいな」


…秀先輩と最後に会えてよかった。
前回と同じような展開になるなら、明日を過ごした時点で俺はまた現実に帰ることになる。

(はぁ、また就活生に逆戻りかぁ~)

どれだけ現実逃避をしようとも、向こうには大切な妹を残して来ている。
大層立派な兄としては、どうにかして現実に帰らないといけない。

(そんでもって、今回もレポート提出しなきゃな!)


「とは言っても、今回はクリア条件も曖昧だし…どうしたもんかねぇ~」


ゴロゴロとラグの上を転がりならパソコンに近づく。
怠惰って言われても仕方ない。今の俺の体の状態を見たらそうも言えなくなるから。

(ほら見て!!)

虚空に向かってペラリと服を捲ると、無数の情事の痕跡が現れて虚しさが勝った。

(なにやってんだろ、俺…)


「ふざけてないでレポートでも書きますか…そうだ、ガチャって今日もできないのかな」


気分を入れ替えようと試しにガチャを起動してみると、今日は2回引けるという表示が出ていた。

(さっきの事を考えるとN特典は一切合切要らないんだけど、まぁスチルも出てないやつがありそうだし…)



「ガチャっと!…うげ」


演出が入り、N特典のあのローションが表示される。
ポンッ!と音を立てて画面から飛び出てきたその容器をすぐさま見えない場所に退ける。


「全く、あれのせいで酷い目にあったんだよ…あ、説明書きが書いてある。なになに~」

『魅惑のローション 滑りが良くなる潤滑液。媚薬効果あり』

「チェストォオオ!!!!」


コイツに容赦する必要はないと知って、今度は思いっきり振りかぶってゴミ箱に容器を投げ入れた。

田中選手、100点の投球です!!


「ふぅ、つまらぬものを投げてしまった…あ、これは年齢がバレるネタだったな」


一仕事を終えた俺は再度パソコンの前に座り込む。
あとガチャは1回引ける…よし。


先ほどと同様にガチャ画面をクリックすると、あの確定演出が流れ始める。


「おっ、これはスチ…ル?」


アニメーションが終わって、画面にイラストが表示されるかと思いきや…そこには黒しか存在していなかった。


「真っ暗…なにこれ、どこ触っても反応しないし」


カチカチ、と何度か試しにクリックしたが、ロード中の画面も出なければ、エラー画面も表示されない。

諦めて寝よう、そう思って視線を外した瞬間。


「どぅわぁっ?!」

俺は構えも何も出来ず、黒画面に吸い込まれていった。

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