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BA、聖女召喚の儀式に巻き込まれる
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しおりを挟む「 (成分生成ーーーええっと、化粧水) 」
《具体的な成分名、または効能の詳細を要求します》
「うわっ」
「トキトゥ様?」
「あっいえ! 何でもないですっ。
(驚かすなよ。アラントインとカレンデュラ…いや、やっぱりイモーテルにしよう。
グリセリンも欲しいな。水分の蒸散を防いで、抗炎症効果が高い化粧水を生成してくれ。あと、3ヶ月は劣化しないやつ)」
《了承しました。
ーー完成しました。【異世界のコスメBOX】を発動して下さい》
はや! 10秒も経たずに出来たぞ。神!
だが、ボックスは下に置いてきてしまった。取りに行こう。
《問題ありません。念じれば、手元に召喚出来ます》
「 (マジか! 有能過ぎる。
【BOX】来てくれ~)
うおっ!」
「えっ、何なんですか?!」
両手にドシっとした重量感。
本当に召喚出来た! すげえー!
「すみません、驚かせて。
スキルなので気にしないで下さい」
「は、はあ (突然立派な箱が…何のスキルをお持ちなのかしら)」
おっ、本当だ見慣れないボトルが入ってる。ずいぶん綺麗な容器だな。20~30代がパケ買いしてくれそうだ。
香りは…微かにイモーテルが香るな。
これくらいなら、問題ないだろう。
テクスチャーは、とろみ強めだけど、馴染みは悪くない。
手の甲にハンドプレスすれば、もっちりと手のひらについてきた。
うん。保湿力も良さそうだ。
同じ容量で色々と効能を加え、クリームと浸透力を高める為に導入オイルも作った。
導入があった方が、刺激が少なくて沁みにくいはずだ。これで痛みが軽減される。
「テレーズさん。この3つを試してみてくれませんか?
使い方は朝・晩、洗顔後に適量塗ります。
ただ、合うか分からないので1週間くらい二の腕の内側に、これくらいの量を塗って下さい」
10円玉くらいの範囲を指定して、少量つける様にお願いすると、まじまじと見ながら頷いてくれた。
「悪化したり、痒くなったりしたら中止して下さいね。
炎症が起きない限りは、沁みても2日くらいは我慢して塗って下さい。徐々に慣れますから」
「はい。
あの、こんな高価な物を頂いてしまって良いんでしょうか」
原価0円なんで大丈夫っす。
俺のマナ量が消費されただけだから。
いや、ほんと神!
まだ効くか分からないけど、それでも神スキルとしか言えない。
帰ったら、自分用に作ろう。
3万越えの高級クリームも作れるんじゃないか?
もうトキメキが止められない。早く試したい!
「もちろんです。あくまで試作品なんで、あまり期待しないで下さい」
「そんなっ、ありがとうございます! 」
「じゃあ戻りますか。エリックさんも心配してるでしょうし」
「ええ」
下に下りると、オスカー君が爺さんにお茶を淹れていた。
ここ人様の家だよ。
「あれ。エリックさんは?」
「あやつは仕事じゃ」
あ、やっぱり休みじゃないんだ。
「で、どうだ。治せそうか」
「今は何とも。とりあえずパッチテストの結果次第です」
「パッチテスト?」
「お祖父様、トキトゥ様が高価なお薬を下さいました」
テレーズさん、それは違います。
「ほう! そうか!
トキトゥの見立てを聞かせてもらって良いか」
「はい」
「どうぞ」
おおさすがオスカー君。お茶を出すタイミングが絶妙だ。ちゃっかり俺とテレーズさんの分まで追加で淹れてくれてるし。
「まあ、ごめんなさい。お客様にやらせるなんて」
「いえ。こちらこそ勝手にキッチンをお借りして申し訳ありません」
「良いんですよ。お祖父様が強請ったんでしょうから」
「ホッホ、お見通しじゃな」
一因として考えられる点を手短に説明した。
食事が偏り過ぎて、動物性の脂が足りていない。これにより栄養バランスが崩れ、肌の保護が上手く機能していない可能性。
お湯の温度が高過ぎて、バリア機能を壊し、潤い成分を流してしまっている。
肌状態にあったケアが出来ていない。特に水分・油分のバランスが悪い。
ターンオーバーが乱れ、未熟な細胞が表面に出る事で、ダメージを受け易くなっている。
「ーーなので、食生活と生活習慣を見直しましょう。
3つの試作品に問題がなければ、14~28日のサイクルで肌の状態を見てアイテムを変えていきます」
「ふむ。アレルギー以外でも食事のせいで肌が荒れる事もあるのか…」
「そんな、キチンと食事は摂っていたつもりでしたのに」
「野菜中心は身体に良いと思いますよ。
ただ、タンパク質や亜鉛が摂取しにくくなると肌細胞が作られにくくなったり、守る力が弱まるんです」
サプリメントなんかがあれば便利なんだけどなー。
こんなに食に対する栄養価の知識がないんじゃ、誰も作んねえよな。
「たんぱ、く? なんだ、トキトゥは医学にも精通しているのか」
「まさか。そっち方面はさっぱりですよ。
仕事柄、肌に関する知識だから覚えただけで。
とは言え、成分が同じとは限らないんで詳しい人に確認したい所ではあるかな」
肉と言えばタンパク質! な常識がもしかしたら、この世界では間違ってる可能性もあるし。
ん? だとしたらマズくね? 早急に確認をとりたい。テレーズさんが悪化したらヤベェ。
「あの、それより大丈夫なのでしょうか。
14~28日でお薬を変えていくだなんて……トキトゥ様は大丈夫なのですか?
これ、とても高価な物なんですよね?」
それはもう心配そうに俺を見上げてくるわけなんだが、要らぬ心配ですってば。
「むう、金はワシが出すから安心なさい」
「お祖父様…申し訳ありません。私が嫁いで来なければ、こんな……」
「何を言う。君はエリックを良く支えてくれている」
「お祖父様っ」
感動話カナ?
期待するなって言ってんのに、何で治る前提に話が進んでるんだよ。
プレッシャーがキツ過ぎる。
「いやー、スキルなんで、別に代金は」
「ハァ。まったく。やはりトキトゥは曽孫にするべきだろうか。
スキルの価値を自ら下げるつもりか?
対価は必ず要求しなさい。でなければ全ての者にタダで提供しなければいけなくなるぞ。
お前だけが損をし、消費され、ロクな死に方は出来ん」
「あーー」
そうか。爺さんは孫の為だけでなく、俺の事も考えてくれていたのか。
俺が城を出て自立したいって言ったから…可能性を指し示してくれてたんだな。
「ウイリアム爺さん、ありがとう。
せっかく考えてくれたのに、ごめん」
「なに、メインはエリックの為じゃ。
何の問題もありはせん。
だが、金額は決めておかねばならんな。
ワシにも、直ぐに用意出来る金額には限りがある」
「成功したらで良いよ。
俺の練習にもなるし」
「そうか?」
「ああ。だから成功報酬として、平均か、平均より少し下くらいの金額を頼む」
「ふむ。困った事に基準がサッパリ分からん!
彼女は薬だと言ったが、違うんだろう? 」
「化粧品だよ。スキンケア用の」
「すきんけあ…名前はすきんけあで良いのか? 」
いやどうかな。スキンケアは行為そのものを指すイメージだし。
呼称は欲しいよな。
「俺が作った物の総称を“スキンケアアイテム”にして、試作品第1号は“導入オイル”、“ローション”、“クリーム”って覚えてもらいたい」
「それくらいなら、直ぐ覚えられるな」
「はい、私も覚えました」
1週間後、爺さんから二の腕に異常は見られず、むしろ塗布した部分の皮膚が再生されているらしいとの知らせを受けた。
魔術師団団長まで悩ませた症状が、こんなに簡単に解決して良いのか?
日本なら、治療薬を処方されてもっと早く治っていたはずだ。
皮膚に対してのレベルが低過ぎる。
何故優れた容姿を持ちながら、努力しないんだ。全BAが泣くぞ。ついでに皮膚科医も。
前回の様に、朝っぱらから爺さんと突撃し、昼食までご馳走になりながら、3つに加えて夜用の美容液を足した。
2週間が過ぎ、だんだんと炎症が治まり始め、テレーズさんに変化が起こった。ヴェールや手袋を俺達の前では取る様になったのだ。
その後も調整を重ね、最近は跡が色素沈着を起こさない様に、美白成分が多めの物に変えている。
そして3ヶ月後。
「うん。ずいぶん良くなりましたね。
肌のつっぱりや痒みを感じる事はないですか?」
「はい! 少し目立っていた“色素チンチャク”と言うのも、薄くなってきて、この間は1人で買い物に出かけたんです!」
テレーズさんの肌は、ファンデを塗れば隠せる範囲までに回復した。
まあ、まだメイクは念の為しないけど。
「それはすごいですね!
ちゃんと“日焼け止め”は塗りましたか?」
「ええ、外出する時は必ず」
「そうですか。ではこの調子で続けて下さい。油分のバランスもとれてきたので、そろそろ保湿重視から美白に完全にチェンジしましょう」
「お願いします!」
テレーズさんってこんなに明るい人だったんだな。
よく笑うし、表情もくるくる変わる。
そう言えば、近所で女性陣に質問攻めにあって大変だったと話してたっけ。
テレーズさんは回答に困って、全部夫に聞いて下さいって言ったらしいけど…エリックさんどうなったんだろ。大丈夫かな。
「ああっ! トキトゥさん! 良かった、まだ居たんだね!」
「お邪魔してます」
「良いんだ良いんだ。
っじゃなくて! 助けてくれトキトゥさん!
上司がテレーズの治療薬の出どころを話せってしつこいんだ!」
ちょ、大の大人が縋りついて泣かないで下さいよ。
アンタ図体デカイんだから。
「治療薬じゃなくて、スキンケアアイテムっすよ」
「いや、分かってる。分かってるけどおっ!
頼む。テレーズを助けたんだから、僕も助けてくれ」
理屈がすげぇ。
でも、まあ。
「それなら、来月くらいには良い報告が出来ると思います」
「へ?」
「俺、店出すんです」
「えっ…ええーーー!??!!?」
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