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本編
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ユリウスは遠い目をした。
救世主くんこと、名取夕におおよその話を聞いて、あとは同年代のルドガーとアーウィンに任せて、ひとまず精神状態を安定させてもらうことにして、王とクロードの様子を見にくればこれである。
キスまではいいけど、胸元までとはいえ服を剥くな、服を。こんな短時間で。
「コラーーーーーーッ!!ほどほどにって言ったでしょうが~~~!!」
「ウワーッ!?すいません、すいません!!」
そこでクロード殿の方が謝るんだ。
まあクロード殿が秒で陛下にメロって、なすがままになってるのが直接原因と言えばそう。
「ほどほどにしただろうが。我慢した方だろう」
なんですか陛下、その不本意なムカつき顔は。
この人、クロード殿と付き合ってから、年々様子がおかしくなっていくな。恋愛でここまで破天荒になるタイプだとは、この人の幼馴染歴まあまあ長いけど、全然予測出来なかったんだよな。
「理性のある人はこんな短時間でキスマークまで付けないんですよね」
「つ………ついています、か」
「ついてますね。クロード殿も勘弁して~」
「すいません……」
また謝られた。そこまで倫理観固めなのに、陛下の前でだけ理性ガバガバなのなんでなの。
恋、わかんなさすぎる。
「大体のことは聞きました。けど、陛下と直接話すのはもうちょっと慣れてからの方がいいかもしれないですね。マジでヤバの裏ボスだったらしいんで」
「そうか。……何か特別な力は感じたか」
陛下が急に施政者の言い方してくるので、ついつい笑ってしまう。恋人の腰抱きながらする顔じゃないんだよな~。
「魔術的解析だと読み取れる部分はないですね。発現時だけに感知できるタイプかもしれないんで、しばらく様子見ますけど……」
とはいえ、軍都所蔵も王都所蔵もオレがカバーしてない古いものになると動かせない史料も多いし、まあ普通に日常の仕事もあるんだよな。
「オレもこっちばっかりにいられないんで、護衛兼ってことで、部下こっちに向かわせます。クロード殿、適任者に確認取って書類書かせるから、滞在許可証に領主のサインよろしく」
「はい」
わあクロード殿、聡明なユーノヴェルト辺境伯らしい真面目なお顔。
でも恋人に腰抱かれたままする顔じゃないんだよな。
「煩わしいな。ややこしいことになった」
「それ救世主くんの前で言わないでくださいね」
念の為、釘を差しておこう。これクロード殿と付き合う前だったら即本人に言ってそうだし。
「わかっている。本人も難儀するだろうから生活の苦労はさせるな、他国の王族と同等の扱いで迎え入れろ。クロード、日常のことは任せていいな」
「はい。あまりに過ぎた貴賓の扱いをされても窮屈でしょうから、アーウィンとルドガーから、ご本人の意向を聞き取ります。細かい部分は私の采配で構いませんか」
「ああ」
クロード殿ってやっぱ偉大だな。あの陛下が人の心を思いやっている。
恋が偉大すぎて、イチャつきもまあ、ほどほどならいいかという気になってくる。この四年で、ほどほどの境界線がどんどん押し込まれて来ている気はするけど。
「陛下は王都に向かわれますか」
「ああ。救世主が来たと分かれば、偏屈な教会の老人たちも何か知恵を出すだろう」
イチャつきの姿勢のまま真面目な話するんだ。まあいいけど。
二人の会話のターン入ったし、念話で部下にビビッとスケジュール確認でもしとくかな。
「それでは、事が落ち着きましたら、また」
「……そうだな」
陛下のしょんぼり顔おもしろすぎる。するんだ、そういう顔。恋の影響力、こわすぎ。
「ユリウス殿、救世主殿は落ち着いていますか? 陛下との対面は後に回すとして、私からご挨拶したいのですが」
陛下の腕から抜けて言ったクロード殿の発言は、道理の順序を思えば正しい話だ。
けど、救世主くんの推し、クロード殿なんだよなぁ……。
「いや~……どうかな……」
「救世主からクロードへの熱意、それほどか」
推しへの感情、熱意って言い方するんだ。まあ熱意かも。
「挙動不審になりそうだから、もうちょい弟くんで慣らしたほうがいいかも」
「その、話からすると好意的に見ていただいているようですが……??」
救世主くんの推し、クロード殿らしいよって教えた時もなんかあやふやな反応だったし、全然理解してなさそうでウケるね。
「クロード殿、すでにめちゃくちゃ色んなところでキテレツ奇怪な熱烈ファン産みまくってのに、まだそんな感じなんだ?」
「いや……デルウッド侯爵のことならば、あの方が変わっていただけで……」
「ていうか陛下が一番、クロード殿のファンだと思うけど?てなわけで夕食まで自由時間にしとくんで、好きにしてくだ……オレが退室してから!!!!!!!」
早い早い早い!!すぐ腰抱くじゃん陛下!!
まあお別れのキスぐらい好きにさせてあげるけど、別に見たいわけじゃないんで節度は持って欲し~。
「陛下、ファンというのは……」
「まあ、そうだな」
でしょうね。
まあありがたいけど。それこそゲームの世界で『狂王陛下』なんかやってる人が、ここまで真っ当に善い人やってるんだから、クロード殿には責任持って一生惚れさせ続けて欲しい。
救世主くんこと、名取夕におおよその話を聞いて、あとは同年代のルドガーとアーウィンに任せて、ひとまず精神状態を安定させてもらうことにして、王とクロードの様子を見にくればこれである。
キスまではいいけど、胸元までとはいえ服を剥くな、服を。こんな短時間で。
「コラーーーーーーッ!!ほどほどにって言ったでしょうが~~~!!」
「ウワーッ!?すいません、すいません!!」
そこでクロード殿の方が謝るんだ。
まあクロード殿が秒で陛下にメロって、なすがままになってるのが直接原因と言えばそう。
「ほどほどにしただろうが。我慢した方だろう」
なんですか陛下、その不本意なムカつき顔は。
この人、クロード殿と付き合ってから、年々様子がおかしくなっていくな。恋愛でここまで破天荒になるタイプだとは、この人の幼馴染歴まあまあ長いけど、全然予測出来なかったんだよな。
「理性のある人はこんな短時間でキスマークまで付けないんですよね」
「つ………ついています、か」
「ついてますね。クロード殿も勘弁して~」
「すいません……」
また謝られた。そこまで倫理観固めなのに、陛下の前でだけ理性ガバガバなのなんでなの。
恋、わかんなさすぎる。
「大体のことは聞きました。けど、陛下と直接話すのはもうちょっと慣れてからの方がいいかもしれないですね。マジでヤバの裏ボスだったらしいんで」
「そうか。……何か特別な力は感じたか」
陛下が急に施政者の言い方してくるので、ついつい笑ってしまう。恋人の腰抱きながらする顔じゃないんだよな~。
「魔術的解析だと読み取れる部分はないですね。発現時だけに感知できるタイプかもしれないんで、しばらく様子見ますけど……」
とはいえ、軍都所蔵も王都所蔵もオレがカバーしてない古いものになると動かせない史料も多いし、まあ普通に日常の仕事もあるんだよな。
「オレもこっちばっかりにいられないんで、護衛兼ってことで、部下こっちに向かわせます。クロード殿、適任者に確認取って書類書かせるから、滞在許可証に領主のサインよろしく」
「はい」
わあクロード殿、聡明なユーノヴェルト辺境伯らしい真面目なお顔。
でも恋人に腰抱かれたままする顔じゃないんだよな。
「煩わしいな。ややこしいことになった」
「それ救世主くんの前で言わないでくださいね」
念の為、釘を差しておこう。これクロード殿と付き合う前だったら即本人に言ってそうだし。
「わかっている。本人も難儀するだろうから生活の苦労はさせるな、他国の王族と同等の扱いで迎え入れろ。クロード、日常のことは任せていいな」
「はい。あまりに過ぎた貴賓の扱いをされても窮屈でしょうから、アーウィンとルドガーから、ご本人の意向を聞き取ります。細かい部分は私の采配で構いませんか」
「ああ」
クロード殿ってやっぱ偉大だな。あの陛下が人の心を思いやっている。
恋が偉大すぎて、イチャつきもまあ、ほどほどならいいかという気になってくる。この四年で、ほどほどの境界線がどんどん押し込まれて来ている気はするけど。
「陛下は王都に向かわれますか」
「ああ。救世主が来たと分かれば、偏屈な教会の老人たちも何か知恵を出すだろう」
イチャつきの姿勢のまま真面目な話するんだ。まあいいけど。
二人の会話のターン入ったし、念話で部下にビビッとスケジュール確認でもしとくかな。
「それでは、事が落ち着きましたら、また」
「……そうだな」
陛下のしょんぼり顔おもしろすぎる。するんだ、そういう顔。恋の影響力、こわすぎ。
「ユリウス殿、救世主殿は落ち着いていますか? 陛下との対面は後に回すとして、私からご挨拶したいのですが」
陛下の腕から抜けて言ったクロード殿の発言は、道理の順序を思えば正しい話だ。
けど、救世主くんの推し、クロード殿なんだよなぁ……。
「いや~……どうかな……」
「救世主からクロードへの熱意、それほどか」
推しへの感情、熱意って言い方するんだ。まあ熱意かも。
「挙動不審になりそうだから、もうちょい弟くんで慣らしたほうがいいかも」
「その、話からすると好意的に見ていただいているようですが……??」
救世主くんの推し、クロード殿らしいよって教えた時もなんかあやふやな反応だったし、全然理解してなさそうでウケるね。
「クロード殿、すでにめちゃくちゃ色んなところでキテレツ奇怪な熱烈ファン産みまくってのに、まだそんな感じなんだ?」
「いや……デルウッド侯爵のことならば、あの方が変わっていただけで……」
「ていうか陛下が一番、クロード殿のファンだと思うけど?てなわけで夕食まで自由時間にしとくんで、好きにしてくだ……オレが退室してから!!!!!!!」
早い早い早い!!すぐ腰抱くじゃん陛下!!
まあお別れのキスぐらい好きにさせてあげるけど、別に見たいわけじゃないんで節度は持って欲し~。
「陛下、ファンというのは……」
「まあ、そうだな」
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