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10 依頼所
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「よお、今日も来たか、シロ」
ユキと今日は何をしようかと考えていたら、後ろから声がかけられた。
――この声は!
僕が期待に胸を膨らませて振り返ると、そこには軽く手をあげ、爽やかに微笑むラパンが立っていた。
「ラパン!」
僕は嬉しくなって、思い切りラパンの胸に飛び込んだ。
「おおっ、今日も朝から元気がいいな」
「うん! ラパンに会えて嬉しいから!」
僕は思い切りぎゅーっとラパンに抱きついて、頼り甲斐のある胸に顔を埋めた。
ラパンはスラッとした長身だけど、こうやって胸に飛び込むとわかる。剣術に長けているだけあって、しっかりと筋肉がついている。
「すっかり懐いたな」
ラパンはそう言いながら、僕の頭をポンポンと撫でてくれる。うん、これこれ。僕はこうやって頭を撫でられるのが好きなんだ。
でも、やっぱりこの感じ、すごく昴さんに似ている。同じように、僕を見守る優しいお兄さんだからかな?
あれ? ラパンは何歳なんだろ。そもそも、この世界に年齢なんてあるんだろうか。
僕が頭の中でごちゃごちゃ考えていると、頭上から声がした。
「今日の計画を立てたいから、そろそろ離れられるか?」
楽しそうに笑いながら言われて、自分がいつまでもピタッとラパンに抱きついているのを思い出した。
「あ! ごめんね。ラパンの腕の中って、心地が良いから」
顔を離してヘラッと笑うと、ラパンは「ったく、無自覚って怖いよな」って、ぼそっと言った。
何? 無自覚がどうしたの?
僕は意味がわからなくて、コテっと首を傾げた。
「今日は何か、簡単な依頼でも受けてみるか?」
「依頼?」
「討伐系じゃない、街の外に出なくても受けられる依頼もあるんだ」
「それなら僕にもなんとかなるかもしれない!」
昨日の初心者の部屋で、僕は戦闘に向いてないんだと、よーくわかった。
ラパンやユキのように、前線で切り抜けていける人のサポートはできそうだけど、練習じゃない戦闘になったら、テンパって全くの役立たずになりそうだ。
体験版なら、強大な敵に立ち向かう必要もないし、目的を持って旅に出なくても大丈夫。この町でずっと過ごすのだってありなんだ。
「依頼所は、案内所の隣の建物だ」
ラパンがそう言って指差した先には、依頼所の看板が見えた。ひっきりなしに、人が出入りしている。
僕が行って邪魔にならないかな? って心配になりながら、ラパンの後について建物内に入った。
「難易度の高い依頼もあるけど、おそらく体験版では受けられないはずだ。昨日シロが食事処で聞こえてきた、時が止まった街の噂も、難易度が高い依頼なんだ」
「え? そうなの?」
「本来は、人々の話として聞こえてこないはずなんだが……」
そういえば、僕がベアウルフに襲われた時も、こんな風に考え込んでいた。
知り合いに頼まれて何度もログインしていると言っていたから、何か異変があったら気づくのかな? わかんないけど。
「まぁ、とりあえず何か依頼を受けてみよう。何か気になるのはあるか?」
「えーっと。……あ! これ、お土産屋さんのお手伝いというのは?」
「なになに? お土産屋の品出しの手伝い求む?」
「わー、なんかスーパーみたい!」
「じゃあこの紙を取って、受付に持って行こう」
この世界のお土産にも興味あるし、きっとこの依頼なら迷惑をかけずにすみそうだ。
僕はラパンの言う通り、掲示板に貼ってある依頼の紙を手に持ち、受付へと向かった。
「はい、この依頼を受けるんですね。依頼主はメプさんですね。では、これを持って、街の真ん中にある広場の近くにある、お土産屋に行ってください」
「わかりました」
「完了しましたら、依頼主にサインをいただいて、またここに戻ってきてくださいね」
「ハイっ!」
僕は元気に返事をすると、依頼所を出た。目指すは街の中心地だ。
まだログインしたばかりだからなのか、人通りはそんなに多くない。
周りに迷惑がかからないとわかったので、僕はスキップしながら道を進んだ。もうこれだけで楽しい。
「依頼主は、どんな人かなー」
「ああ、会えばわかるけど、ゆったりしていて穏やかだよ」
「ラパンは会ったことあるの?」
「俺も依頼を受けたことがあるからな」
「えーっ! ラパンも品出し?」
僕が驚いてラパンを見たら、楽しそうに「ほんと、シロといると飽きないな」って笑って言った。
褒められてる……よね? 僕はそう思うことにした。
「ちょっと厄介な客が来て困っているから、対応してほしいと言う依頼だったんだ」
「厄介な客?」
「いわゆるクレーマー。店側の落ち度がないのに、難癖つけてくるようなやつ、どの世界でもいるんだな」
「えー、そんなの、NPCじゃないでしょ? プレイヤーってこと?」
「おそらくな。知り合いに頼まれて何回かログインをしていると言っただろ? 他の人より、ちょっとだけこのゲームに詳しいんだ」
僕はVRゲーム自体も初めてだったし、リベラリアのプレイだってもちろん初めてだ。
だから、普通のVRゲームと体験版の違いもよくわからないし、ラパンが説明してくれる断片的なことしかわからない。
どうしてプレイヤーがNPCに嫌がらせをするのかも、全く理由を想像できなかった。
「それでそのクレーマーはどうしたの?」
「まぁ、ちょっと反省させて、もう二度と現れないように約束させただけだから、そいつがどうなったかは知らないけどな」
ラパンはなんかサラッと言ったけど、僕は、ラパンが何をしたのか想像するのはやめておこうと思った。
ユキと今日は何をしようかと考えていたら、後ろから声がかけられた。
――この声は!
僕が期待に胸を膨らませて振り返ると、そこには軽く手をあげ、爽やかに微笑むラパンが立っていた。
「ラパン!」
僕は嬉しくなって、思い切りラパンの胸に飛び込んだ。
「おおっ、今日も朝から元気がいいな」
「うん! ラパンに会えて嬉しいから!」
僕は思い切りぎゅーっとラパンに抱きついて、頼り甲斐のある胸に顔を埋めた。
ラパンはスラッとした長身だけど、こうやって胸に飛び込むとわかる。剣術に長けているだけあって、しっかりと筋肉がついている。
「すっかり懐いたな」
ラパンはそう言いながら、僕の頭をポンポンと撫でてくれる。うん、これこれ。僕はこうやって頭を撫でられるのが好きなんだ。
でも、やっぱりこの感じ、すごく昴さんに似ている。同じように、僕を見守る優しいお兄さんだからかな?
あれ? ラパンは何歳なんだろ。そもそも、この世界に年齢なんてあるんだろうか。
僕が頭の中でごちゃごちゃ考えていると、頭上から声がした。
「今日の計画を立てたいから、そろそろ離れられるか?」
楽しそうに笑いながら言われて、自分がいつまでもピタッとラパンに抱きついているのを思い出した。
「あ! ごめんね。ラパンの腕の中って、心地が良いから」
顔を離してヘラッと笑うと、ラパンは「ったく、無自覚って怖いよな」って、ぼそっと言った。
何? 無自覚がどうしたの?
僕は意味がわからなくて、コテっと首を傾げた。
「今日は何か、簡単な依頼でも受けてみるか?」
「依頼?」
「討伐系じゃない、街の外に出なくても受けられる依頼もあるんだ」
「それなら僕にもなんとかなるかもしれない!」
昨日の初心者の部屋で、僕は戦闘に向いてないんだと、よーくわかった。
ラパンやユキのように、前線で切り抜けていける人のサポートはできそうだけど、練習じゃない戦闘になったら、テンパって全くの役立たずになりそうだ。
体験版なら、強大な敵に立ち向かう必要もないし、目的を持って旅に出なくても大丈夫。この町でずっと過ごすのだってありなんだ。
「依頼所は、案内所の隣の建物だ」
ラパンがそう言って指差した先には、依頼所の看板が見えた。ひっきりなしに、人が出入りしている。
僕が行って邪魔にならないかな? って心配になりながら、ラパンの後について建物内に入った。
「難易度の高い依頼もあるけど、おそらく体験版では受けられないはずだ。昨日シロが食事処で聞こえてきた、時が止まった街の噂も、難易度が高い依頼なんだ」
「え? そうなの?」
「本来は、人々の話として聞こえてこないはずなんだが……」
そういえば、僕がベアウルフに襲われた時も、こんな風に考え込んでいた。
知り合いに頼まれて何度もログインしていると言っていたから、何か異変があったら気づくのかな? わかんないけど。
「まぁ、とりあえず何か依頼を受けてみよう。何か気になるのはあるか?」
「えーっと。……あ! これ、お土産屋さんのお手伝いというのは?」
「なになに? お土産屋の品出しの手伝い求む?」
「わー、なんかスーパーみたい!」
「じゃあこの紙を取って、受付に持って行こう」
この世界のお土産にも興味あるし、きっとこの依頼なら迷惑をかけずにすみそうだ。
僕はラパンの言う通り、掲示板に貼ってある依頼の紙を手に持ち、受付へと向かった。
「はい、この依頼を受けるんですね。依頼主はメプさんですね。では、これを持って、街の真ん中にある広場の近くにある、お土産屋に行ってください」
「わかりました」
「完了しましたら、依頼主にサインをいただいて、またここに戻ってきてくださいね」
「ハイっ!」
僕は元気に返事をすると、依頼所を出た。目指すは街の中心地だ。
まだログインしたばかりだからなのか、人通りはそんなに多くない。
周りに迷惑がかからないとわかったので、僕はスキップしながら道を進んだ。もうこれだけで楽しい。
「依頼主は、どんな人かなー」
「ああ、会えばわかるけど、ゆったりしていて穏やかだよ」
「ラパンは会ったことあるの?」
「俺も依頼を受けたことがあるからな」
「えーっ! ラパンも品出し?」
僕が驚いてラパンを見たら、楽しそうに「ほんと、シロといると飽きないな」って笑って言った。
褒められてる……よね? 僕はそう思うことにした。
「ちょっと厄介な客が来て困っているから、対応してほしいと言う依頼だったんだ」
「厄介な客?」
「いわゆるクレーマー。店側の落ち度がないのに、難癖つけてくるようなやつ、どの世界でもいるんだな」
「えー、そんなの、NPCじゃないでしょ? プレイヤーってこと?」
「おそらくな。知り合いに頼まれて何回かログインをしていると言っただろ? 他の人より、ちょっとだけこのゲームに詳しいんだ」
僕はVRゲーム自体も初めてだったし、リベラリアのプレイだってもちろん初めてだ。
だから、普通のVRゲームと体験版の違いもよくわからないし、ラパンが説明してくれる断片的なことしかわからない。
どうしてプレイヤーがNPCに嫌がらせをするのかも、全く理由を想像できなかった。
「それでそのクレーマーはどうしたの?」
「まぁ、ちょっと反省させて、もう二度と現れないように約束させただけだから、そいつがどうなったかは知らないけどな」
ラパンはなんかサラッと言ったけど、僕は、ラパンが何をしたのか想像するのはやめておこうと思った。
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