【完結】VRゲームの世界でキミを待つ

一ノ瀬麻紀

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18 久しぶりのログイン

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「うーん! 3日ぶりのグリーンヒルだー!」

 僕は街の入り口で、バンザイをするように大きく伸びをしながら言った。
 
 僕にとっては3日ぶりのログインという感動の気持ちを込めたけど、周りからはただ単に「3日ぶりにグリーンヒルに遊びに来た」って見えるんだと思う。
 みんな不思議そうに僕を見たり、興味なさそうにそのまま通り過ぎていった。

「シロー。今日は何するのー?」

 いつものように、ログイン後すぐ呼び出しボタンを押すと、僕の肩の上にポンッとユキが現れた。

「あれ? そのうさぎは……」

 肩の上から、ユキが不思議そうに声をかけてきた。どうやら、手元にあるうさぎのぬいぐるみを見ているようだ。
 僕の思惑通り、現実世界でぬいぐるみを手にしたままログインしたら、ゲーム内にも持ち込めたみたいだ。
 これなら、現実世界でラパンとユキに見せたいものを、もっと持ち込めるのかな?

 僕は優しく微笑むすばるさんの笑顔を思い出しながら、ぬいぐるみのユキを優しく撫でた。

「僕の……大切な人に、もらったんだ」
「ふーん。シロが好きな人なんだね」
「えっ……?」

 好きな人……?

 昴さんが僕にとって、大切な人というのは間違ってはいない。大好きな人だ。
 だけど、ユキの言いたいことは、多分そういうことじゃない。……でも、そんな風に考えたこともなくて。
 じゃあ、昴さんの存在は、僕のなんなの? 優しいお兄さん? 本当にそれだけなの……?

 最近の僕と昴さんの関係が、少し変わってきたのはなんとなく感じていた。優しくて、純粋に憧れのお兄さんという存在だったけど、僕は――。

「シロ? おーい、シロさーん?」

 自分の世界に入ってしまっていた僕を、引っ張り戻すようにユキが声をかけた。

「あ、ごめん、ごめん。えっと……」
「今日は何するの? って話だよ」
「そうだったね。……えっと、今日は、この前のうさぎさんのところに遊びに行きたいんだけど……」

 ぼーっとしてしまった僕を、ユキが導いてくれる。初めて会った時より、サポートキャラらしく、しっかりしてきた気がする。頼もしいな。

「うん、いいねそれ!」
「俺も提案しようと思ってたんだ」

 ユキの声に被せるように言いながら登場したのは、ラパンだった。
 どうしてラパンは、いつもこんなにタイミングよく現れるんだろう?
 さすがに偶然というには無理があるような気がするけど、でも僕もラパンに会いたいから深く考えないことにした。

「この前は大変だったから、今回は安全対策をとって行きたいんだけど、どうすればいいかな?」
「一定期間、モンスターを寄せ付けないアイテムがあるんだけど、それを使おうか」
「寄せ付けない?」
「使用者のレベルによって、寄せ付けなくなるモンスターレベルも変わるんだけど、体験版はレベル設定がないから、実際には遭遇しないということになる」

 レベル設定がないというのは、初心者の部屋のルナさんが教えてくれた。
 でも、そのアイテムを使えばモンスターに遭遇しないなんて、まるでチートアイテムじゃないか。……と、そこまで思ったところで僕は「あっ」と小さな声を出した。

「シロのように、戦闘を避け、街の中だけで過ごそうと考えるものもいるんだ。そういう時のために、このアイテムはある。基本は、リベラリアの世界観を楽しんでもらうことにあるから、このようなアイテムもいくつも存在するんだ」

 そうだ。この体験版の目的は「リベラリアの世界を楽しんでもらうこと」これは何度も聞いているじゃないか。世界観を楽しむなら、チートだろうがなんだろうがいいんだよ。

「そんな素敵なアイテムがあるなら、外に出ても安心だね。……さぁ、みんなでうさぎさんのところに行こう!」
「ああ、行こう」
「レッツゴー!」



「突然訪ねて行って、迷惑じゃないかな?」

 改めてゆっくり遊びに行きたいとは言ったけど、ちゃんと約束をしたわけじゃない。事前に連絡をとってからの方が良かったんじゃないかと、今さらながら心配になった。
 でももう、あの時助けたうさぎさんの家の前にいる。今さら引き返せない状況になっているんだけど。

「それは大丈夫。俺が先に連絡を入れてあるから」
「そうなの?」

 でも僕は3日ぶりのログインだし、ラパンはどのタイミングで連絡を取ったんだろう。
 いつも「体験版だから」というのを理由に言われてきたけど、どうも何かが引っかかる。
 僕の思い過ごしかもしれないけど、前から気になっていた違和感が、少しずつ増えていくような気がしていた。

 ラパンが連絡を入れてあるというのを聞いて、僕はちょっぴりドキドキしながら玄関のドアをノックした。
 すると待っていましたとばかりに、扉が勢いよく開き、小さなうさぎが3匹飛び出してきた。
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