12 / 59
11 お土産屋の依頼
しおりを挟む
「いらっしゃぁ~い」
お土産屋さんの店内に入ると、のんびりとした声に出迎えられた。
カウンターには、水族館で見るそのまんまのサイズのあざらしがいた。でも、ゴマフアザラシの赤ちゃんみたいに、全身に白い毛が生えていて、もふもふしたら気持ちよさそうだ。
依頼主は『あざらしのメプさん』と書いてあったから、たぶんこのカウンターにいるあざらしだと思うんだけど……。
僕は、初めての依頼にドキドキしながら、恐る恐るという感じで声をかけた。
「あの……これ、依頼を見てきたんですけど……」
「あ~。品出しの手伝いに来てくれたのね~。ありがとう~」
僕が依頼の紙を見せると、のんびりゆったりした動きで、カウンターの外に出てきた。
水族館のあざらしと同じ動きだから、カウンター内は踏み台でもあるんだろうか。
「私はメプよ~、よろしくね~」
「僕はシロです、よろしくお願いします」
差し出してきたメプさんの手(?)を取って握手をした。やっぱりもふもふで気持ちがいい!
「今回のお仕事の依頼はね~、在庫数の確認をして~、バックヤードに商品があるから~、不足分を補充してほしいの~」
「はい」
「こうすると~、モニターが現れるから~、補充した分とか~、記録してほしいの~」
「はい」
「わからないことがあったら~、聞いてね~」
「はい」
のんびりした声に、緊張していた体がほぐれていく。メプさんは、癒しオーラ全開だ。
「シロ、俺はちょっと別の依頼を受けてくるから、終わったら連絡して。また後で落ち合おう」
「え? あ、うん! 行ってらっしゃい!」
ラパンも一緒にいてくれると思ってたから、びっくりしてしまった。
そりゃそうだよね。一緒に冒険するとは言ったけど、まだ街の中だし、ラパンだって用事はあるよね。
僕はラパンに手を振り見送った後、メプさんに頼まれたお仕事を開始した。
まずは、入り口近くの商品棚から確認していく。ここはぬいぐるみコーナーみたいだ。
色々なキャラクターのぬいぐるみの中に、ユキとそっくりなうさぎを発見した。
「あ! 見て! ユキにそっくりな子がいるよ」
僕は、いつも持っているバッグの代わりに、今日はウエストポーチを腰につけている。その上で器用に丸くなっているユキに向かって小さな声で話しかけると、ぺたんと寝ていた耳を立て、顔を上げた。
「それは、サポートキャラの公式グッズなんだよ」
「そうなんだね。ってことは、これはユキ?」
「うん、そうだよ。可愛いでしょー」
「ふふ。本物には敵わないけどね」
僕はそう言いながら、ユキの体をそっと撫でた。
散々撫でて満足したあと、棚のチェックを再開した。僕は何種類も並ぶぬいぐるみの中に、メプさんそっくりのあざらしを見つけた。
「あれ?」
「それはメプさんだよ」
「やっぱり。似てると思ったんだけど……。でもなんで?」
「私も、以前はサポートキャラをしていたからよ~」
僕が疑問に思ってユキに問いかけていると、後ろから声がした。
「え? メプさんはサポートキャラだったんですか?」
「そうよ~。他にも歴代のサポートキャラがいて~、このカラスとか桃もそうなのよ~。私と同時期にサポートキャラで~、活躍していたのよ~」
「へぇ~、そうなんですか~」
思わず、メプさんののんびりモードが移ってしまう。僕もゆったりとして、ちょっと語尾を伸ばした話し方になってしまった。
「定期的に入れ替わるんだけど~、隠居とでも言うのかしらね~。サポートキャラ引退後は~、みんな好きなことして~、のんびり暮らしているわよ~」
「それで、メプさんはお土産屋さんを?」
「キャラグッズもいいけど~、なんと言っても~。ここはお菓子がたくさんじゃない~? それが決め手だったわね~」
そう言いながら、メプさんはあはははと、楽しそうに笑った。
そうか、メプさんはお菓子に釣られたのか……。
「他の子達も~、みんな良い子だから~、今度ぜひ会ってやって~。案内するわよ~」
「はい、ぜひお願いします!」
「じゃあ~、品出しよろしくねぇ~」
「わかりました!」
品出し途中に私語を挟んでしまっていたのに、メプさんはとても優しく対応してくれた。おおらかで、器の広い人だなぁ。
「よし、じゃあお仕事ちゃんとやらなきゃね! ユキ、しばらくそこで大人しくしててね」
僕がウエストポーチに乗っているユキを撫でると、「うん、わかった!」と返事をして、再びくるりと丸くなった。落ちそうで怖いんだけど、落ちないようになってるみたい。
僕は再び棚に向き直り、商品の数を数えたり、倒れているぬいぐるみをきれいに並び直したりした。
こうやって見ると、同じぬいぐるみでも個性があるんだなぁ。目の位置とか口元とか、それぞれ微妙に違う。
やっぱり僕は、ウサギのぬいぐるみが一番可愛いと思うけど、メプさんと同じあざらしも可愛い。カラスも桃も可愛い。全部集めたくなっちゃうな。
僕は戦闘に向いてないみたいだから、ずっとここで、可愛い物に囲まれてバイトするのもいいかな……なんて思った。
お土産屋さんの店内に入ると、のんびりとした声に出迎えられた。
カウンターには、水族館で見るそのまんまのサイズのあざらしがいた。でも、ゴマフアザラシの赤ちゃんみたいに、全身に白い毛が生えていて、もふもふしたら気持ちよさそうだ。
依頼主は『あざらしのメプさん』と書いてあったから、たぶんこのカウンターにいるあざらしだと思うんだけど……。
僕は、初めての依頼にドキドキしながら、恐る恐るという感じで声をかけた。
「あの……これ、依頼を見てきたんですけど……」
「あ~。品出しの手伝いに来てくれたのね~。ありがとう~」
僕が依頼の紙を見せると、のんびりゆったりした動きで、カウンターの外に出てきた。
水族館のあざらしと同じ動きだから、カウンター内は踏み台でもあるんだろうか。
「私はメプよ~、よろしくね~」
「僕はシロです、よろしくお願いします」
差し出してきたメプさんの手(?)を取って握手をした。やっぱりもふもふで気持ちがいい!
「今回のお仕事の依頼はね~、在庫数の確認をして~、バックヤードに商品があるから~、不足分を補充してほしいの~」
「はい」
「こうすると~、モニターが現れるから~、補充した分とか~、記録してほしいの~」
「はい」
「わからないことがあったら~、聞いてね~」
「はい」
のんびりした声に、緊張していた体がほぐれていく。メプさんは、癒しオーラ全開だ。
「シロ、俺はちょっと別の依頼を受けてくるから、終わったら連絡して。また後で落ち合おう」
「え? あ、うん! 行ってらっしゃい!」
ラパンも一緒にいてくれると思ってたから、びっくりしてしまった。
そりゃそうだよね。一緒に冒険するとは言ったけど、まだ街の中だし、ラパンだって用事はあるよね。
僕はラパンに手を振り見送った後、メプさんに頼まれたお仕事を開始した。
まずは、入り口近くの商品棚から確認していく。ここはぬいぐるみコーナーみたいだ。
色々なキャラクターのぬいぐるみの中に、ユキとそっくりなうさぎを発見した。
「あ! 見て! ユキにそっくりな子がいるよ」
僕は、いつも持っているバッグの代わりに、今日はウエストポーチを腰につけている。その上で器用に丸くなっているユキに向かって小さな声で話しかけると、ぺたんと寝ていた耳を立て、顔を上げた。
「それは、サポートキャラの公式グッズなんだよ」
「そうなんだね。ってことは、これはユキ?」
「うん、そうだよ。可愛いでしょー」
「ふふ。本物には敵わないけどね」
僕はそう言いながら、ユキの体をそっと撫でた。
散々撫でて満足したあと、棚のチェックを再開した。僕は何種類も並ぶぬいぐるみの中に、メプさんそっくりのあざらしを見つけた。
「あれ?」
「それはメプさんだよ」
「やっぱり。似てると思ったんだけど……。でもなんで?」
「私も、以前はサポートキャラをしていたからよ~」
僕が疑問に思ってユキに問いかけていると、後ろから声がした。
「え? メプさんはサポートキャラだったんですか?」
「そうよ~。他にも歴代のサポートキャラがいて~、このカラスとか桃もそうなのよ~。私と同時期にサポートキャラで~、活躍していたのよ~」
「へぇ~、そうなんですか~」
思わず、メプさんののんびりモードが移ってしまう。僕もゆったりとして、ちょっと語尾を伸ばした話し方になってしまった。
「定期的に入れ替わるんだけど~、隠居とでも言うのかしらね~。サポートキャラ引退後は~、みんな好きなことして~、のんびり暮らしているわよ~」
「それで、メプさんはお土産屋さんを?」
「キャラグッズもいいけど~、なんと言っても~。ここはお菓子がたくさんじゃない~? それが決め手だったわね~」
そう言いながら、メプさんはあはははと、楽しそうに笑った。
そうか、メプさんはお菓子に釣られたのか……。
「他の子達も~、みんな良い子だから~、今度ぜひ会ってやって~。案内するわよ~」
「はい、ぜひお願いします!」
「じゃあ~、品出しよろしくねぇ~」
「わかりました!」
品出し途中に私語を挟んでしまっていたのに、メプさんはとても優しく対応してくれた。おおらかで、器の広い人だなぁ。
「よし、じゃあお仕事ちゃんとやらなきゃね! ユキ、しばらくそこで大人しくしててね」
僕がウエストポーチに乗っているユキを撫でると、「うん、わかった!」と返事をして、再びくるりと丸くなった。落ちそうで怖いんだけど、落ちないようになってるみたい。
僕は再び棚に向き直り、商品の数を数えたり、倒れているぬいぐるみをきれいに並び直したりした。
こうやって見ると、同じぬいぐるみでも個性があるんだなぁ。目の位置とか口元とか、それぞれ微妙に違う。
やっぱり僕は、ウサギのぬいぐるみが一番可愛いと思うけど、メプさんと同じあざらしも可愛い。カラスも桃も可愛い。全部集めたくなっちゃうな。
僕は戦闘に向いてないみたいだから、ずっとここで、可愛い物に囲まれてバイトするのもいいかな……なんて思った。
87
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―
綾波絢斗
BL
この世界には、二つの特別な称号を持つ者たちが存在する。
一つは、絶対的な権力を持つ王の称号――ルガル(lugal)。
もう一つは、ルガルと対をなし、その力を補う「番」――ムル(mul)。
ルガルは生まれながらに選ばれし存在。
国家からエリート教育と地位を与えられ、能力に応じて厳格なランク分けが行われる。
最上位のルガルは、政治さえも動かす絶対者だ。
一方で、ムルは生まれた瞬間にはその正体がわからない。
遺伝子検査や学力テストを経て候補が絞られるが、
最終的に「真のムル」かどうかを見極められるのは――ルガルだけ。
ムルが覚醒したとき、同じ場所に「紋章」が現れ、その瞬間から、ルガルとムルの力は共鳴し始める。
ムルの能力はルガルの力を最大限に引き出す。
ゆえにルガルたちは、自らのムルを求め、時には他人のムル候補を奪い合う。
そして、すべての出生データと遺伝情報を管理するのは、
巨大企業イルジオン――国家をも超える存在。
その頂点に立つ社長、一条レイ。
冷徹なルガルの頂点に君臨する彼が「自分のムル」と出会った。
【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。
明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。
新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。
しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…?
冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。
【完結】みにくい勇者の子
バナナ男さん
BL
ある田舎町で農夫をしている平凡なおっさんである< ムギ >は、嫁なし!金なし!の寂しい生活を送っていた。 そんなある日、【 光の勇者様 】と呼ばれる英雄が、村の領主様に突然就任する事が決まり、村人達は総出で歓迎の準備をする事に。 初めて会うはずの光の勇者様。 しかし、何故かムギと目が合った瞬間、突然の暴挙に……? 光の勇者様 ✕ 農夫おっさんのムギです。 攻めはヤンデレ、暴走ロケット、意味不明。 受けは不憫受け(?)だと思いますので、ご注意下さい。ノリよくサクッと終わりますm(__)m 頭空っぽにして読んで頂けると嬉しいです。
王子様と一緒。
紫紺
BL
田中明夫は作家を目指して10年、全く目が出ない男だ。
ある日、書店の前で金髪青い目の青年が突然話しかけてきた。最初は胡散臭く思っていたのだが……。
南の国の第2王子アスラン、その護衛トーゴー、田中が住むアパートの大家や住人の奨励会員などなど。
様々な人間模様と恋模様が織りなすBL多めのラブコメ開幕です!
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
【本編完結済】神子は二度、姿を現す
江多之折(エタノール)
BL
1/7外伝含め完結
ファンタジー世界で成人し、就職しに王城を訪れたところ異世界に転移した少年が転移先の世界で神子となり、壮絶な日々の末、自ら命を絶った前世を思い出した主人公。
死んでも戻りたかった元の世界には戻ることなく異世界で生まれ変わっていた事に絶望したが
神子が亡くなった後に取り残された王子の苦しみを知り、向き合う事を決めた。
戻れなかった事を恨み、死んだことを後悔し、傷付いた王子を助けたいと願う少年の葛藤。
王子様×元神子が転生した侍従の過去の苦しみに向き合い、悩みながら乗り越えるための物語。
※小説家になろうに掲載していた作品を改修して投稿しています。
描写はキスまでの全年齢BL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる