134 / 145
DLC本編
文化祭2日目② (※微々)
しおりを挟む…何だコレ。
「アイツ、自分の写真をデスクトップ画面に設定してんのか?ドン引き」
正真正銘、パソコン画面にはアイツの全身が映った写真が表示されていた。
起動して数秒も経っていないから、勿論デスクトップかと思ったが、良く見るとアイコンなどは置いておらず、ただ写真のみが映し出されている。
「てか、これ…なんか気味悪ぃな。良く見ると寝てる写真なのに背景真っ黒だし…」
その写真を見ていると、不思議と心がザワついた。
謎の現象に対する警戒心に負け、他人のパソコンながら勝手にシャットダウンしようと操作した瞬間、画面の中の人物が動き出した。
「……は?」
画面中央で起き抜けに爆速で立ち上がったのは、紛れもなく田中だ。
いや待てよ、どうなってるんだコレ。
アイツ、自分を動画にして撮ってる…いや、GIF動画でも作ったのか?
(意外と技術あるんだな、というかサッパリ意味分かんねぇ…いつも馬鹿な行動ばかりしているが、こればかりは本当に意味不明だ)
俺の頭の中は混乱しきりで、まともな言葉が出てこない。
ここまでアホな展開になると、その先も何かあるのではと期待してしまう。
緊急事態な筈だが、一周回って呑気になった俺は、画面の中の田中をクリックしてみた。
『ッぁ!』
「おいおい…マジかよ」
すると、画面の中の田中が身体をビクつかせ、その場に両膝をついてしまった。
(い、今の反応は…まさか。)
不快感と好奇心が入り混じりながら、もう一度カーソルを合わせ…今度はダブルクリックしてみる。
『ッ、ひぁん!やめ…』
「うっわ…嘘だろ」
こりゃあエロゲだ。
信じたくないが、あんなに無垢な顔しておきながら、自分を題材にエロゲを創ってるんだ。
「はは…笑える」
そう馬鹿にして笑った、筈なのに。
身体の熱を上げた俺は、カーソルを合わせ、さらにクリック回数を重ねていく。
回数が増えていくにつれ、服が破け、顔は赤らみ、"止めてくれ"と画面の前の俺に懇願してくる。
…俺は、そんな田中の様子に、仄暗い興奮を抱いた。
画面の中のアイツが、弧を描くように身体を反らし果てようとしたその時、喘ぎの中で断末魔のような叫び声を上げた。
『ぁん!やめ、やめてぇ…江隅ッ!』
「は?!」
無心で、いや邪な心でクリックを続けていた手が止まる。
瞬きをして次に目を開いた瞬間、周辺は黒のみの世界に変わっていた。
そして目の前には、画面の中にいたはずの、あられもない姿になった田中。
「うっ、江隅、酷いよぉ…」
「は?田中…?どうなってんだ、何だココ」
「多分、閉じ込められたんだよ…画面の中に」
「????」
田中は訳知り顔で、"画面に閉じ込められた"なんて意味の分からない事を言っている。
でも、先ほどまで俺がリアルに見ていた現象が、そのまま目の前の田中に起こっていた。
勿論、俺がクリックした事で破けた服や、飛び散った液体までもが鮮明に見えている。
…現実と、"ココ"がリンクしている?
「夢かなんかか?」
「んな訳ないじゃん。俺と話してんのにぃ…ああもう、恥ずかしいからこっち見ないでっ」
かき集めた布でどうにか裸体を隠しているが、大事な所が全然隠せていない。
それどころか、飛び散った液体に服が触れ、妖しい糸を引いていた。
「田中…ゴホン、田中君。まず聞きたいんだけど、ココどこ?」
「だから多分パソコンかなんかの中…俺にも分かんないよ」
「あー、うん。まあいいや、じゃあその状況はどうしたの?」
「江隅が!江隅がめっちゃ弄るから!!一回で止めてくれれば良かったのにっ!俺の清らかな心が穢された気分だわ!」
「やっぱり、画面の中の田中君とリンクしてたんだね」
「うう、っ…ぅ」
…非常に不味い。
泣き腫らす田中を見ていると、こう…嗜虐心が掻き立てられる。
(どうなってんだ、俺。)
取り敢えず平然を装って、田中に話しかけ続ける。
「ここから出る方法、分かる?そもそもなんでこんな所にいたの」
「分かんない、けど…俺の帰還が早まったんだと思った。でも違ったね」
「帰還?」
「…俺、違う世界?から来たんだ」
「あー、ハイ。なるほどね」
「信じてないでしょ?!…でもそれでいいよ。俺、このまま誰にも会えないで、この真っ暗な空間で死ぬのかと思った…ッ!」
またも俺には理解出来ない言葉を吐き捨て、本格的に泣き出したアイツ。
いつでもポジティブな田中が泣くなんて、よっぽどだと理解出来たから。
俺は小さく震える背を軽く叩いた。
突然の事に驚いたようで、田中は俺を恐る恐る見上げる。
…その怯えた顔付きに、また心が揺さぶられる。
「ひぐ、っ江隅?」
「まあ、良く分からないけど…僕が来たんだ。そんなに泣かなくてもいいでしょ」
「…うん」
怯えた顔つきから一転。
顔を赤らめながらも嬉しそうに微笑んだその表情に、今度こそ俺の何かの糸がブツリと切れた。
56
あなたにおすすめの小説
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる