7 / 43
ヒーローのお仕事!
しおりを挟む「出来ましたっ!」
『ハーッハッハッ!君は天才だな!!』
「美味そうだ。」
俺はキッチンにあった調味料を使って、豚の生姜焼きを手早く作った。
これは店で出してた、月曜日のランチメニューだ。
「店長直伝なので、美味しいですよ!」
俺は見せびらかす様に皿を2人の目の前に置く。
餡のように絡まったタレの輝きと、鼻を擽る醤油の香りが、空腹を誘う。
2人はゴクリと喉を鳴らし、目を爛々とさせた。
『いただこうッッ!!!』
「いただきます。」
「召し上がれ~!」
ガツガツと食べる2人に気を良くした俺は、向かいに座ってニコニコと眺める。
今日が日常通りなら、こうやって常連さんが美味しそうに食べる姿を見れたのになぁ。
「美味い。」
『ハーッハッハッ!美味!!』
俺は込み上げる笑いを堪えられない。
人に喜んで食べてもらうって、こんなにも嬉しいことなんだ。
「…でしょ?」
今俺の顔は、史上最大級の緩みが起きているだろう。
俺は改めて見つけた生き甲斐を、
最早手放せなくなった気がしていた。
**********
「世話になった。これからも、よろしく頼む。」
フォースさんは退室する間際、律儀に俺に御礼をしに来た。
本当にヒーローって良い人達だ。
「こちらこそ、いつも皆を救ってくれて、ありがとうございます!」
「……!」
フォースさんは、俺の顔をまじまじと見ると、ゆっくりと後ずさった。
「え?ど、どうしたんですか?」
「い、いや…御礼を言われたのが、初めてで…」
「え?」
「…軍では、責務だった。生かすも殺すも当然の話だ。」
(うわっ!激重案件だった…)
一般人の俺にはまるで想像がつかない。
「…軍に所属されてたんですね。」
「ああ…某国の陸軍の所属だった。」
「それは心強い!」
そういうと、フォースさんは少し平静を取り戻し、居住まいを正す。
「困り事があれば俺に言え。
スイッチは指名での依頼が多いから、アジトにいないことも多々ある。」
「え?指名依頼なんてあるんですか?」
『ああ!!!あまり数は多くないが、より適性のあるヒーローを派遣するために指名依頼がある!』
「俺は武器の扱いに慣れているから、規模の大きな作戦に呼ばれる。」
『俺は単独でも十分なパワータイプだから狭い場所での制圧を任されることが多いな!!!』
「へぇ…ヒーローにも色々あるんですね。」
「他にも、隠密、科学技術、使役を得意とする者が所属している。」
『今日の非番はフォースと…ああ、マニアックか!!!無理だな!!!』
スイッチは、ニカッと笑って俺を見てくる。
「む、無理…とは?」
「マニアック…科学者なんだが、気難しくてな。挨拶もままならないだろう。」
『さっき言ってた個室の掃除はマニアックの部屋以外になるだろうな!!』
「ええ?!それ、俺がいても大丈夫なんですかね…」
『アイツは基本的に他人に興味を持たないのでな!!問題ない!!』
「そういうことだ。気にしなければ良い。」
(…気にしなければ良いと言われてもなあ)
聞けば、マニアックさんはいつも部屋に引き篭り、開発に勤しんでいるらしい。
不健康そうだけど、身体とか大丈夫なんだろうか…。
俺はこれから先の顔合わせに不安を抱きながら、個人で食べるという夕食の準備を始めた。
2
あなたにおすすめの小説
夜が明けなければいいのに(洋風)
万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。
しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。
そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。
長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。
「名誉ある生贄」。
それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。
部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。
黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。
本当は、別れが怖くてたまらない。
けれど、その弱さを見せることができない。
「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」
心にもない言葉を吐き捨てる。
カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。
だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。
「……おめでとうございます、殿下」
恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。
その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。
――おめでとうなんて、言わないでほしかった。
――本当は、行きたくなんてないのに。
和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。
お楽しみいただければ幸いです。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
【16+4話完結】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
【完結】幼馴染に告白されたけれど、実は俺の方がずっと前から好きだったんです 〜初恋のあわい~
上杉
BL
ずっとお前のことが好きだったんだ。
ある日、突然告白された西脇新汰(にしわきあらた)は驚いた。何故ならその相手は幼馴染の清宮理久(きよみやりく)だったから。思わずパニックになり新汰が返答できずにいると、理久はこう続ける。
「驚いていると思う。だけど少しずつ意識してほしい」
そう言って普段から次々とアプローチを繰り返してくるようになったが、実は新汰の方が昔から理久のことが好きで、それは今も続いている初恋だった。
完全に返答のタイミングを失ってしまった新汰が、気持ちを伝え完全な両想いになる日はやって来るのか?
初めから好き同士の高校生が送る青春小説です!お楽しみ下さい。
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。
カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。
異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。
ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。
そして、コスプレと思っていた男性は……。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる