俺TUEEEに憧れた凡人は、強者に愛される

豆もち。

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王都編

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 ただチョコレートが欲しかっただけなのに、店に閉じ込められました。以上。


「どうしよ。ていうか副団長って何。魔塔って何」


 睨み合ってる所悪いけど、説明してもらえませんか。あとチョコレート下さい。


「おや? なんだ君、知らないのか。
ディオン・モンフォールは、国の騎士団の副団長だよ~。ちなみに第1騎士団団長が兄のフィン・モンフォールで、モンフォール伯爵は近衛騎士団副団長ね」


 マジっすか。そんな大物一家だったの?!
ディオンめ、何で教えてくれないんだよぉっ!


「ルーカス……」
「んで~、僕は王都の外れにある魔塔で働いてるの。一応魔塔は独立機関だから、騎士様だろうが、簡単に手出しは出来ないよー」


 魔塔って実在するんだ。村では噂話程度にしか流れなかったから、分かんねーよ。
もし噂も事実なら、10歳で魔塔の主人に認められた天才サイコパスが居るって話だけど……まさか、この人じゃないよな。
 いやでも、顔が良くて、若くて、ディオンのこの緊張具合。明らかにフラグじゃないか?
 主人公の仲間かライバルになって、ヒロイン争う感じのポジションだよね。
って事は、何。コイツの近くに居たら、テオドールに見つかっちゃうんじゃ。


「ディオン、どうしよう」


 残念ながら村人Aの俺には、戦闘経験などない。
 村でも狩りはした事がなかった。
まあ、テオドールが嫌がったってのが大きいけど。
 
 ディオンの背中に隠れて、様子を見れば、ディオンもサシャって奴も固まった。
 どうした。新たな敵か?
せめて俺に攻撃魔法を授けてから巻き込んでくれ!


「ルーカス、大丈夫だから今は少し離れて」
「え?ーーあっ」


 自分の体勢を見て、我に返る。
俺としては、ディオンを盾にして隠れたつもりだった。
だけど実際は、ディオンの腰辺りからギュッと手を回して抱きついている状態だ。子コアラだ。
 緊迫した状況でこれはマズイよね。
味方のくせに身動き取れなくするなんて。


「ごめん、動けなかったよな」
「いや今じゃなければ、いくらでもして良いんだ」
「いや、今だから無意識にしたんだけど……とにかく、ごめん」
「なんだ、あの小動物は!
実験に怯えるネズミ。いやハムスターじゃないか!」


 今度はアッチが暴走し始めたー!
 待って。店の商品とか椅子とか、色々浮いてるんだけど。
空気がビリビリして痛い。魔法が使えない俺に、なんつう仕打ちをっ。


「おい、やめろ!
マナを抑えろ! ルーカスが当てられている」


 え、俺マナに当たってんの?
だからこんなに、変な感じがするのか?


「ごめーんっ」


 フッと急に楽になって、気が抜けて膝をついた。
ううっ、俺だけカッコ悪い。
 しかもあの人、雰囲気変わった?
凶々しい感じが消えたような。


「大丈夫か、ルーカス」
「あ、うん。だい、じょうぶ」


 あれ、なんか身体が変だ。


「立てるか?」
「ひゃうっ」
「るっルーカス?」


 何っ?!  今の声。
 ディオンが起き上がらせようと腕に触れた瞬間、ゾワッてした。
何コレ。どうしちゃったんだ。俺の身体。


「あちゃー。もしかして、あんま魔法見た事ない? 耐性ない人には僕のマナ強すぎるから」
「ルーカスに何をした」
「おーこわ。
彼が蓄積出来るマナの量を多分超えたんだろうね~。
今は体内から放出しようとして、身体が敏感になっちゃってるんだよぉ」


 それ、何てエロゲ?
男にラッキースケベは要らねーよ?
 もっ、なんか苦しっ。


「ふぁ、ディオン…くる、しっ」
「悪い。オレが守ってやれなかったばっかりにっ」
「あうっ」


 助けを求めて伸ばした手を握られ、全身に刺激が走った。


「そりゃムリでしょ~。
剣も持ってない騎士に、僕の相手が出来るわけないんだから」
「くそっ」
「さっ。僕なら助けてあげられるから、早く運んで」
「なっ! 誰が任せられるか!」
「んんっ、やぁ」


 ディオンが守ろうとしてくれてるのは、分かるけど、そんな風に抱きしめられたら余計にっ。


「でも彼、苦しそうだよ?
僕に任せた方が良いんじゃない」
「……っ。変な事をしたら殺す」
「あはは、やれるもんならヤッてみなよ。
副団長じゃ僕には勝てないだろうけど」
「ーー悪い、ルーカス。移動するから我慢してくれ」
「う、ん。ごめんなっ」


 なるべく刺激を与えない為か、羽に触れる様に気を遣いながら、お姫様抱っこで運んでくれた。
 俺がヒロインだったら一発で惚れるな。
けれど、ディオンの優しさも虚しく、俺は気持ち悪い奇声を上げ続けた。
 ほんと、すみません。




「はい、じゃあ此処に寝かして~。
あ、そっと置いてよー」
「分かってる」
「そんじゃ、治すからどっか行ってて」


 ベッドと机、椅子だけがある殺風景な部屋で、俺は寝かされている。
 え。ディオンどっか行っちゃうのか。
不安で縋る様に見ると、また固まってしまった。


「聞いてんの?
早く出てってよ」
「断る」
「はあ?」
「治すならオレの目の前で治せ」
「ヤダ。気が散るからムリ。
副団長がどっか行かないなら、治すのやーめた! 可哀想に、しばらくずっとこのままだね」


 それは困る、死ぬ。


「下手な真似をするなよ」
「はいはい、分かってるって~。
つか、治療するだけだから。めんどくせーなぁ」


 本音漏れてるー!
アンタのせいだろうが。早く治してくれよっ。


「ルーカス、何かあったらコレを投げろ。いいな」
「ん、んん」


 ビー玉の様な石を手に握らせ、ディオンは部屋を出て行った。
 ちょっと寂しい。


「へー。結界玉かぁ。それ高いやつだよ~。大事にしなね」
「けっかい、だまぁ?」
「あ~もう限界そうだね、先治すからさぁ、後で教えてあげるぅ」
「ぅ…へっ?! あっ、んあぁっ!」


 一気に頭が真っ白になって、そこからの事はよく覚えていない。


「は~い、僕のマナ馴染ませるから暴れないでねー。って言っても、もう聞こえてないかぁ」
「んっあ! やっ」
「ん~、ちんちくりんなのに、艶っぽい声出しちゃて、生意気だなぁ」
「や、あっ」
「んん? この辺かな、マナが詰まってんのは。こことか、ど?」 


 なんか、よく分かんないけど、身体をなぞられてる様な感覚が。
 ふわふわした気持ちになる。
頭がボーっとしてるせいか、自分が光ってる様に見えるし。


「ひぁっ、もっやあっ」
「やばあ。なんかムラムラしてきちゃった」
「へっ?」


 舌舐めずりした?
 恐い、この人が実はモンスターで人間食うヤツだったら、どうしようっ!


「あんま時間かけると、僕がヤバそうだから、手っ取り早くいくね。
もしハジメテだったらごめんね~」
「なに、をーーーぅ!? ふ、んん、ふあ」
「………ん。わ~エッロ。でもこれで落ち着いたでしょう?」


 えっ、ナニ。俺、まさかベロチューされた?
 嘘だろ? 俺まだこの世界では、女の子とキスした事ないのにっ!
初めて会った変なヤツに奪われたー!!


「ね~、どうなの。意識ハッキリしてきた?」
「ううっ、俺が大事にとっとおいたファーストキスを、こんなヤツにっ」
「おーい。聞いてる?
返事しないと、もっかいするよ。もっと濃い~やつ」
「聞こえてますっ! 元気です! 回復しました!」


 恐ろしいフレーズが聞こえて、急いで返事をした。もう食い気味に答えた。


「そう。ざーんねん」
「最悪だ。お婿にいけない…」
「何言ってんの、生娘でもあるまいし。たかがキスしただけじゃん。マナを一気に送る為に。
まーでも~。僕がもらってあげようか? ペットとして」


 ヤベーぞ、コイツ。変態だ!
助けてディオン様っ!


「そんな嫌そうな顔しないでよ~。
ぶち犯すぞ」


 表情と言葉が全然合ってねー。
誰かー! ヘルプミー!!



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