10 / 13
本編
3-1 スローライフは衣食住から
しおりを挟む
十七歳にもなって、あんなに白熱するとは……。
あっち向いてホイが……。
おかげで電波ないのに掛かってきた電話のこととか、ぬるっと人外ド天才してきたユリウスに対する恐怖心は落ち着いて眠る事ができた。ほんとにアーウィンとルドガーに助けられている。
「お……はよ……、ごめん、雑魚寝に付き合わせて」
「久しぶりで楽しかったよ。昔はルドガーと結構やってたし」
「お~ガキの頃な」
やっぱりこっちでも昔からの付き合いなんだ。幼馴染って、いいよな……。
しみじみしてる間に、アーウィンは寝起きからテキパキと召使いの人に色々頼んで朝の準備を進めてくれた。
「この服アーウィンの?」
「兄上のお下がりの僕の服」
「ヒョッ」
「出た」
ルドガー!!笑うな~~~!!
お、お、推しの服とかオークションとか参加せずに本物着れていいんですかぁ!?
「お、お、お金いります……?」
「じゃあもらっておこうかな」
「ノるなよ。こっちで使えるわけじゃねぇんだから、帰った時のために少しでも多く残しておいたほうがいいだろ」
もしかしてルドガーの方が常識人という説はある?アーウィンの方が人生エンジョイ勢の香りがしてきたぞ。俺の修学旅行発言にもノッて来てたし……。
「でもオタクには推しのために貢がなければならぬ時が……?」
「どうしても貢ぎたいなら本人にやれよ。この後会うんだから」
「い……息がちゃんと出来る自信がない」
「僕の顔で練習しとく?」
ずい、とアーウィンが顔を近づけてきた。確かに顔はよく似ている。ゲーム中でも、似ている話はめちゃくちゃしてたし……。
でもなんか、なんかこう……。
「いや……アーウィンはアーウィンだなって感じ……」
「ええ?だってユウの知ってるゲームの中の兄上って十七歳でしょ。今の兄上より僕の方が近くない?」
全体的な体格とかはそうなはずなんだけど、表情が違いすぎるんだよな。
「クロードさんと比べると、顔からポジティブと陽気が溢れすぎてんだよ、お前」
「それ」
「それだったかぁ」
あっけらかんとアーウィンは言った。ほんとにそれ。それにしても、クロードが深刻な顔しがちだったの、魔竜討伐の状況的なことだけじゃなかったんだ。
「結構見間違えられるから、いけるかと思って」
「まあ背格好大分似てきたしな」
似てるんだけどな、見た目は本当に。
表情でこんなに印象違うんだってびっくりするぐらい違う。もちろん、ゲームの中のアーウィンとも。
魔竜討伐に失敗した勇者の弟として、称賛も罵声も受け続けたゲームの中のアーウィンは、本当に疲れ果てた顔で、誰のことも信じてなさそうな顔をしていたから。
「じゃあ、ひとまず深呼吸してから行こうか。大丈夫大丈夫、兄上のファンでデルウッド侯爵って人がいてね、もうそれはそれはすごい挙動不審オタクしてくれてて、兄上も慣れてるから。理解は全然してないけど」
「クロード・フォン・ユーノヴェルト、オタクに理解のないタイプなんですか!?解釈一致すぎる!!」
「新規情報でオタクを興奮さすな」
ルドガー、オタクに理解はないけど身内がオタクなせいで行動パターン分かっているタイプだった。助かる。
「え~、オタクに嬉しすぎる解釈一致……困惑苦笑されたい……」
「厄介オタク始めるな。普通に友だちの兄ちゃんに会うつもりで行けって」
「ルドガーやめて。それはそれで別の緊張感が出てくる」
友だちの身内に会うの、めちゃくちゃ緊張しない!?俺だけ!?
「うーん、それ僕も緊張してきたな。家族に友だちって紹介したことないし……。あっち向いてホイめちゃくちゃ強いとか紹介する?」
「それは教えなくていいから!!」
ええまあ、結構勝ったんですよね、昨日のあっち向いてホイ大会。
でもさすがにそれ教えてもらっても困惑するだろ。救世主の能力があっち向いてホイなの。
今のところ、それで困ることなさそうなのが本当にスローライフすぎる。スローライフすぎて、ただのゆる日常ジャンルなんだよな。
あっち向いてホイが……。
おかげで電波ないのに掛かってきた電話のこととか、ぬるっと人外ド天才してきたユリウスに対する恐怖心は落ち着いて眠る事ができた。ほんとにアーウィンとルドガーに助けられている。
「お……はよ……、ごめん、雑魚寝に付き合わせて」
「久しぶりで楽しかったよ。昔はルドガーと結構やってたし」
「お~ガキの頃な」
やっぱりこっちでも昔からの付き合いなんだ。幼馴染って、いいよな……。
しみじみしてる間に、アーウィンは寝起きからテキパキと召使いの人に色々頼んで朝の準備を進めてくれた。
「この服アーウィンの?」
「兄上のお下がりの僕の服」
「ヒョッ」
「出た」
ルドガー!!笑うな~~~!!
お、お、推しの服とかオークションとか参加せずに本物着れていいんですかぁ!?
「お、お、お金いります……?」
「じゃあもらっておこうかな」
「ノるなよ。こっちで使えるわけじゃねぇんだから、帰った時のために少しでも多く残しておいたほうがいいだろ」
もしかしてルドガーの方が常識人という説はある?アーウィンの方が人生エンジョイ勢の香りがしてきたぞ。俺の修学旅行発言にもノッて来てたし……。
「でもオタクには推しのために貢がなければならぬ時が……?」
「どうしても貢ぎたいなら本人にやれよ。この後会うんだから」
「い……息がちゃんと出来る自信がない」
「僕の顔で練習しとく?」
ずい、とアーウィンが顔を近づけてきた。確かに顔はよく似ている。ゲーム中でも、似ている話はめちゃくちゃしてたし……。
でもなんか、なんかこう……。
「いや……アーウィンはアーウィンだなって感じ……」
「ええ?だってユウの知ってるゲームの中の兄上って十七歳でしょ。今の兄上より僕の方が近くない?」
全体的な体格とかはそうなはずなんだけど、表情が違いすぎるんだよな。
「クロードさんと比べると、顔からポジティブと陽気が溢れすぎてんだよ、お前」
「それ」
「それだったかぁ」
あっけらかんとアーウィンは言った。ほんとにそれ。それにしても、クロードが深刻な顔しがちだったの、魔竜討伐の状況的なことだけじゃなかったんだ。
「結構見間違えられるから、いけるかと思って」
「まあ背格好大分似てきたしな」
似てるんだけどな、見た目は本当に。
表情でこんなに印象違うんだってびっくりするぐらい違う。もちろん、ゲームの中のアーウィンとも。
魔竜討伐に失敗した勇者の弟として、称賛も罵声も受け続けたゲームの中のアーウィンは、本当に疲れ果てた顔で、誰のことも信じてなさそうな顔をしていたから。
「じゃあ、ひとまず深呼吸してから行こうか。大丈夫大丈夫、兄上のファンでデルウッド侯爵って人がいてね、もうそれはそれはすごい挙動不審オタクしてくれてて、兄上も慣れてるから。理解は全然してないけど」
「クロード・フォン・ユーノヴェルト、オタクに理解のないタイプなんですか!?解釈一致すぎる!!」
「新規情報でオタクを興奮さすな」
ルドガー、オタクに理解はないけど身内がオタクなせいで行動パターン分かっているタイプだった。助かる。
「え~、オタクに嬉しすぎる解釈一致……困惑苦笑されたい……」
「厄介オタク始めるな。普通に友だちの兄ちゃんに会うつもりで行けって」
「ルドガーやめて。それはそれで別の緊張感が出てくる」
友だちの身内に会うの、めちゃくちゃ緊張しない!?俺だけ!?
「うーん、それ僕も緊張してきたな。家族に友だちって紹介したことないし……。あっち向いてホイめちゃくちゃ強いとか紹介する?」
「それは教えなくていいから!!」
ええまあ、結構勝ったんですよね、昨日のあっち向いてホイ大会。
でもさすがにそれ教えてもらっても困惑するだろ。救世主の能力があっち向いてホイなの。
今のところ、それで困ることなさそうなのが本当にスローライフすぎる。スローライフすぎて、ただのゆる日常ジャンルなんだよな。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました
水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。
世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。
「見つけた、俺の運命」
敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。
冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。
食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。
その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。
敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。
世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。
オメガだと隠して魔王討伐隊に入ったら、最強アルファ達に溺愛されています
水凪しおん
BL
前世は、どこにでもいる普通の大学生だった。車に轢かれ、次に目覚めた時、俺はミルクティー色の髪を持つ少年『サナ』として、剣と魔法の異世界にいた。
そこで知らされたのは、衝撃の事実。この世界には男女の他に『アルファ』『ベータ』『オメガ』という第二の性が存在し、俺はその中で最も希少で、男性でありながら子を宿すことができる『オメガ』だという。
アルファに守られ、番になるのが幸せ? そんな決められた道は歩きたくない。俺は、俺自身の力で生きていく。そう決意し、平凡な『ベータ』と身分を偽った俺の前に現れたのは、太陽のように眩しい聖騎士カイル。彼は俺のささやかな機転を「稀代の戦術眼」と絶賛し、半ば強引に魔王討伐隊へと引き入れた。
しかし、そこは最強のアルファたちの巣窟だった!
リーダーのカイルに加え、皮肉屋の天才魔法使いリアム、寡黙な獣人暗殺者ジン。三人の強烈なアルファフェロモンに日々当てられ、俺の身体は甘く疼き始める。
隠し通したい秘密と、抗いがたい本能。偽りのベータとして、俺はこの英雄たちの中で生き残れるのか?
これは運命に抗う一人のオメガが、本当の居場所と愛を見つけるまでの物語。
災厄の魔導士と呼ばれた男は、転生後静かに暮らしたいので失業勇者を紐にしている場合ではない!
椿谷あずる
BL
かつて“災厄の魔導士”と呼ばれ恐れられたゼルファス・クロードは、転生後、平穏に暮らすことだけを望んでいた。
ある日、夜の森で倒れている銀髪の勇者、リアン・アルディナを見つける。かつて自分にとどめを刺した相手だが、今は仲間から見限られ孤独だった。
平穏を乱されたくないゼルファスだったが、森に現れた魔物の襲撃により、仕方なく勇者を連れ帰ることに。
天然でのんびりした勇者と、達観し皮肉屋の魔導士。
「……いや、回復したら帰れよ」「えーっ」
平穏には程遠い、なんかゆるっとした日常のおはなし。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
これはハッピーエンドだ!~モブ妖精、勇者に恋をする~
ツジウチミサト
BL
現実世界からRPGゲームの世界のモブ妖精として転生したエスは、魔王を倒して凱旋した勇者ハルトを寂しそうに見つめていた。彼には、相思相愛の姫と結婚し、仲間を初めとした人々に祝福されるというハッピーエンドが約束されている。そんな彼の幸せを、好きだからこそ見届けられない。ハルトとの思い出を胸に、エスはさよならも告げずに飛び立っていく。
――そんな切ない妖精に教えるよ。これこそが、本当のハッピーエンドだ!
※ノリと勢いで書いた30分くらいでさくっと読めるハッピーエンドです。全3話。他サイトにも掲載しています。
【完結】双子の兄が主人公で、困る
* ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……!
ルティとトトの動画を作りました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
本編、両親にごあいさつ編、完結しました!
おまけのお話を、時々更新しています。
本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる