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74. 歓迎
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「俺は、屋敷にいるよりも、街に出て領民たちと触れ合ってる時間のほうが長かったんだ。今までアーホルン公爵家にいなかった人間が突然やってきて、『この人が次期当主だ』なんて言われても、領民たちは納得するわけないだろう? だから、まずは領民たちの生活を知ることから始めようと思ったんだ」
「でも、アーホルン公爵は、家の仕事を覚えてほしかったんじゃないの?」
「もちろんその思いもあったと思う。けど、領民あってこそのアーホルン領という考えは、アーホルン公爵家代々の考えなんだそうだ」
「すごい。オメガに偏見がないだけじゃなくて、民に寄り添う統治をしてきたんだね」
僕がフレッドの話を感心しながら聞いていると、領民たちはとても誇らしげにうなずいていた。
「もともと俺は身寄りがなく孤児院育ちだろう? だからお屋敷内での業務や貴族相手の外交なんかよりも、領民たちと一緒に、汗水たらして街の発展に貢献したほうが、よっぽど性に合うんだ」
「フレッド様が来てくれたから、かなり助かったんですよ。労働力というのもありますけど、公爵様に皆の要望などしっかりと伝えて、迅速に対応していただけるようになって、さらに住み良い街になりました」
うんうんと皆でうなずき合う。
ハイネル家も、僕がオメガだと分かる前のお父様は、領民たちにも家族にもとても寄り添ってくれていた。だからこそ、嘆願書の協力を依頼したときは、みな喜んで協力してくれたのだと思う。
学院入学準備をしているあたりから、お父様のもとにはおじい様から頻繁に連絡が入っていたらしい。アルファ至上主義の考えを持つ家系だから、もしかしたら、おじい様やおばあ様からの重圧があったのかもしれない。だから、あんな行動を取ってしまったのだと思う。
あの日々は辛かったけど、これからのハイネル家も、アーホルン家と同様に開かれた統治をしていくだろう。
「孤児だった俺を受け入れてくれるのだろうかという心配をよそに、ここの人たちはとても良くしてくれた。だから俺もそれに応えなくてはと思ったんだ。俺を受け入れてくれた大切な人たちに、早くミッチを会わせたかった。きっとすぐ気に入ってくれると少しも疑わなかったよ」
フレッドは、「ほらな?」と言いながら、何度目かの拍手喝采をする領民たちに、笑顔で手を振り返した。
その日は日が暮れるまで、街を散策した。
挨拶をしたあと、領民たちが僕の手を引き、あちらこちらへと連れて行ってくれた。
美味しい食べ物のあるお店、可愛い雑貨のあるお店、ちょっとした遊びのできる店など、様々だった。
さんざん紹介してくれたのに、まだまだ足りないらしく「ミッチ様、お泊りしないの?」って、子どもたちに懇願されてしまった。
子どもたちの言葉を聞いて、大人たちまで「そうですよ、フレッド様とお二人でゆっくりされるのはどうですか? 夜景が綺麗ですよ」そう言って、宿泊を勧めてきた。
泊まりたいのは山々だけど、明日にはハイネル家に戻らないとならない。夜の食事はアーホルン公爵家で頂く予定になっている。
「また日を改めて訪ねてくるので、そのときはもっとたくさんの場所を案内してくださいね」
申し訳無さそうに謝る僕に、皆は「もちろんですー」「任せてください」「楽しみだわー」と、口々に嬉しそうに言った。
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです。オメガの僕を受け入れていただけるか不安だったけど、こんなに歓迎していただけるなんて思ってもみなくて……。本当に来てよかったです。これからもよろしくお願いします」
僕が帰り際に挨拶をすると、領民の一人が近くに来て言った。
「オメガもアルファもベータも、みんな同じ人間です。分けて考えるのがおかしいんですよ。私は他の領土からやってきたのですが、本当に来てよかった」
「そう……ですね。皆同じなんですよね」
僕は、込み上げてくる涙をぐっと抑え、笑顔で手を振りながら、広場をあとにした。
「でも、アーホルン公爵は、家の仕事を覚えてほしかったんじゃないの?」
「もちろんその思いもあったと思う。けど、領民あってこそのアーホルン領という考えは、アーホルン公爵家代々の考えなんだそうだ」
「すごい。オメガに偏見がないだけじゃなくて、民に寄り添う統治をしてきたんだね」
僕がフレッドの話を感心しながら聞いていると、領民たちはとても誇らしげにうなずいていた。
「もともと俺は身寄りがなく孤児院育ちだろう? だからお屋敷内での業務や貴族相手の外交なんかよりも、領民たちと一緒に、汗水たらして街の発展に貢献したほうが、よっぽど性に合うんだ」
「フレッド様が来てくれたから、かなり助かったんですよ。労働力というのもありますけど、公爵様に皆の要望などしっかりと伝えて、迅速に対応していただけるようになって、さらに住み良い街になりました」
うんうんと皆でうなずき合う。
ハイネル家も、僕がオメガだと分かる前のお父様は、領民たちにも家族にもとても寄り添ってくれていた。だからこそ、嘆願書の協力を依頼したときは、みな喜んで協力してくれたのだと思う。
学院入学準備をしているあたりから、お父様のもとにはおじい様から頻繁に連絡が入っていたらしい。アルファ至上主義の考えを持つ家系だから、もしかしたら、おじい様やおばあ様からの重圧があったのかもしれない。だから、あんな行動を取ってしまったのだと思う。
あの日々は辛かったけど、これからのハイネル家も、アーホルン家と同様に開かれた統治をしていくだろう。
「孤児だった俺を受け入れてくれるのだろうかという心配をよそに、ここの人たちはとても良くしてくれた。だから俺もそれに応えなくてはと思ったんだ。俺を受け入れてくれた大切な人たちに、早くミッチを会わせたかった。きっとすぐ気に入ってくれると少しも疑わなかったよ」
フレッドは、「ほらな?」と言いながら、何度目かの拍手喝采をする領民たちに、笑顔で手を振り返した。
その日は日が暮れるまで、街を散策した。
挨拶をしたあと、領民たちが僕の手を引き、あちらこちらへと連れて行ってくれた。
美味しい食べ物のあるお店、可愛い雑貨のあるお店、ちょっとした遊びのできる店など、様々だった。
さんざん紹介してくれたのに、まだまだ足りないらしく「ミッチ様、お泊りしないの?」って、子どもたちに懇願されてしまった。
子どもたちの言葉を聞いて、大人たちまで「そうですよ、フレッド様とお二人でゆっくりされるのはどうですか? 夜景が綺麗ですよ」そう言って、宿泊を勧めてきた。
泊まりたいのは山々だけど、明日にはハイネル家に戻らないとならない。夜の食事はアーホルン公爵家で頂く予定になっている。
「また日を改めて訪ねてくるので、そのときはもっとたくさんの場所を案内してくださいね」
申し訳無さそうに謝る僕に、皆は「もちろんですー」「任せてください」「楽しみだわー」と、口々に嬉しそうに言った。
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです。オメガの僕を受け入れていただけるか不安だったけど、こんなに歓迎していただけるなんて思ってもみなくて……。本当に来てよかったです。これからもよろしくお願いします」
僕が帰り際に挨拶をすると、領民の一人が近くに来て言った。
「オメガもアルファもベータも、みんな同じ人間です。分けて考えるのがおかしいんですよ。私は他の領土からやってきたのですが、本当に来てよかった」
「そう……ですね。皆同じなんですよね」
僕は、込み上げてくる涙をぐっと抑え、笑顔で手を振りながら、広場をあとにした。
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