残業リーマンの異世界休暇

はちのす

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2章 新生活スタート

41 ダリア先生

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「今日の講義が初だな!よろしく頼む、カンザキ!!」


乗っけから熱いこのお方、ダリア先生に魔技試験の講義を受ける。


「今日は開始遅らせてもらってすみませんでした。」


「いいんだ。部活も大切な要素だからな、今のカンザキには特に!」


「…ありがとうございます。」


「俺は国史と魔法史を担当することになった。
他の教科に比べて地味ではあるが、歴史も大切だから、絶ッッッ対に寝るんじゃないぞ?」


ニヤリと笑った先生に釣られ、俺も口角が上がる。

ダリア先生、現実にもいたらよかったなあ…。

握力は強すぎるけど、それ以外は非の打ち所がない"良い先生"だ。


「さて、まず魔法の成り立ちから勉強していこう。」


先生は杖を取り出し、本棚から2冊の本を引き出した。


「まず、創造主アルケ様がこの世界を作った事は知っているな?」


「あ、はい。魔獣学で聞きました。」


「そうか。では、3柱の使徒が魔力を与えられたことも?」


「はい。」


「よし、ではそこから、"魔法"が出来上がった経緯を伝えよう。

全ては、持たざる者が生まれたことによって始まった。」


「…え?持たざる者…ですか?」


「そう。3柱の使徒は自ら生命を創り出すことができる。

ただ、その後の繁殖は、主に創り出された者の中で行われた。

繁殖の過程で、魔力が薄まり、持たざる者が生まれたんだ。」


「そういうことだったんですね…完全に由来が違うのかと思ってました。」


「そうだ。初めて生まれた持たざる者は、虐げられ果ての大地に逃亡し、そこで同種を増やしていった。

魔力に触れる機会が多かった初めての持たざる者は、擬似的に魔力の様な効果を発揮する"錬金術"を創り出した。

虐げられた憎しみを糧にしてな。」


(あれ…錬金術?それってバールさんの…)


「錬金術を手にした持たざる者は、魔力を持っていた魔族をも凌ぐ強さだった。」


「物凄いものなんですね…」


魔力がない人たちが、自分で編み出した技術で復讐を果たしていったのか…


「そうして、対抗勢力として研究されたのが魔法。

今の魔技や剣技と言われるものだ。」


「凄く勉強になります。」


「カンザキからすると、錬金術の方が気になるかもしれないが…こちらでは錬金術は禁忌とされている。

だから、知る者がそもそも居ないんだ。

散々苦しめられたのだから、当然かもしれないな。」


「禁忌…?!」


え、バール先生、禁忌の研究してたの?!

ってか、助手登録されたんだったら俺も禁忌に加担してることに…。

そこまで考えてゾッとする。


(これは次の機会で助手登録を解消してもらわなきゃ…!)



「とまあ、魔法史は大雑把にはこれくらいで良いだろ。今度は国史だ。」


「あ、この国について、ですね。」


「そうだ。…カンザキは、何処の出身かは分からないんだったな。」


「あ、そうですね。」


正しくは日本です…。心の中で主張しながらも、先生の話を待つ。


「記憶を取り戻す手伝いになればいいけどな…、まず魔族の国から教えよう。」


魔族の国は2つに分かれているらしい。

1つは帝国と呼ばれる魔人が中心に統治している国。『グリン帝国』

2つ目は共和国と呼ばれる、魔獣と魔人の共和制を取っている国。

それがここ、マジナス学院のある『マジナ共和国』


帝国と共和国は戦争こそ起きないものの、常に冷戦状態らしい。

原因は、帝国の魔獣への差別感情によるものと…


「魔王が封印されていると言われる帝国への反発感情だな。」


昨日グリムと話したあの話か。


「この共和国は今でこそ一つの国の形だが、昔は散り散りになっていた。

それを纏め上げたのが、奇しくも魔王による侵攻だったんだ。」


「それは…根深い悔恨ですね。」


「ま、そういうこった。今はこの国は平和なもんだよ。

俺は騎士団出身だが、仕事が無さすぎて辞めた位だからな。」


「え、ダリア先生騎士団にいたんですか?!」


「お、おう…それで剣技の担当をしてるんだ。」


「凄い…」


頭の中で、騎士の鎧をつけた先生を想像する。

(ぜ、絶対カッコいい…。)


まさにナイトと言った雰囲気になりそうだ。
そもそも騎士出身なら、あの握力の強さも納得だ。


(というか、仕事なさすぎて辞めるって…う、羨ましくはないぞ。断じて。)


俺の社畜生活を思い出して、また胃がキリキリと痛んだ。


「前にもセシルさんから騎士団の存在は聞いていたんですが、主に何をやる組織なんですか?」


「ああ、大抵の場合は国と街の警備だな。
有事の際は兵として使われる駒だ。」


「駒…」


「ま、さっき言った通り、暇すぎて俺はやめたんだけどな。」


という事は…セシルさんがした頼み事の返答が異常に早かったのも…


「暇だったからか…っ!」


「ん?どうした?」


「あ、いえ…なんでもありません。」


「そうか…持たざる者の国については次回にしよう。

色々話したからな、きっちり復習しておけよ?」


「はい!ありがとうございました!」


マーナにも色々聞きたいことが出来たな…。


「ダリア先生、俺、頑張ります!」


「お?いいな!その意気込みだ!!」


俺は先生と近況報告をしつつ、
マーナの待つログハウスへ向かった。
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