13 / 59
12 依頼完了報告
しおりを挟む
「ありがと~、助かったわ~。はいこれ、サインをしておいたからね~」
簡単な依頼だったから、あっという間に作業が完了してしまった。メプさんは、「またよろしくね~」と言いながら、完了のサインを書いた依頼書を手渡してくれた。
僕は「ありがとうございました」とメプさんにお礼を言うと、お土産屋を後にした。
建物の外に出て、「終わったら連絡して。また後で落ち合おう」と言ったラパンの言葉を思い出した。
そうだ、連絡しなきゃ。……そう思ったところで、僕は、連絡する方法を知らないことに気づいた。
「ねぇ、ユキ。ラパンと連絡取りたいんだけど……」
「連絡を取り合うメールボックスは、フレンドにならないと利用できないよ」
いつも寝てばかりのユキだけど、サポートキャラらしく、僕の疑問に答えてくれた。
あれ? そういえば、ラパンとフレンド登録してなかった気がする。というか、体験版にその機能ついてるの? 説明あったっけ?
僕は初めてログインした時からの記憶を辿ってみた。
フレンド登録について説明があったかもしれないけど、僕は周りはNPCだけだと思ってたから、必要がないと思って気にしなかったのかもしれない。
プレイヤーのラパンに会ったのだって、すごい奇跡みたいなものなんだし。
それにいつも、ラパンから声をかけてくれるから、連絡を取り合って会う約束をする必要がなかったんだ。ゲーム内でもいつも一緒だったし、別行動したのは今日が初めてだから……。
あれこれ考えたって、わからないなら仕方がない。あとでパネル開いて探すか、案内所で聞いた方が早いかもしれない。
だから僕は、先に報告を済ませることにした。
「とりあえず、依頼完了の報告を先に済ませておこうかな」
「うん、そうだね」
街の外に出るわけじゃないし、先に報告を済ませたところで、すれ違いは起きないだろう。
ユキの同意も得たし、僕は街の中心地から、入り口まで戻ることにした。
依頼所は、相変わらずたくさんの出入りがある。僕も流れに合わせるように、建物の中に入っていった。
完了報告は、依頼受付とは別の窓口だった。
依頼を受けた場所の反対側の向かいに行って、窓口でサイン入りの依頼書を渡した。受付の猫獣人は、依頼書を隅々まで確認して、顔を上げた。
「はい、確かに。……では、手続き完了のスタンプを押させていただきます」
説明が終わると同時に、目の前にシュッとパネルが出てきて『依頼完了』というスタンプが、ポンと押された。
それと同時に、ゲーム内通貨の合計が500増えた。それが多いのか少ないのかはわからないけど、初めて自分で稼いだお金だから嬉しかった。
建物を出て、僕は邪魔にならないように道から少し中に入り、木陰で立ち止まった。
「ねぇ、ユキ。ラパンと連絡をとる方法は、他にはないの?」
「うーん……これは体験版だから、基本的に1人プレ――っと、なんでもない!」
「ん? 何か言いかけなかった?」
「ううん、何も言ってないよ? これは体験版だから、仕様が変わったりすることもあって、僕たちサポートキャラにデータが反映されるのに、タイムラグがあったりするんだよ」
さっきまでのんびり喋っていたユキが、なんか急に饒舌に喋り出した気がする。それに、さっき絶対何か言いかけたのに。
何かユキが隠している気がしたけど、でもユキはAI搭載のNPCなんだし、そんなことないかと思い直した。
「ここでぼーっと立ってたら、ラパンが見つけてくれるかなぁ」
「それなら、混んでる依頼所よりも、メプさんのところの方がいいんじゃない?」
「ああ、そうだね! さすがユキだ!」
僕が名案だねってユキを見たら、ちょっと呆れ顔だったような気がするのは、気のせいということにしよう。
「依頼の報酬もらったから、お土産屋さんで何か買おうかな」
「もちろん、僕だよね? うさぎだよね?」
なぜか、サポートキャラのぬいぐるみを買うという前提で、ユキが僕に詰め寄ってきた。
その自信はどこからくるんだろうと思ったけど、でも僕が初めて買うつもりなのは、もちろんユキのぬいぐるみだ。
肩に乗ってるユキをふわふわと撫でながら「もちろん」と言うと、嬉しそうに肩の上で跳ねた。これ、けっこう痛いんだけどね……。
メプさんのいるお土産屋さんの前まで来ると、途方に暮れているように見えるうさぎがいた。うさぎの周りには、1人ではとても持ち運べないくらいの、たくさんの袋が置かれていた。
声をかけたいけど、勘違いだったら困るなぁ……と、ユキに相談してみた。
「ねぇユキ、お土産屋さんの前にいるうさぎさん、なんか困っているように見えない?」
「ああ、確かにあれは困っているね」
「そうだよね。どうしたんだろう。声をかけてみようか」
「そうだね、声をかけてみよう」
ユキと顔を見合わせ頷いた後、僕は驚かせないようにそっと近づき、優しく声をかけた。
「あの~すみません……。もしかして、何かお困りじゃないですか?」
「えっ……?」
まぁ、普通は突然声をかけられたらびっくりするよね。
うさぎは短い声を出した後、フリーズしたように動きを止めた。
簡単な依頼だったから、あっという間に作業が完了してしまった。メプさんは、「またよろしくね~」と言いながら、完了のサインを書いた依頼書を手渡してくれた。
僕は「ありがとうございました」とメプさんにお礼を言うと、お土産屋を後にした。
建物の外に出て、「終わったら連絡して。また後で落ち合おう」と言ったラパンの言葉を思い出した。
そうだ、連絡しなきゃ。……そう思ったところで、僕は、連絡する方法を知らないことに気づいた。
「ねぇ、ユキ。ラパンと連絡取りたいんだけど……」
「連絡を取り合うメールボックスは、フレンドにならないと利用できないよ」
いつも寝てばかりのユキだけど、サポートキャラらしく、僕の疑問に答えてくれた。
あれ? そういえば、ラパンとフレンド登録してなかった気がする。というか、体験版にその機能ついてるの? 説明あったっけ?
僕は初めてログインした時からの記憶を辿ってみた。
フレンド登録について説明があったかもしれないけど、僕は周りはNPCだけだと思ってたから、必要がないと思って気にしなかったのかもしれない。
プレイヤーのラパンに会ったのだって、すごい奇跡みたいなものなんだし。
それにいつも、ラパンから声をかけてくれるから、連絡を取り合って会う約束をする必要がなかったんだ。ゲーム内でもいつも一緒だったし、別行動したのは今日が初めてだから……。
あれこれ考えたって、わからないなら仕方がない。あとでパネル開いて探すか、案内所で聞いた方が早いかもしれない。
だから僕は、先に報告を済ませることにした。
「とりあえず、依頼完了の報告を先に済ませておこうかな」
「うん、そうだね」
街の外に出るわけじゃないし、先に報告を済ませたところで、すれ違いは起きないだろう。
ユキの同意も得たし、僕は街の中心地から、入り口まで戻ることにした。
依頼所は、相変わらずたくさんの出入りがある。僕も流れに合わせるように、建物の中に入っていった。
完了報告は、依頼受付とは別の窓口だった。
依頼を受けた場所の反対側の向かいに行って、窓口でサイン入りの依頼書を渡した。受付の猫獣人は、依頼書を隅々まで確認して、顔を上げた。
「はい、確かに。……では、手続き完了のスタンプを押させていただきます」
説明が終わると同時に、目の前にシュッとパネルが出てきて『依頼完了』というスタンプが、ポンと押された。
それと同時に、ゲーム内通貨の合計が500増えた。それが多いのか少ないのかはわからないけど、初めて自分で稼いだお金だから嬉しかった。
建物を出て、僕は邪魔にならないように道から少し中に入り、木陰で立ち止まった。
「ねぇ、ユキ。ラパンと連絡をとる方法は、他にはないの?」
「うーん……これは体験版だから、基本的に1人プレ――っと、なんでもない!」
「ん? 何か言いかけなかった?」
「ううん、何も言ってないよ? これは体験版だから、仕様が変わったりすることもあって、僕たちサポートキャラにデータが反映されるのに、タイムラグがあったりするんだよ」
さっきまでのんびり喋っていたユキが、なんか急に饒舌に喋り出した気がする。それに、さっき絶対何か言いかけたのに。
何かユキが隠している気がしたけど、でもユキはAI搭載のNPCなんだし、そんなことないかと思い直した。
「ここでぼーっと立ってたら、ラパンが見つけてくれるかなぁ」
「それなら、混んでる依頼所よりも、メプさんのところの方がいいんじゃない?」
「ああ、そうだね! さすがユキだ!」
僕が名案だねってユキを見たら、ちょっと呆れ顔だったような気がするのは、気のせいということにしよう。
「依頼の報酬もらったから、お土産屋さんで何か買おうかな」
「もちろん、僕だよね? うさぎだよね?」
なぜか、サポートキャラのぬいぐるみを買うという前提で、ユキが僕に詰め寄ってきた。
その自信はどこからくるんだろうと思ったけど、でも僕が初めて買うつもりなのは、もちろんユキのぬいぐるみだ。
肩に乗ってるユキをふわふわと撫でながら「もちろん」と言うと、嬉しそうに肩の上で跳ねた。これ、けっこう痛いんだけどね……。
メプさんのいるお土産屋さんの前まで来ると、途方に暮れているように見えるうさぎがいた。うさぎの周りには、1人ではとても持ち運べないくらいの、たくさんの袋が置かれていた。
声をかけたいけど、勘違いだったら困るなぁ……と、ユキに相談してみた。
「ねぇユキ、お土産屋さんの前にいるうさぎさん、なんか困っているように見えない?」
「ああ、確かにあれは困っているね」
「そうだよね。どうしたんだろう。声をかけてみようか」
「そうだね、声をかけてみよう」
ユキと顔を見合わせ頷いた後、僕は驚かせないようにそっと近づき、優しく声をかけた。
「あの~すみません……。もしかして、何かお困りじゃないですか?」
「えっ……?」
まぁ、普通は突然声をかけられたらびっくりするよね。
うさぎは短い声を出した後、フリーズしたように動きを止めた。
74
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの二人は、スキルを得た事で魔王討伐に旅立つ勇者と彼の帰還を待つだけのただの親友となる。
勇者と親友の無自覚両片想いのじれったい恋愛の物語。
姉の男友達に恋をした僕(番外編更新)
turarin
BL
侯爵家嫡男のポールは姉のユリアが大好き。身体が弱くて小さかったポールは、文武両道で、美しくて優しい一つ年上の姉に、ずっと憧れている。
徐々に体も丈夫になり、少しずつ自分に自信を持てるようになった頃、姉が同級生を家に連れて来た。公爵家の次男マークである。
彼も姉同様、何でも出来て、その上性格までいい、美しい男だ。
一目彼を見た時からポールは彼に惹かれた。初恋だった。
ただマークの傍にいたくて、勉強も頑張り、生徒会に入った。一緒にいる時間が増える。マークもまんざらでもない様子で、ポールを構い倒す。ポールは嬉しくてしかたない。
その様子を苛立たし気に見ているのがポールと同級の親友アンドルー。学力でも剣でも実力が拮抗する2人は一緒に行動することが多い。
そんなある日、転入して来た男爵令嬢にアンドルーがしつこくつきまとわれる。その姿がポールの心に激しい怒りを巻き起こす。自分の心に沸き上がる激しい気持に驚くポール。
時が経ち、マークは遂にユリアにプロポーズをする。ユリアの答えは?
ポールが気になって仕方ないアンドルー。実は、ユリアにもポールにも両方に気持が向いているマーク。初恋のマークと、いつも傍にいてくれるアンドルー。ポールが本当に幸せになるにはどちらを選ぶ?
読んでくださった方ありがとうございます😊
♥もすごく嬉しいです。
不定期ですが番外編更新していきます!
学園の俺様と、辺境地の僕
そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ?
【全12話になります。よろしくお願いします。】
君さえ笑ってくれれば最高
大根
BL
ダリオ・ジュレの悩みは1つ。「氷の貴公子」の異名を持つ婚約者、ロベルト・トンプソンがただ1度も笑顔を見せてくれないことだ。感情が顔に出やすいダリオとは対照的な彼の態度に不安を覚えたダリオは、どうにかロベルトの笑顔を引き出そうと毎週様々な作戦を仕掛けるが。
(クーデレ?溺愛美形攻め × 顔に出やすい素直平凡受け)
異世界BLです。
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる