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僕は無我夢中で魔法を念じた。
何の魔法が発動されているのかわからなくなるほどで、僕の目の前には、炎と水と光が入り混じって、まるで水上花火ショーでも開催しているようだった。
メチャクチャな魔法が足止めになったのか、ベアウルフが一瞬怯んだ。
今だ、逃げろ!
僕の中で警笛が鳴る。
けど僕は、足がすくんでしまって、その場から動くことができなかった。
どうしよう、もうダメだ――!
そう思った瞬間、目の前のベアウルフはギャンっと鳴き声をあげ、光の粒となって消えた。
……あ、あれ? 前にも全く同じことが起きたような……?
腰が抜けて立てなくなってしまった僕は、ゆっくりと後ろを振り返った。
「また、ベアウルフに襲われてるのか?」
少し呆れたように言いながらも、表情はとても優しいその人は、さっと手を差し伸べてきた。
……ああ、ずっと会いたかった人だ。
僕の鼓動はどんどん高鳴り、歓喜に満ち溢れた。
「ラパン……!」
名を呼ぶと同時に、僕はラパンの力強い腕の中に飛び込んだ。
「1人にさせて、ごめんな。……手間取って、来るのが遅くなってしまった」
「寂しかった! 会いたくて、でも会えなくて、ラパンもユキもいなくて、僕1人で……」
僕はラパンの腕に包まれていると実感した途端、今まで張っていた緊張の糸が、ぷつりと切れた。
胸に熱いものが込み上げてきて、とうとう僕の瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちた。
僕1人でアイテムも作ったし、モンスターも倒したし……って自慢したくて頑張っていたけど、1人でもできるって思って頑張ってたけど、やっぱり僕は1人ではいられない。
ラパンやユキと一緒にいたいし、昴さんとも一緒にいたい。
今回の出来事で、僕がどれだけ大切にされているのかもわかった。
僕の中で、ずっと我慢していたものが一気に溢れ出し、声を上げて泣いてしまった。
その間、ずっとラパンは、黙って僕の背中を優しく撫で続けてくれた。
どのくらい泣き続けていただろうか。まだ鼻をずるずるとすすってしまうけど、だいぶ落ち着いてきた。
「どう? 少しは落ち着いたか?」
ラパンは胸の中にいた僕をゆっくり体から離して、僕の顔を覗き込んだ。
「……うん」
「よしよし、よく頑張ったな」
ラパンは、いつものように僕の頭をポンポンと撫でてくれた。
ずっと聞きたかった声と温かい手の感触で、僕の涙腺はまた緩んでしまう。
「また……涙出ちゃ……う」
必死に抑えようとするけど、また目に涙が溜まっていく。
「気にするな、思う存分泣けばいい。この広い草原には、俺たちしかいないからな」
「……草原!?」
ラパンの言った言葉で、ここは街の外だということを思い出した。……ということは、まだモンスターに遭遇する可能性があるってことだよね? それに、ログアウトボタン消失のこともどうなったのか聞かないと!
「街に戻らないと! 僕、ログアウトできなくなったんだ!」
ラパンに会えた喜びで忘れてたけど、今僕は大変なトラブルに巻き込まれている最中じゃないか。
「ああ、そのことなんだが……。病院には事情を話してあるから、大丈夫だ」
「え……?」
「エラーは解消したから、ログアウトしよう。……戻ったら、話がある」
「話って……?」
僕は、ラパンの言葉の意図を汲もうと考えてみたけど、急な話で理解が追いつかない。
ラパンは、ログアウトボタン消失のトラブルを知っていて、エラーも解消したからと言って、戻ったら話がある……?
え、まさか……。
「ちゃんと話をするから、とりあえず一度街に戻ろう。メプさんのところに世話になっていたんだろう? 顔を出してから、ログアウトしよう」
「うん……」
僕は戸惑いながらも、ラパンの言う通りだと思った。相手がNPCだとしても、ここリベラリアの世界でちゃんと存在して、僕たちと同じように生活している。お世話になったら礼儀を通すのは当然だよね。
そのあと、ラパンの用意していた聖水でモンスターを寄せ付けないようにしながら、グリーンヒルへ戻った。
「おかえりなさ~い。お家に帰れそうなのねぇ~。よかったよかった~」
「うむ、元に戻っておるな。今なら大丈夫じゃ」
「シロチ、お家に帰るの? 帰る前にモモチを抱っこしなさい?」
「シロ、僕のこと忘れてたでしょ……」
メプさんのお土産屋さんに向かうと、お店の外で、メプさん、ユーアさん、モモチ……そしてユキが待っていた。
サポートキャラのメンテナンスも、エラーのせいだったのか。
僕はユキに向かって『おいで』と手を差し伸べると、ユキはぴょんっと跳ねていつものように肩に飛び乗った。そしてなぜか一緒になって、モモチもジャンプして僕の胸にダイブしてきた。
「ご心配をおかけしました。一度家に帰ってゆっくりしてから、また後日改めてご挨拶に来ますね」
僕が深々と挨拶をすると、みんな口々に「シロが悪いんじゃないし」というようなことを言ってくれた。
「ユキ、明日はログインしたらすぐ呼び出すからね。……モモチ、抱っこさせてくれてありがとう」
モモチを抱きしめながら、ユキをそっと撫でた。
明日またログインできるかわからない不安を感じながらも、いつもと変わらない態度でみんなに挨拶をする。
「では、また明日よろしくお願いします」
僕はそう言うと、パネルを出した。メイン画面の下に、ちゃんと『ログアウトボタン』を見つけた。
みんなに見送られながら、僕はラパンと一緒にログアウトした。
何の魔法が発動されているのかわからなくなるほどで、僕の目の前には、炎と水と光が入り混じって、まるで水上花火ショーでも開催しているようだった。
メチャクチャな魔法が足止めになったのか、ベアウルフが一瞬怯んだ。
今だ、逃げろ!
僕の中で警笛が鳴る。
けど僕は、足がすくんでしまって、その場から動くことができなかった。
どうしよう、もうダメだ――!
そう思った瞬間、目の前のベアウルフはギャンっと鳴き声をあげ、光の粒となって消えた。
……あ、あれ? 前にも全く同じことが起きたような……?
腰が抜けて立てなくなってしまった僕は、ゆっくりと後ろを振り返った。
「また、ベアウルフに襲われてるのか?」
少し呆れたように言いながらも、表情はとても優しいその人は、さっと手を差し伸べてきた。
……ああ、ずっと会いたかった人だ。
僕の鼓動はどんどん高鳴り、歓喜に満ち溢れた。
「ラパン……!」
名を呼ぶと同時に、僕はラパンの力強い腕の中に飛び込んだ。
「1人にさせて、ごめんな。……手間取って、来るのが遅くなってしまった」
「寂しかった! 会いたくて、でも会えなくて、ラパンもユキもいなくて、僕1人で……」
僕はラパンの腕に包まれていると実感した途端、今まで張っていた緊張の糸が、ぷつりと切れた。
胸に熱いものが込み上げてきて、とうとう僕の瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちた。
僕1人でアイテムも作ったし、モンスターも倒したし……って自慢したくて頑張っていたけど、1人でもできるって思って頑張ってたけど、やっぱり僕は1人ではいられない。
ラパンやユキと一緒にいたいし、昴さんとも一緒にいたい。
今回の出来事で、僕がどれだけ大切にされているのかもわかった。
僕の中で、ずっと我慢していたものが一気に溢れ出し、声を上げて泣いてしまった。
その間、ずっとラパンは、黙って僕の背中を優しく撫で続けてくれた。
どのくらい泣き続けていただろうか。まだ鼻をずるずるとすすってしまうけど、だいぶ落ち着いてきた。
「どう? 少しは落ち着いたか?」
ラパンは胸の中にいた僕をゆっくり体から離して、僕の顔を覗き込んだ。
「……うん」
「よしよし、よく頑張ったな」
ラパンは、いつものように僕の頭をポンポンと撫でてくれた。
ずっと聞きたかった声と温かい手の感触で、僕の涙腺はまた緩んでしまう。
「また……涙出ちゃ……う」
必死に抑えようとするけど、また目に涙が溜まっていく。
「気にするな、思う存分泣けばいい。この広い草原には、俺たちしかいないからな」
「……草原!?」
ラパンの言った言葉で、ここは街の外だということを思い出した。……ということは、まだモンスターに遭遇する可能性があるってことだよね? それに、ログアウトボタン消失のこともどうなったのか聞かないと!
「街に戻らないと! 僕、ログアウトできなくなったんだ!」
ラパンに会えた喜びで忘れてたけど、今僕は大変なトラブルに巻き込まれている最中じゃないか。
「ああ、そのことなんだが……。病院には事情を話してあるから、大丈夫だ」
「え……?」
「エラーは解消したから、ログアウトしよう。……戻ったら、話がある」
「話って……?」
僕は、ラパンの言葉の意図を汲もうと考えてみたけど、急な話で理解が追いつかない。
ラパンは、ログアウトボタン消失のトラブルを知っていて、エラーも解消したからと言って、戻ったら話がある……?
え、まさか……。
「ちゃんと話をするから、とりあえず一度街に戻ろう。メプさんのところに世話になっていたんだろう? 顔を出してから、ログアウトしよう」
「うん……」
僕は戸惑いながらも、ラパンの言う通りだと思った。相手がNPCだとしても、ここリベラリアの世界でちゃんと存在して、僕たちと同じように生活している。お世話になったら礼儀を通すのは当然だよね。
そのあと、ラパンの用意していた聖水でモンスターを寄せ付けないようにしながら、グリーンヒルへ戻った。
「おかえりなさ~い。お家に帰れそうなのねぇ~。よかったよかった~」
「うむ、元に戻っておるな。今なら大丈夫じゃ」
「シロチ、お家に帰るの? 帰る前にモモチを抱っこしなさい?」
「シロ、僕のこと忘れてたでしょ……」
メプさんのお土産屋さんに向かうと、お店の外で、メプさん、ユーアさん、モモチ……そしてユキが待っていた。
サポートキャラのメンテナンスも、エラーのせいだったのか。
僕はユキに向かって『おいで』と手を差し伸べると、ユキはぴょんっと跳ねていつものように肩に飛び乗った。そしてなぜか一緒になって、モモチもジャンプして僕の胸にダイブしてきた。
「ご心配をおかけしました。一度家に帰ってゆっくりしてから、また後日改めてご挨拶に来ますね」
僕が深々と挨拶をすると、みんな口々に「シロが悪いんじゃないし」というようなことを言ってくれた。
「ユキ、明日はログインしたらすぐ呼び出すからね。……モモチ、抱っこさせてくれてありがとう」
モモチを抱きしめながら、ユキをそっと撫でた。
明日またログインできるかわからない不安を感じながらも、いつもと変わらない態度でみんなに挨拶をする。
「では、また明日よろしくお願いします」
僕はそう言うと、パネルを出した。メイン画面の下に、ちゃんと『ログアウトボタン』を見つけた。
みんなに見送られながら、僕はラパンと一緒にログアウトした。
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