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はちのす

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それぞれの役割

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"ガチャッ!!"


「あ、誰か帰ってきた」


俺はコンロに火がついていないのを確認して、玄関へと急いだ。


「フォース!!お帰り!怪我はない?」

「……ただいま、問題ない」


硬い言葉で帰ってきた返事に安堵する。

毎回、皆を待つ間はドキドキしている。
怪我してたらどうしよう、とか、帰って来なかったら…とか。

そんなことを考えている俺に気付くわけもなく、フォースはどことなく嬉しそうな雰囲気を漂わせている。


「フォース、なんかいい事あった?」

「…ああ、昨日からな」


冷たく引き締まった端正な顔立ちを緩ませ、こちらに笑いかけた。


(昨日…?よく分からないけど、嬉しそうだしいいか)


嬉しさが2日間も持続するなんて、よっぽど良いことがあったんだろう。


「あ、そういえばスイッチと話したよ」


フォースと連れ立って食堂に向かう。
道中、聞きたいことがあったことを思い出した。


「あぁ…どうだった」

「いやぁ、ヒーローも大変だなって」

「…そうか」


食堂に着くと、グラタンがちょうどいいくらいに焼き上がっていた。


「お、いい感じだ。熱いうちにめしあがれ!」

「ありがとう」


フォースは猫舌なのか、ちびちびと食べ進めている。

…ちょっとかわいいな。


「それで、何か聞きたいんだろう?」


一旦食べ進めるのを諦めたのか、こちらに顔を向ける。


「うん…今日さ、スイッチのトラウマを刺激しちゃったみたいで」

「トラウマ……?」


訝しげな表情をしたフォースに、事情を事細かに説明した。
俺の話を聞いているうちに、段々とフォースの顔が怒気を孕んでいくのが分かる。

話終えると、テーブルに置いていた俺の手を、痛みが走るほどの力込めて握られた。

何事?!と驚いて顔を見ると、いつものあの冷静さを欠いたフォースが、不機嫌な表情でこちらを見ていた。


「それは俺でも怒る……現に怒っているからな」

「え、ええ?!でも俺、無事だし。ゾンビも撒けたよ」

「そう言う話ではない。知っているだろう……人は簡単に死ぬんだ」


その言葉に、俺の脳裏には店長の事切れた姿がフラッシュバックする。


「あ…」

「ユウトもビジランテのメンバーではある。だが、それぞれの役割がある。ユウトの場合は、俺達のケアだ。

そして俺達に課せられた使命は、"戦う力の無い者"を救うことだ」

「…!俺、の役割」

「ユウト、俺達に君のことを守らせてくれ」


フォースは俺の手をゆっくりと持ち上げると、自身の額に当てる。

何かに縋るようなその仕草に、俺は戸惑いを隠せなかった。


「なんで、そんなに…」

「世界が揺らいでいる今だからこそ、ユウトのような存在が必要なんだ。優しく、温かく…俺達の帰りを待ってくれる存在だ」

「……でも、何かあった時は、俺のことは気にしないで欲しい。ヒーローだから、他に助けなきゃいけない人がいるだろ?」


フォースは元軍所属の大きな戦力だ。
俺に何かあったからと言って、かまけている暇はない…筈。


「フォース…いや、クリスとしては。今の世界に君以上に守りたいものは無い」

「クリス…?」

「俺の名前だ。好きに呼んでくれ」


手を離され、少し熱を持ったままの手を握り直す。

守られる、なんて親を亡くしてから数えるほどしかなかった。


(率直に言うと…どう受け答えすればいいのか分からない。)


俺があわあわと焦っているのを感じたのか、クリスは徐に立ち上がった。
俺の傍に膝をつくと、今度は握った手にキスを捧げる。

突然の展開に理解の追いつかない俺は、
全身を硬直させてその行為を受け入れていた。


(ちなみに、海外の方のボディタッチの範疇ですよねコレ…?)


「ユウトが来たその日から、俺は息をすることができた。死んでいた心が息を吹き返した」

「そんな大袈裟な…」

「茶化さないで受け止めて欲しい」

「ウ"ッ…」


正論で殴られた俺は、ひとまずクリスの頭を撫でる。


「と、取り敢えず…夕食食いながら話そ?」


クリスも冷静さを取り戻したのか、席に戻って座った。


「ああ…スイッチの事だったな。確か彼は友人と死別している…ヒーローになる前だがな」


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