救世主くん!君の推しと裏ボス、付き合ってますよ!(…なんだけど、ウチの弟と青春始まってる?)

末野みのり

文字の大きさ
4 / 13
本編

2-1 救世主、着任前からクビです

しおりを挟む
 というわけでね、前回のあらすじをやりますけどね。
 ザ・異世界モノですよ。これほんとに現実?
 それも自分の知ってるゲームの中……と思わせておいて、生存ifの平和世界線なんですけど。これ俺の夢の可能性出てきたな。
 なんせ、推しが、生きています。いやいろいろあってまだ会話はしてないんだけど。二次元オタクに推しの実在は刺激が強すぎる。
 それ以上に、トラウマ級裏ボスの実在が心臓に悪すぎて……。いや、ここの世界線だったら敵じゃないんだけど、ビジュアルが強すぎて……なんかもう……理屈じゃないっていうかぁ……。

「まあ大体わかったかな。パラレルワールドだ」

 前回のあらすじ終わりまして、今です。
 天才魔術師ユリウス様に、出来る話を全部しました。そしたら話が早い。こういうの『そんなことありうる訳が無い!』『救世主を騙る不届き者、追放だ、追放!』とかなるかと思ったけど。
 助かる……スローライフの片鱗が見えてきた……。推し活しながらスローライフ、有りかもしんない……。

「異世界にもパラレルワールドって概念あるんですか?」
「あっはっは、時空間概念の魔術解析はオレの専門分野♡ 聞かせてあげようか、魔術オタクの渾身の『素人質問ですが』と『その術式を作ったのは私なのですが』を」
「ギャーッ!!学会の怖い話じゃないですか!!」
「フフ……これでね、十歳ぐらいから、国中の魔法学者を蹴散らしてきたからね。マジで」

 ユリウスさん、そもそも存在がオタクの好きなやつ過ぎる上に、オタクのやりたい放題してきてて、オタクがわくわくしちゃうな~~~~~!!!?

「何言ってんだこれ」
「楽しそうだからいいんじゃない?」

 陽キャに通じなくてワロタ。
 アーウィンとルドガー、ほんとに平和世界線だと穏やかなお坊ちゃんたちすぎる。弟属性でのんびりしてて、存在しない兄心が擽られる。俺、一人っ子なんだけどさ。

「ま、そういうわけでね。何となく察してたと思うけど、八年前の魔竜討伐で成功してたのがここ、失敗して再封印になって、救世主中心で魔竜討伐に挑むのがゲームの世界だね」
「ゲームの世界でもパラレルワールドって言うんですか?」
「君の世界の誰かが『観測』して娯楽作品にしたってだけでしょ。芸術家のインスピレーションが魔術的託宣なことは、まあまああるよ」
「お……おお………なる、なるほど……?」

 わかるような、わからないような。
 とりあえず、人の名前と過去編までの情報は共有情報として参照していいっぽいことはわかったので、ミリしらで異世界トラベルせずにすんで、ラッキーぐらいの感じではあるっぽい。

「で、本題なんだけど。君は救世主として召喚されたんだけどさ。魔竜を封印する力を持つとか伝説で言われててね」
「ゲームの主人公と同じポジションなんですよね」
「うん。でも魔竜、討伐しちゃったのでね。ごめんだけど、無職です」
「むしょく」

 別になりたいわけでもやりたいわけでもないけど、そんなことある?
 救世主、着任前からクビです。

「じゃあ何で俺連れて来られてるんですか!?」
「それを今から調べま~す」

 今から!!!???
 え、え、マジでスローライフ始まっちゃうじゃん!?俺、バイト週四で入れてるのに!!

「ごめ~ん、魔竜倒した場合、救世主召喚が起こるかどうかわかんなかったから、まあ来たら調べるか~ぐらいで後回しにしてて」
「そ、そんなあやふやな感じで異世界に来ちゃったんですか俺!?」
「うん」

 ええ……ゆるゆるだけど実質追放ものみたいな状況じゃん……それは……。

「というわけで調べている間、《救世主なのに無職になったので、推し活スローライフを始めます!》をしておいてもらって………」
「俺の生活にタイトルまでつけないでくださいよ!?」

 いやそれをやる気満々だったけど、いざ人に言われるとなんかこう……無職救世主のインパクトが強すぎる。悪い方に。

「んじゃ、ちょっと陛下とクロード殿に話してくるから、救世主くんにはお家ツアーでもしてもらってて」
「お~」
「はい。ご案内しますね。ユウ、ユリウスさんに聞きたいこと、他にないかな?」

 なんか出会って初日にして、ルドガーとアーウィンの声聞くと、日常パート来た……みたいな安堵感がある。助かる。
 それにしても、聞きたいこと、聞きたいこと……うーん……。……あ。

「なんでちょいちょい言葉のチョイスが現代日本寄りなんですか?」
「魔術翻訳の影響でしょ~。オレが君と同じ言語喋ってるって思ってる?」

 そりゃそうだ!?日本語な訳ない!!
 ルドガーとアーウィンが『ニホン』という言葉に首を傾げている。そういう固有名詞はそのままってことこれ!?

「えっでも普通に日本語喋ってるように聞こえますけど!?これ救世主特典ですか!?」
「うん。元々思考を読み取って発動できる魔術の系統があるから、それの応用だよ。ここまで自然なのは奇跡ってやつだけど」
「ほ、他にも救世主特典ありそうですか!?」
「調べま~す。ルドガーちゃん、弟くん、あとよろしく~」

 突然テキトーにあしらわれた。これホントに救世主について何もわかってないやつ?
 ユリウスはひらひら手を振って行ってしまって、後に残されたのは俺たち十七歳の三人だけだった。自習の教室の雰囲気すぎる。

「じゃあ、とりあえず客室行こうか。もし救世主来たら滞在してもらうように僕の部屋の近くに準備しておいたから」
「オレの部屋の隣だから、何かあったら呼んでいいからな」
「……修学旅行じゃん、それはもう」
「まあ大体似たような感じで過ごしてもらって。旅のしおり作る?」

 通じるんだ、修学旅行。
 あるんだ、旅のしおり。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました

水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。 世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。 「見つけた、俺の運命」 敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。 冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。 食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。 その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。 敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。 世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。

オメガだと隠して魔王討伐隊に入ったら、最強アルファ達に溺愛されています

水凪しおん
BL
前世は、どこにでもいる普通の大学生だった。車に轢かれ、次に目覚めた時、俺はミルクティー色の髪を持つ少年『サナ』として、剣と魔法の異世界にいた。 そこで知らされたのは、衝撃の事実。この世界には男女の他に『アルファ』『ベータ』『オメガ』という第二の性が存在し、俺はその中で最も希少で、男性でありながら子を宿すことができる『オメガ』だという。 アルファに守られ、番になるのが幸せ? そんな決められた道は歩きたくない。俺は、俺自身の力で生きていく。そう決意し、平凡な『ベータ』と身分を偽った俺の前に現れたのは、太陽のように眩しい聖騎士カイル。彼は俺のささやかな機転を「稀代の戦術眼」と絶賛し、半ば強引に魔王討伐隊へと引き入れた。 しかし、そこは最強のアルファたちの巣窟だった! リーダーのカイルに加え、皮肉屋の天才魔法使いリアム、寡黙な獣人暗殺者ジン。三人の強烈なアルファフェロモンに日々当てられ、俺の身体は甘く疼き始める。 隠し通したい秘密と、抗いがたい本能。偽りのベータとして、俺はこの英雄たちの中で生き残れるのか? これは運命に抗う一人のオメガが、本当の居場所と愛を見つけるまでの物語。

災厄の魔導士と呼ばれた男は、転生後静かに暮らしたいので失業勇者を紐にしている場合ではない!

椿谷あずる
BL
かつて“災厄の魔導士”と呼ばれ恐れられたゼルファス・クロードは、転生後、平穏に暮らすことだけを望んでいた。 ある日、夜の森で倒れている銀髪の勇者、リアン・アルディナを見つける。かつて自分にとどめを刺した相手だが、今は仲間から見限られ孤独だった。 平穏を乱されたくないゼルファスだったが、森に現れた魔物の襲撃により、仕方なく勇者を連れ帰ることに。 天然でのんびりした勇者と、達観し皮肉屋の魔導士。 「……いや、回復したら帰れよ」「えーっ」 平穏には程遠い、なんかゆるっとした日常のおはなし。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

これはハッピーエンドだ!~モブ妖精、勇者に恋をする~

ツジウチミサト
BL
現実世界からRPGゲームの世界のモブ妖精として転生したエスは、魔王を倒して凱旋した勇者ハルトを寂しそうに見つめていた。彼には、相思相愛の姫と結婚し、仲間を初めとした人々に祝福されるというハッピーエンドが約束されている。そんな彼の幸せを、好きだからこそ見届けられない。ハルトとの思い出を胸に、エスはさよならも告げずに飛び立っていく。 ――そんな切ない妖精に教えるよ。これこそが、本当のハッピーエンドだ! ※ノリと勢いで書いた30分くらいでさくっと読めるハッピーエンドです。全3話。他サイトにも掲載しています。

【完結】双子の兄が主人公で、困る

  *  ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……! ルティとトトの動画を作りました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 本編、両親にごあいさつ編、完結しました! おまけのお話を、時々更新しています。 本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

処理中です...