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王都編
パパさんとお勉強
しおりを挟む「お前達、王弟殿下に招待されたぞ」
「王弟殿下ですか。それは意外な方からの接触ですね」
「???」
「全くだ。お前達も厄介な事に首を突っ込んでくれたな。ディオンから報告を受けて、まだ間もないと言うのに。この短期間で謁見とは……はぁ」
「アダム卿も当然一緒ですか」
「知らん。ここにはお前とルーカスの名前しか書いていない。モンフォール家に届いた招待状だ。他人の名前などあるか」
「ああ、たしかに」
えっえっ、え。
何シラっと受け入れてんの。王弟だよ? 陛下の弟君なんだぞ。
普通にヤバイじゃん。
パパさんの許可を得る前に、あの教授がコンタクト取っちゃったって事だろ?
やってくれたな、マジで。
王太子殿下に何て言ったら、王弟殿下が出てくるんだよ。
「ーース、ルーカス。大丈夫か」
「あっ、すみません。大丈夫じゃないですぅっ!」
俺が悶々としているうちに、パパさんに呼ばれていたらしい。
慌てて返事をしたが、迷惑をかける事を謝るより先に、本音が出てしまった。
「だろうな。
ルーカス、陛下のご尊名は分かるな」
「オリオン・デメテル国王陛下です」
「では、王妃殿下のご尊名は」
「フレア王妃殿下です」
さすがに分かるよ、それは。
王太子はジルベルト。第2王子はハイルだっけ。
それから王女様はジュリア様だ。
ジュリア王女の美貌はアルソン村にも轟いていた。
なんせ、行商人から絵姿買ったからな。
綺麗って言うより、可愛い系の人だった。
どうせなら、王女様に会いたい。男は嫌だ。
「王弟殿下は?」
「ユリ…あれ、カエサルだっけ」
ローマの有名な将軍の名前だったはず。
どの部分か思い出せねー。ガイウス・ユリウス・カエサル。ユリウス…いやガイウス?
「ユリウス様だ。
このまま招待に応じるのは無理だな。かと言って、断る事も出来ん。
3日で教え込むから死ぬ気でやるんだ。出来るな」
「はひ」
「勿論、騎士団の出入りも禁ずる。
私が居る時は、私が教えよう。他はメアリーに教えてもらうと良い。
寝る暇はないぞ。覚悟しておく様に」
嘘だろ。俺には甘いパパさんが、スパルタだと。
絶対無理だって。3日でどうにかなるわけないじゃん。
いっそ記憶喪失の平民とかにしてくれ。
ーーーー
ーーー
「ルーカス、礼の作法は覚えたか」
「はい。一応」
「やってみろ」
メアリーママによって仕込まれた、臣下の礼。
簡単な挨拶、最上位の敬意、謝辞を一通りやって見せる。
「まあ、ぎこちないが仕方ない。
不恰好でも失敗しなければ、見逃してもらえるだろう」
「はぃ」
頑張ったけど不恰好らしい。
だって俺平民だもの。王族はおろか、貴族に会う機会だって滅多にないんだ。
今はイレギュラーだけど。ディオンが貴族なんて知らなかったし。
「次。王城で会う可能性のある、要注意人物だ。
どこまで記憶した」
「えっと1/3ほど……」
大臣やら貴族やら多すぎる。要注意人物だらけだ。
パパさん、思い当たる人全員上げてたりしないだろうな。
さらにコレに王族までって……。
死ぬ。2週間もらっても無理。俺、暗記系苦手なんだよ。
しかも貴族の名前って紛らわしすぎるだろ。
ああー、せめて俺が日本人じゃなくて、ヨーロッパ人だったらな。違和感なく覚えられただろうに。
「1/3だと? あと1日半しかないんだぞ。わかっているのか」
「うっ。ごめんなさい」
これでも頑張ったんです、パパさん!
昨日だって徹夜で名簿を音読して、書き続けて。
寝させて下さい。俺には荷が重すぎます。
「責めているわけではない。ルーカスの為なんだ。分かってくれ」
「はい…」
「終わったら、好きな事をさせてやろう。だから頑張りなさい。
次、王宮、妃宮に住まう王族と妃付きの侍女」
「えっと、ーーーー」
昼夜問わず、パパさんに会う度に確認テストを受けた。
その結果。俺はもちろんの事、付き合わされるメアリーママ、ディオン、フィン兄まで寝不足で濃いクマをこさえる羽目になった。
本当、申し訳ない。
「ルーカス、帰ったぞ。
確認をしよう」
「ひっ」
パパさんが帰って来た。恐い、逃げたい。
「ルーカス様、諦めて参りましょう」
「そんなっ。まだ妃宮の人の名前が。
えっと、アリッサ、ロクシア……」
「ルーカス、何処だ」
「ルーカス様。行きますよ」
「……あい」
恒例となっていた、パパさんの見送り、出迎えをテストに対する拒絶反応で、今朝からボイコットしている。
そして、今みたいに使用人の休憩室に匿ってもらうわけだがーーーー
まあ、気休めにもならなかった。
パパさんの俺を呼ぶ声に、メイド達が諦めろと言う。
「行きますよ」が「逝きますよ」に聞こえるのは、気のせいだろうか。
「《ルゥ様、嘆かわしいっ。ご愁傷様です》」
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