BLゲームのモブ(俺)は誰にも見つからないはずだった

はちのす

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DLC本編

文化祭2日目② (※微々)

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…何だコレ。


「アイツ、自分の写真をデスクトップ画面に設定してんのか?ドン引き」


正真正銘、パソコン画面にはアイツの全身が映った写真が表示されていた。

起動して数秒も経っていないから、勿論デスクトップかと思ったが、良く見るとアイコンなどは置いておらず、ただ写真のみが映し出されている。


「てか、これ…なんか気味悪ぃな。良く見ると寝てる写真なのに背景真っ黒だし…」


その写真を見ていると、不思議と心がザワついた。

謎の現象に対する警戒心に負け、他人のパソコンながら勝手にシャットダウンしようと操作した瞬間、画面の中の人物が動き出した。


「……は?」


画面中央で起き抜けに爆速で立ち上がったのは、紛れもなく田中だ。

いや待てよ、どうなってるんだコレ。
アイツ、自分を動画にして撮ってる…いや、GIF動画でも作ったのか?

(意外と技術あるんだな、というかサッパリ意味分かんねぇ…いつも馬鹿な行動ばかりしているが、こればかりは本当に意味不明だ)

俺の頭の中は混乱しきりで、まともな言葉が出てこない。


ここまでアホな展開になると、その先も何かあるのではと期待してしまう。

緊急事態な筈だが、一周回って呑気になった俺は、画面の中の田中をクリックしてみた。


『ッぁ!』

「おいおい…マジかよ」


すると、画面の中の田中が身体をビクつかせ、その場に両膝をついてしまった。

(い、今の反応は…まさか。)

不快感と好奇心が入り混じりながら、もう一度カーソルを合わせ…今度はダブルクリックしてみる。


『ッ、ひぁん!やめ…』

「うっわ…嘘だろ」


こりゃあエロゲだ。

信じたくないが、あんなに無垢な顔しておきながら、自分を題材にエロゲを創ってるんだ。


「はは…笑える」


そう馬鹿にして笑った、筈なのに。

身体の熱を上げた俺は、カーソルを合わせ、さらにクリック回数を重ねていく。

回数が増えていくにつれ、服が破け、顔は赤らみ、"止めてくれ"と画面の前の俺に懇願してくる。

…俺は、そんな田中の様子に、仄暗い興奮を抱いた。

画面の中のアイツが、弧を描くように身体を反らし果てようとしたその時、喘ぎの中で断末魔のような叫び声を上げた。


『ぁん!やめ、やめてぇ…江隅ッ!』

「は?!」


無心で、いや邪な心でクリックを続けていた手が止まる。

瞬きをして次に目を開いた瞬間、周辺は黒のみの世界に変わっていた。

そして目の前には、画面の中にいたはずの、あられもない姿になった田中。


「うっ、江隅、酷いよぉ…」

「は?田中…?どうなってんだ、何だココ」

「多分、閉じ込められたんだよ…画面の中に」

「????」


田中は訳知り顔で、"画面に閉じ込められた"なんて意味の分からない事を言っている。

でも、先ほどまで俺がリアルに見ていた現象が、そのまま目の前の田中に起こっていた。

勿論、俺がクリックした事で破けた服や、飛び散った液体までもが鮮明に見えている。

…現実と、"ココ"がリンクしている?


「夢かなんかか?」

「んな訳ないじゃん。俺と話してんのにぃ…ああもう、恥ずかしいからこっち見ないでっ」


かき集めた布でどうにか裸体を隠しているが、大事な所が全然隠せていない。

それどころか、飛び散った液体に服が触れ、妖しい糸を引いていた。


「田中…ゴホン、田中君。まず聞きたいんだけど、ココどこ?」

「だから多分パソコンかなんかの中…俺にも分かんないよ」

「あー、うん。まあいいや、じゃあその状況はどうしたの?」

「江隅が!江隅がめっちゃ弄るから!!一回で止めてくれれば良かったのにっ!俺の清らかな心が穢された気分だわ!」

「やっぱり、画面の中の田中君とリンクしてたんだね」

「うう、っ…ぅ」


…非常に不味い。

泣き腫らす田中を見ていると、こう…嗜虐心が掻き立てられる。

(どうなってんだ、俺。)

取り敢えず平然を装って、田中に話しかけ続ける。


「ここから出る方法、分かる?そもそもなんでこんな所にいたの」

「分かんない、けど…俺の帰還が早まったんだと思った。でも違ったね」

「帰還?」

「…俺、違う世界?から来たんだ」

「あー、ハイ。なるほどね」

「信じてないでしょ?!…でもそれでいいよ。俺、このまま誰にも会えないで、この真っ暗な空間で死ぬのかと思った…ッ!」


またも俺には理解出来ない言葉を吐き捨て、本格的に泣き出したアイツ。

いつでもポジティブな田中が泣くなんて、よっぽどだと理解出来たから。
俺は小さく震える背を軽く叩いた。

突然の事に驚いたようで、田中は俺を恐る恐る見上げる。

…その怯えた顔付きに、また心が揺さぶられる。


「ひぐ、っ江隅?」

「まあ、良く分からないけど…僕が来たんだ。そんなに泣かなくてもいいでしょ」

「…うん」


怯えた顔つきから一転。

顔を赤らめながらも嬉しそうに微笑んだその表情に、今度こそ俺の何かの糸がブツリと切れた。




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