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31 ユキの足ダン
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「シロの嘘つき!」
「イタタタ! ごめん、ごめんってば!」
僕の背中に飛び乗って足ダンしているのは、僕のうさぎのサポートキャラであり、大切な相棒のユキだ。
前回のログアウトの時、『明日はログインしたらすぐ呼び出すからね』と約束したんだ。
「すぐ呼び出すって言った!」
「本当にごめん! 初めて自分で作ったアイテムを、ラパンに見てもらってたんだ」
ユキにはこう言ったけど、本当はログインしてすぐ、僕はラパンと2人で……。
思い出すと、顔が熱くなる。あの時間は大切な思い出として僕の心にしまっておきたいんだ。
ユキには悪いけど、本当のことは話せない。
「それなら、僕だって見たいのに……!」
変わらず足ダンしているユキだけど、その力は弱々しくなっていて、僕に訴える声は寂しそうに聞こえた。
「ほら。まだちょっとだけなんだけど、回復薬とか聖水作ったんだよ。1人でモンスターも倒したんだから」
背中にユキを乗せたまま、僕はマジックバッグからアイテムを取り出して、ユキに見せようと腕を伸ばした。
初心者の部屋で教えてもらって作ったものだから、正直誰でも作れるのかもしれない。でも僕は嬉しかったんだ。
1人でモンスターを倒して、材料採取した話だって聞いてもらいたい。
僕が一生懸命説明していたら、背中からユキが降りてきて、いつものように肩に飛び乗った。
「モンスター1人で倒したの? すごい!」
「うん、スライムとかきのこだけどね」
「どうやって倒したの?」
「足止めの魔法で動きを止めてから、スライムには雷の魔法、きのこには弓で遠距離攻撃をしたよ」
「シロ、攻撃魔法覚えたの?」
ユキはさっきまで怒っていたのをすっかり忘れたみたいで、僕の話を夢中になって聞いてくれた。そして魔法を使ったと言ったら、興奮気味に肩から飛び降り僕の目の前に飛び込んできた。
「わっ」
慌ててユキをキャッチしたら、もっと話を聞かせて! と、僕の手のひらの上で飛び跳ねた。
「先に、食事にしないか?」
ずっと静かに僕たちの様子を見守っていてくれたラパンが、そろそろいいんじゃないかと、声をかけてきた。
「あ、そうだよ。……ユキは何食べたい?」
「シロと一緒のがいい!」
僕がユキに足ダンされていた場所は、いつもの食事処ではなく、カラオケボックスのようなところ。個室や少し広い部屋などがあって、多目的で使えるようになっている。
食事も頼めるけど、食事処のような珍しいものはなく、シンプルなメニューだ。
積もる話もあるから、食べながら……と思ったのに、僕は会って早々ユキに怒られてしまった。そしてユキの不満を聞きながら、足ダンされていたんだ。
「シロ、大変だったんだね」
「ユキも呼び出せないし、どうしようかと思ったよ」
食事が終わったあと、僕は、ユキにあの日のことをかいつまんで話をした。
ユキと僕との関係は、どれだけ親しくなっても、ゲーム内のプレイヤーとサポートキャラということは変わらない。
だから、僕とラパンが現実でも繋がりがあったと判明したことは、あえて話していない。
僕が伝えたのは、ユキがメンテナンスで呼び出せなくて困ったこと、ログアウトボタンがなくて焦ったということ。
サポートキャラだから、メンテナンス情報とか、エラーについてのお知らせなどはデータとして読み込まれているらしい。けど、メンテナンスの間の記憶はないらしい。
「でも、その間にシロは頑張ったんだね」
「うん、僕も少しは成長したと思うよ!」
ユキに褒めてもらって、僕はちょっと自慢げに返事をした。いつまでも危なっかしい僕じゃないんだから。
「シロは、今日も夕方にはログアウトするの?」
「あ! それがね、今日からはお泊まりもできるようになったんだ」
「じゃあ、布団で寝る前に話したり?」
「そうだね。たくさん話をしようか」
僕とユキは、まるで修学旅行の学生のように、キャッキャとはしゃいで盛り上がった。
僕が病院にいた時は、1時間と決められていたけど、今日からは2時間までOKになった。
昴さんの会社からのログインだから、トラブルにもすぐ対応してくれるだろうと、両親から許可が下りたんだ。
入院中の検査結果も特に問題はなく、安定しているとのことだった。まだデータとしては少ないけど、VRゲームでの体験が良い影響を及ぼしているのかもしれないと言われた。
「じゃあ、メプさんのところに挨拶に行こうか」
「うん! モモチもいるかなー?」
「モモチ?」
ラパンが聞き返すから、説明をしようとしたら、ユキが間に挟まってきた。
「前のサポートキャラだよー。メプさんも、モモチも。今はグリーンヒルで、まったり暮らしてるの。時々新旧サポートキャラが集まって情報交換するから、定期的に会ってるよ」
「そうなのか。それは知らなかったな」
ラパンは本当に驚いたようだった。ゲーム制作に関わっていても、知らないことも多いのかな?
ゲーム内のことは、サポートキャラのユキのほうが詳しいのかもしれない。
今回はお泊まりもできるということで、ログイン中に何をしようかと話し合った。そしてやることも決まったので、そろそろメプさんのところに向かうことにした。
「イタタタ! ごめん、ごめんってば!」
僕の背中に飛び乗って足ダンしているのは、僕のうさぎのサポートキャラであり、大切な相棒のユキだ。
前回のログアウトの時、『明日はログインしたらすぐ呼び出すからね』と約束したんだ。
「すぐ呼び出すって言った!」
「本当にごめん! 初めて自分で作ったアイテムを、ラパンに見てもらってたんだ」
ユキにはこう言ったけど、本当はログインしてすぐ、僕はラパンと2人で……。
思い出すと、顔が熱くなる。あの時間は大切な思い出として僕の心にしまっておきたいんだ。
ユキには悪いけど、本当のことは話せない。
「それなら、僕だって見たいのに……!」
変わらず足ダンしているユキだけど、その力は弱々しくなっていて、僕に訴える声は寂しそうに聞こえた。
「ほら。まだちょっとだけなんだけど、回復薬とか聖水作ったんだよ。1人でモンスターも倒したんだから」
背中にユキを乗せたまま、僕はマジックバッグからアイテムを取り出して、ユキに見せようと腕を伸ばした。
初心者の部屋で教えてもらって作ったものだから、正直誰でも作れるのかもしれない。でも僕は嬉しかったんだ。
1人でモンスターを倒して、材料採取した話だって聞いてもらいたい。
僕が一生懸命説明していたら、背中からユキが降りてきて、いつものように肩に飛び乗った。
「モンスター1人で倒したの? すごい!」
「うん、スライムとかきのこだけどね」
「どうやって倒したの?」
「足止めの魔法で動きを止めてから、スライムには雷の魔法、きのこには弓で遠距離攻撃をしたよ」
「シロ、攻撃魔法覚えたの?」
ユキはさっきまで怒っていたのをすっかり忘れたみたいで、僕の話を夢中になって聞いてくれた。そして魔法を使ったと言ったら、興奮気味に肩から飛び降り僕の目の前に飛び込んできた。
「わっ」
慌ててユキをキャッチしたら、もっと話を聞かせて! と、僕の手のひらの上で飛び跳ねた。
「先に、食事にしないか?」
ずっと静かに僕たちの様子を見守っていてくれたラパンが、そろそろいいんじゃないかと、声をかけてきた。
「あ、そうだよ。……ユキは何食べたい?」
「シロと一緒のがいい!」
僕がユキに足ダンされていた場所は、いつもの食事処ではなく、カラオケボックスのようなところ。個室や少し広い部屋などがあって、多目的で使えるようになっている。
食事も頼めるけど、食事処のような珍しいものはなく、シンプルなメニューだ。
積もる話もあるから、食べながら……と思ったのに、僕は会って早々ユキに怒られてしまった。そしてユキの不満を聞きながら、足ダンされていたんだ。
「シロ、大変だったんだね」
「ユキも呼び出せないし、どうしようかと思ったよ」
食事が終わったあと、僕は、ユキにあの日のことをかいつまんで話をした。
ユキと僕との関係は、どれだけ親しくなっても、ゲーム内のプレイヤーとサポートキャラということは変わらない。
だから、僕とラパンが現実でも繋がりがあったと判明したことは、あえて話していない。
僕が伝えたのは、ユキがメンテナンスで呼び出せなくて困ったこと、ログアウトボタンがなくて焦ったということ。
サポートキャラだから、メンテナンス情報とか、エラーについてのお知らせなどはデータとして読み込まれているらしい。けど、メンテナンスの間の記憶はないらしい。
「でも、その間にシロは頑張ったんだね」
「うん、僕も少しは成長したと思うよ!」
ユキに褒めてもらって、僕はちょっと自慢げに返事をした。いつまでも危なっかしい僕じゃないんだから。
「シロは、今日も夕方にはログアウトするの?」
「あ! それがね、今日からはお泊まりもできるようになったんだ」
「じゃあ、布団で寝る前に話したり?」
「そうだね。たくさん話をしようか」
僕とユキは、まるで修学旅行の学生のように、キャッキャとはしゃいで盛り上がった。
僕が病院にいた時は、1時間と決められていたけど、今日からは2時間までOKになった。
昴さんの会社からのログインだから、トラブルにもすぐ対応してくれるだろうと、両親から許可が下りたんだ。
入院中の検査結果も特に問題はなく、安定しているとのことだった。まだデータとしては少ないけど、VRゲームでの体験が良い影響を及ぼしているのかもしれないと言われた。
「じゃあ、メプさんのところに挨拶に行こうか」
「うん! モモチもいるかなー?」
「モモチ?」
ラパンが聞き返すから、説明をしようとしたら、ユキが間に挟まってきた。
「前のサポートキャラだよー。メプさんも、モモチも。今はグリーンヒルで、まったり暮らしてるの。時々新旧サポートキャラが集まって情報交換するから、定期的に会ってるよ」
「そうなのか。それは知らなかったな」
ラパンは本当に驚いたようだった。ゲーム制作に関わっていても、知らないことも多いのかな?
ゲーム内のことは、サポートキャラのユキのほうが詳しいのかもしれない。
今回はお泊まりもできるということで、ログイン中に何をしようかと話し合った。そしてやることも決まったので、そろそろメプさんのところに向かうことにした。
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