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本編
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結局、俺の鞄を貸した。
いややるんかい、叩いて被ってジャンケンポンを。教室だっけ、ここ。
でもおかげで大分緊張は溶けた。気遣いだったのかな。だったら気遣いの鬼すぎて逆に怖いけど。
そんなこんなで馬車でえっちらおっちら目的地まで。馬車の音につける擬音語ってなんなんだろう?ガタゴト?
というわけで、ザ・ヨーロピアン貴族の館に着きまして、その入口に入ったところで、ですよ。
「ギャーーーッ!!何でいんだよ!!」
アーウィンの家、ユーノヴェルト辺境伯邸についた瞬間、ルドガーが叫んだ。おもしろ。さっき面白がられたせいで、俺にも面白がる余裕が出来た。
ざまあみろ、人を笑ってるからそうなるんだ、とまで言う余裕はなかったけど。
「兄貴!!」
「やだな~、ルドガーちゃんてば。オレが魔術で『聞いて』ないとでも思ってたの」
「盗聴やめろや!!マジで!!」
ユリウス、だ。
ユリウス・フォン・ラドウィン、魔術一族ラドウィン家当主、千年に一度の天才魔術師にして魔法学者。ルドガーの一番上の兄で、ゲームでは……八年前の魔竜との戦いで死んで、死んでなお、遺した封印魔術で魔竜を押し留めていた。
ほ、本物だぁ~~~~~~~~。
「どうも~救世主くん。ルドガーのお兄ちゃんで~す」
「は、はひ……ど、どうも……」
ルドガーでも思ったけど、銀髪赤目、人外っぽくて怖い。ギリギリそばかすのおかげで人間っぽく感じるけど。
「オレほんとにそのゲームの話だと、あの戦いで死んでたっぽい反応だな~。ウケるね」
ウケるんだ、それ。
「ウケるなよ。あんたが死んだらあの戦場、ほんとに大変なことになってたの、記録でしか知らないオレでも分かるんだから」
「あはは、まあそう。クロード殿もね」
推しの名前が急に出てきて一瞬心臓止まった。クロード殿、クロード殿って言った……生の呼び掛け聞いちゃった……。
最強格と推しが仲良いの、めっちゃエモいんだよな……まあ過去編みんなそれぞれの分野で最強格なんだけど……。
「ユリウスさん、兄上に会いました?」
「ああうん、いまちょっと、陛下と」
「ああ……」
陛下。陛下って言った?陛下って、えーっと、この場合、その……あの……あの人、なんだよな……?
俺が頭の中で、ぐるぐると思考を回していれば、廊下を歩いてくる音がした。
赤毛青目、の、美青年。
うわーーーーーーーーーーーーッ!!!!
クロード、クロードだ。ユーノヴェルト辺境伯、白花の勇者、癒炎剣アレストの使い手。ゲームでは八年前での戦いで、全身全霊を尽くして戦い、命を賭して魔竜封印に貢献した悲劇の勇者。
え、え、マジで、生きてる、マジでいる。
なあなあなあ!?お、推しの実在ってさぁ!比喩じゃなくてマジなことある?あったんだなぁ……。
ここで俺の異世界トラベル終わりにしてよくない?いいよね?
だって、あの、見ないようにしてたけど、その、あの……隣に……隣にいるんですよ。
長い青い髪に、金の目の、めちゃくちゃ背の高い人が。
おれたちの、トラウマが。
「ギャーーーーーーーッッッ!!射程十マス二回行動近接確定クリティカルカウンターディスペル即奥義特攻無効地形無効!!」
最恐裏ボス狂王陛下じゃないっすかぁ!!!!!!!!!!!!!!
え、え、何で、何で、いやここだと平和だからまだ普通に普通の王様なのか。いやでもでもでも怖すぎ、特殊バッドエンドの『お前が未熟だったのではない、滅びる運命だっただけだ』がテロップで流れまくるんですけど!!??
「おーい、どうしたどうした」
「ゲームの話じゃない?」
ごめん!!ごめん!!うるさくしてごめん!!でも、でもさあ!!情緒めちゃくちゃになるんだけど!!推しとトラウマが並んでるの!!どうしたらいい!?
「正気を失っているとは、聞いていなかったのだが?」
ウワーーーーッ!!!シャベッタァァァア!!!めっちゃいい声してますねぇ!!!!???ラスボス!ラスボスっぽい!!いや裏ボスだったんだけど!!!!
「す"い"ま"せ"ん"!す"い"ま"せ"ん"!!あのっあのっトラウマが、トラウマが!!!!!!」
「おーよしよし、陛下デカくて目つき悪くて怖いね~。アーウィン、ルドガー、ちょっと落ち着くまで、側にいて上げな~」
しょ、小動物みたいな扱いをされている……。
ごめん、本当にごめん、でも怖い、怖すぎ。ワーーーッ!!クロードに気まずそうな顔されてる!!そ、そんな、そんな顔するんですね!?推せる!!推せ……と、隣の人怖えよ~~~~~!!!!
「おーい、大丈夫か」
「じょ、情緒おかしくなる……」
「もしかして陛下って敵だった?」
「そう、そう、ユリウスとかクロードが死んで闇堕ちしちゃってぇ……それでめちゃくちゃ強くてぇ……」
「らしいです」
俺の代わりにアーウィンが取り次いでくれる。助かる、助かる……オタクに優しい学級委員助かる……。
「あ~。なるほど、じゃあ一回仕切り直そっか~。クロード殿、ちょっと陛下しまっといて」
「物や動物じゃないんですから」
ウワーーーーッ!!推し、推しの声よすぎる……苦笑まじりの穏やかそうな声。声がまずイケメンすぎるし、イメージ通りすぎるっていうか、実在……実在してる……。
「それじゃ聞き取り調査しとくんで。……あの、陛下」
「何だ」
「ほどほどに」
「……はは」
何の話してるんだかよくわかんないけど、ただただ王様の笑い声がイケボなだけがわかる。
俺のスローライフ、出だしから情緒が全然スローじゃないんだけど、この調子で大丈夫なんすか!!??む、無理そう!!??
いややるんかい、叩いて被ってジャンケンポンを。教室だっけ、ここ。
でもおかげで大分緊張は溶けた。気遣いだったのかな。だったら気遣いの鬼すぎて逆に怖いけど。
そんなこんなで馬車でえっちらおっちら目的地まで。馬車の音につける擬音語ってなんなんだろう?ガタゴト?
というわけで、ザ・ヨーロピアン貴族の館に着きまして、その入口に入ったところで、ですよ。
「ギャーーーッ!!何でいんだよ!!」
アーウィンの家、ユーノヴェルト辺境伯邸についた瞬間、ルドガーが叫んだ。おもしろ。さっき面白がられたせいで、俺にも面白がる余裕が出来た。
ざまあみろ、人を笑ってるからそうなるんだ、とまで言う余裕はなかったけど。
「兄貴!!」
「やだな~、ルドガーちゃんてば。オレが魔術で『聞いて』ないとでも思ってたの」
「盗聴やめろや!!マジで!!」
ユリウス、だ。
ユリウス・フォン・ラドウィン、魔術一族ラドウィン家当主、千年に一度の天才魔術師にして魔法学者。ルドガーの一番上の兄で、ゲームでは……八年前の魔竜との戦いで死んで、死んでなお、遺した封印魔術で魔竜を押し留めていた。
ほ、本物だぁ~~~~~~~~。
「どうも~救世主くん。ルドガーのお兄ちゃんで~す」
「は、はひ……ど、どうも……」
ルドガーでも思ったけど、銀髪赤目、人外っぽくて怖い。ギリギリそばかすのおかげで人間っぽく感じるけど。
「オレほんとにそのゲームの話だと、あの戦いで死んでたっぽい反応だな~。ウケるね」
ウケるんだ、それ。
「ウケるなよ。あんたが死んだらあの戦場、ほんとに大変なことになってたの、記録でしか知らないオレでも分かるんだから」
「あはは、まあそう。クロード殿もね」
推しの名前が急に出てきて一瞬心臓止まった。クロード殿、クロード殿って言った……生の呼び掛け聞いちゃった……。
最強格と推しが仲良いの、めっちゃエモいんだよな……まあ過去編みんなそれぞれの分野で最強格なんだけど……。
「ユリウスさん、兄上に会いました?」
「ああうん、いまちょっと、陛下と」
「ああ……」
陛下。陛下って言った?陛下って、えーっと、この場合、その……あの……あの人、なんだよな……?
俺が頭の中で、ぐるぐると思考を回していれば、廊下を歩いてくる音がした。
赤毛青目、の、美青年。
うわーーーーーーーーーーーーッ!!!!
クロード、クロードだ。ユーノヴェルト辺境伯、白花の勇者、癒炎剣アレストの使い手。ゲームでは八年前での戦いで、全身全霊を尽くして戦い、命を賭して魔竜封印に貢献した悲劇の勇者。
え、え、マジで、生きてる、マジでいる。
なあなあなあ!?お、推しの実在ってさぁ!比喩じゃなくてマジなことある?あったんだなぁ……。
ここで俺の異世界トラベル終わりにしてよくない?いいよね?
だって、あの、見ないようにしてたけど、その、あの……隣に……隣にいるんですよ。
長い青い髪に、金の目の、めちゃくちゃ背の高い人が。
おれたちの、トラウマが。
「ギャーーーーーーーッッッ!!射程十マス二回行動近接確定クリティカルカウンターディスペル即奥義特攻無効地形無効!!」
最恐裏ボス狂王陛下じゃないっすかぁ!!!!!!!!!!!!!!
え、え、何で、何で、いやここだと平和だからまだ普通に普通の王様なのか。いやでもでもでも怖すぎ、特殊バッドエンドの『お前が未熟だったのではない、滅びる運命だっただけだ』がテロップで流れまくるんですけど!!??
「おーい、どうしたどうした」
「ゲームの話じゃない?」
ごめん!!ごめん!!うるさくしてごめん!!でも、でもさあ!!情緒めちゃくちゃになるんだけど!!推しとトラウマが並んでるの!!どうしたらいい!?
「正気を失っているとは、聞いていなかったのだが?」
ウワーーーーッ!!!シャベッタァァァア!!!めっちゃいい声してますねぇ!!!!???ラスボス!ラスボスっぽい!!いや裏ボスだったんだけど!!!!
「す"い"ま"せ"ん"!す"い"ま"せ"ん"!!あのっあのっトラウマが、トラウマが!!!!!!」
「おーよしよし、陛下デカくて目つき悪くて怖いね~。アーウィン、ルドガー、ちょっと落ち着くまで、側にいて上げな~」
しょ、小動物みたいな扱いをされている……。
ごめん、本当にごめん、でも怖い、怖すぎ。ワーーーッ!!クロードに気まずそうな顔されてる!!そ、そんな、そんな顔するんですね!?推せる!!推せ……と、隣の人怖えよ~~~~~!!!!
「おーい、大丈夫か」
「じょ、情緒おかしくなる……」
「もしかして陛下って敵だった?」
「そう、そう、ユリウスとかクロードが死んで闇堕ちしちゃってぇ……それでめちゃくちゃ強くてぇ……」
「らしいです」
俺の代わりにアーウィンが取り次いでくれる。助かる、助かる……オタクに優しい学級委員助かる……。
「あ~。なるほど、じゃあ一回仕切り直そっか~。クロード殿、ちょっと陛下しまっといて」
「物や動物じゃないんですから」
ウワーーーーッ!!推し、推しの声よすぎる……苦笑まじりの穏やかそうな声。声がまずイケメンすぎるし、イメージ通りすぎるっていうか、実在……実在してる……。
「それじゃ聞き取り調査しとくんで。……あの、陛下」
「何だ」
「ほどほどに」
「……はは」
何の話してるんだかよくわかんないけど、ただただ王様の笑い声がイケボなだけがわかる。
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