俺TUEEEに憧れた凡人は、強者に愛される

豆もち。

文字の大きさ
6 / 58
王都編

しおりを挟む


「んん。……ふぁ、朝?」


 いつの間にベッドで寝てたんだろ。
 つうか、寝心地良すぎ。
二度寝したい。今何時だ。

 キョロキョロ見渡すと、サイドテールに綺麗な置き時計があった。
 6時過ぎか。起きた方が良いのかな、まだ早いのかな。
 ベッドから降りて、ドアから廊下を覗いてみる。

 静かだ。けど遠くで物音はする。食事の準備だろうか。
 屋敷をウロチョロするわけにもいかないし、ディオンさんに聞く?
 でもノックして、もし起こしちゃったらマズイよな。


ーーガチャ

 お、隣の部屋が開いた。ディオンさんか?


「…何してるだ、ルーカス」
「あは、目が覚めたんだけど、どうして良いか分からなくて様子を」


 イケメンは寝起きでも完璧なのか。
少し気怠げな瞳に、セットされていない無造作な髪。
 寝巻きは暑かったのか、胸元がざっくり開いている。
……同じ寝巻きだよね。何でこうも違うんだ。


「まだ寝てても良いぞ?」
「いや、爆睡したから大丈夫。
それより普段も、このくらいの時間に起きるの?」
「んー。いつもはもっとゆったりだな。
今日はドアの音がしたから、ルーカスが起きたのかな~って、目が覚めた」


 どんだけ耳が良いんだよ。
 俺、これから毎日物音に気を付けなきゃいけないじゃん。


「ごめんね、起こしちゃって」
「全然かまわねーよ。
朝食は7時ぐらいなんだ。せっかくだから家ん中、散歩するか」
「いいの?  ありがとう」
「ったく、朝から可愛いな」


 やっぱりディオンさんは、頭を撫でるのがクセに違いない。もしくは俺の髪の毛の触り心地が良いかだ。アニマルセラピー的な。


「待ってて、着替えてくる」
「おう。クローゼットに服入ってっから、好きなの着ていいぞ」
「マジっ? ありがとうございます!」


 クローゼットを開けると、びっちり服が収納されていた。 
 全部高そうだ。汚したら洒落になんない。
 デザインは、ディオンさんが昨日着ていた様なシンプルでカッコいいものではなく、中性的なお坊ちゃん風の服ばかりが並んでいる。
 コレ、着れるかなー。ちんちくりんになる予感しかしねぇ。


「あれ。誰かのお下がりだと思ったけど、やけにピッタリだな」


 俺は、どちらかと言うと細身の方だ。
ディオンさんかフィンさんも、昔は細かったとか……?
 ダメだ。想像出来ない。あの人等、ガタイ良すぎるんだよ。
 筋肉と身長をそれぞれ10分の1ずつ分けて欲しい。

 とりあえず動きやすそうな、ベージュのボウタイブラウスと濃いブラウンのスラックスを選んだ。
 そもそも、このズボンがスラックスと呼ぶのかさえ判らない。
前世では、ピッタリ系をスラックスと呼んでたから良いとしよう。
 まずズボンなの? パンツなの?
 女の人はズボン履くコーデをパンツスタイルとか言うけど、ユニ◯ロで「パンツ何処ですか」って聞いたら下着売り場に案内されたからな。ハッキリしてくれよ!
 今は関係ないけどっ。


 着替え終わって出れば、ディオンさんが待ってくれていた。


「お待たせしました」
「ん。よく似合ってる」
「ありがとうございます。
誰の服なの? サイズがピッタリでビックリした」
「ルーカスの服」
「?」
「ルーカスが来るから用意させた。
風呂入ってる時に、服をちょっと拝借してな」


 だから昨日なかったんか!
 えっ。というより、風呂から夕食食べ終わるまでに用意したって事?
 貴族ヤバイ。いや、この場合は使用人が優秀すぎてヤバイのか。


「すごすぎて、わけ分からん」
「まあまあ。サイズ合ってるんだし、イイじゃねーか。気にするな」
「うん……」
「ちょっと、こっち向け。タイが歪んでる」


 上手く結べなかったタイを結び直してくれるらしい。イケメンは面倒見も良いのか。
 俺もマネしたら、女の子にモテるかな。
今度、伝授してもらおう。


「ディオンさんのシャツ、カッコいいな。着やすそうだし」
「買いに行くか?
でもオレは、このシャツより今着てる様な服の方が似合うと思うけどな」


 俺だって、あと数年すれば大人の男になるんだ!
 身長だって超してやる。
……身長は無理かな。筋肉ーーも、無理だな。
 顔は生まれた時点で負けてるし。
あれ、何もなくね。勝てる要素。



 すれ違う使用人の皆さんに驚かれながらも、丁寧に屋敷内を案内してもらった。


「外は、また後で教えよう。
あの温室見えるか。あそこは母上が管理しているから、入ってもいいが、気を付けてくれ」
「分かった(むしろ入らん)」


 窓から見える温室は、太陽に反射してキラキラ輝いている。
 ビニールハウスにしては、どっしりしてるな。ガラスで出来てるのかも。伯爵家だし。


「そろそろ良い時間だ。
食堂に行こう」
「うん」
「父上は朝が弱いせいで、顔が怖いが気にしないで欲しい」
「ん。りょーかい」


 メアリーさんとフィンさんは、既に席に着いていた。
 ガイザーさんは、まだみたいだ。朝弱いらしいから。


「おはようございます。ディオン、ルーカスちゃん」
「ああ」
「おはようございます。
フィン様も、おはようございます」


 メアリーさんの「ルーカスちゃん」呼びは、確定なんですね。
 ところで、メアリーさんは“様”で良いのか。夫人とかの方が、それっぽいんだろうか。


「寂れた村育ちの君には、敬称など慣れないだろう。
呼びやすい様に呼ぶといい」


 親切なのか貶しているのか、いまいち分かんねー。


「では、フィンさん?」
「……」
「ルーカス、フィン兄って呼んでみ」


 変な事、耳打ちすんなよ。
まだフランクな呼び方は早いって。
初っ端から嫌われたくない。
 もう手遅れな気がしないでもないけど。


「無理だよ」
「いいから。言ってみろ、アイツ喜ぶから」
「絶対怒られる」
「バカ、信じろ。兄貴は甘えられるのが好きなんだ。オレも姉さんも甘えなかったからな。飢えてんだよ」


 そんな風には見えませんけど?
まあ、そこまで言うなら試してみよう。


「ーーフィン兄」
「っ! 何だ」


 反応しただとっ!
 ディオンさんを見れば、したり顔で俺を見てくる。
 そんな顔もサマになっててムカつくが、疑ってすみませんでした!!


「や、あの。俺1人っ子なので、フィン兄って呼んでもいいですか……なんて」


 フィンさんの目力におされて、モジモジしてしまったのは見逃してほい。


「好きに呼べと言ったはずだ。
許可を取る必要はない。
私に兄の代わりをして欲しいと言うなら、私も呼び方を考えよう」


 言ってない、言ってない。
 ディオンさんを兄呼びするのは違和感ないけど、フィンさんは何か違う。
「フィン兄」って呼ぶのは、兄としてってより、近所の出来の良いお兄さんに対する気持ちっていうか。
 

「あ、はい」


 断れねー!
 しかも、今度はディオンさんが不機嫌だし。
アンタの言った通りにしたのに何でだよ。


「ディオンさん?」
「……オレだけ、よそよそしくないか。
ディオンって呼ぶのはどうだ」
「けどディオンさん、3つも上じゃん」
「別に敬語使ってるわけじゃねーんだから、今更だろ。
ほら、ルーカス」


 それもそっか。タメ口きいてるくせに、呼び捨てを躊躇うのも変だな。


「じゃ、ディオン」
「もう1回」
「ディオン」
「……ルーカス」


 その目キモい。テオドールみてぇ。


「うふふ、仲良しさんなんだからっ。
ねえ、ルーカスちゃん。フィンが兄なら、わたくしは“お母様”……いえ“ママ”なんじゃなくって?」



しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う

ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。 次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた オチ決定しました〜☺️ ※印はR18です(際どいやつもつけてます) 毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目 凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日) 訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎ 11/24 大変際どかったためR18に移行しました 12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

転生したが陰から推し同士の絡みを「バレず」に見たい

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

年下くんに堕とされて。

bara
BL
イケメン後輩に堕とされるお話。 3話で本編完結です

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

処理中です...