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トマト缶 vs アニマ
しおりを挟む「アニマさんはどんな食材が好きですか?」
そう問いかけると、アニマさんは首を捻る。
「食材か…あんま気にして食べたことねぇな。肉かキノコか?」
「それなら、お肉を中心にしてトマトリゾットを作りましょうか」
「トマト?!……缶詰のやつあんまり好きじゃなかった」
ムスッとしたアニマさんに一瞬慌てるが、ふと思い当たる原因があった。
「もしかして、何も味付けしないで食べました?」
「缶開けてそのまま食った!」
「そりゃトマトの味しかしませんよ!大丈夫です。今日のは一味違いますよ?」
棚から出したトマト缶を開けると、鍋にドッと入れ込む。
「まずはこのトマトとハーブを先に煮込んでおきましょう。弱火で……そうですね。缶一杯分のお水と、この肉の骨を入れておきます」
削いだ肉の残りの骨を鍋に投下する。
「骨?食うのか?」
「食べませんよ!出汁…味を整えるために使うので、食べるときに取っちゃいます」
「へぇ~…」
「今度はこっち!油を薄~く引いて、ニンニクのスライスをさっと炒めます!」
「うわ!なんかすごい匂いするぞ!!」
リクも鼻を隠すようにキッチンから逃げてしまった。
「これはにんにくですよ。美味しくなるので、匂いは我慢してくださいね」
「こんな匂いするモン入れて美味くなるのか…?」
「まあ、食べてからのお楽しみです。次は……お肉を一口サイズに切って焼いて行きます。ここで米を入れるのも忘れずに!」
「十分火が通ったら、トマトのスープを米に突っ込みます!」
「ああ!せっかく美味そうだったのに……」
「心配せずとも、美味しくなるので大丈夫ですよ!これでこのまま少し待ちましょう」
アニマさんはトマトが入ったフライパンを残念そうに眺めていたが、やがてこちらに向き直る。
「そういえばユウトはスイッチに保護されたんだったな」
「そうなんです。文字通り路頭に迷っていたので、命の恩人です」
「そうかぁ~尚更仲良くできると良いな!!確か明日は非番だった筈だから、頑張って話しかけてみろよ」
「ハイっ!明日も美味しいお料理作らなくては、ですね!」
皆スイッチと仲良くなる事を勧めてくるなあ……それだけ人望が厚いんだろう。
作戦会議と称して、アニマさんと今日の夜ご飯の献立を考え始めた時、リゾットが好タイミングで出来上がった。
「ちょっと硬めに炊いてみました!新食感だと思いますよ~」
盛り付けをして、アニマさんの前に皿を置く。
最後に粉チーズを目の前でかければ完成!
「この粉っぽいのは…」
「あ、それはチーズですよ。入れるとまろやかな味になります。ささ、食べてみてください!」
アニマさんはスプーンでリゾットをツンツン!と突いてから、覚悟を決めて口に含んだ。
「お…おおお?!この前食べたトマトと全然違う!」
「酸味を飛ばしたり、旨味を足したりで味のバリエーションが広がるんです。今度からトマトは食べられそうですか?」
「うまい!これなら食べられる!!」
「じゃあリクにはこのお肉渡しておいてください」
肉をほぐしたリク用のご飯を隣の席に置いた。
することも無くなったので、アニマさんの向かいに座り、嬉しそうに食べる姿を観察する。
やっぱり何処となく、犬っぽい。
「ふふ…」
「何笑ってんだ?」
「いや、アニマさんが元気でいてくれて良かったなって」
「??」
「明日も、お仕事頑張ってくださいね!」
「ああ!」
俺は「力が漲るぅ!!」状態のアニマさんを見て、この人がヒーローならば、この世界はまだまだ大丈夫かもしれない……
なんて漠然と考えていた。
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