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バッドエンド系短編
鬼畜系AV撮影スタジオの、打ち上げ飲み会にて
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※広義の俳優パロ
※前話がAV撮影で行われたシナリオである、という想定の、概念打ち上げバーベキューの様子
※ファンタジー世界になぜかAVスタジオがある、深く考えずにお読みください
===============
「お疲れ様でした~!!」
監督の声が響いて、過酷な現場を終えたスタッフたちは盛り上がった。
鬼畜系AVで知られるスタジオだが、今回の撮影はとにかく長かったし、参加の人数も多かった。
様々な種族の行き交うその中で、先ほど作中で死に、少年の声を当てたばかりの主演が、酒をあおりながら、監督に話しかける。
「なぁ、さすがに俺の声で少年は無理ないか?」
主演の男優の苦笑は、作中と代わりのない穏やかなものだ。撮影中ほとんどの時間を裸で過ごした彼は、反動のように厚着の長袖で、肌のほとんどを隠していた。
「あっ、魔導コンピューターでいい感じにするんで!大丈夫です!」
「すごいな今の技術」
「おじさんくさいこといっちゃって~!ほんと今回もよかったですよ!本当に引退しちゃうんですか!?」
「するって言ったらする。本当におじさんなんだから勘弁してくれ」
「またまた~」
男優と監督は何本ものAVを共に撮ってきた旧友である。特に男優の樹霊特有の髪の色の変化を使った演出は好評で、よく作中に組み込んでいた。
そのほとんどは魔導コンピューターか、カラースプレーを使ってのやらせで、彼本人の愛の色は、撮影中に一度も見せることはなかった。
男優と監督に、一人の巨漢が歩み寄っていく。この撮影でメイン竿役と悪役の両方を務めた男は、作中とはまったく違う、明るい表情を浮かべていた。
「これで引退って本当だったんスか!?引退作に竿役やらせてもらえるとは……光栄っス!!」
「そりゃどうも……が、そのセリフ、トラウマになってそうな奴がいるから、控えめにしといてくれ」
主演が苦笑で笑った先に、寝取られ役の青年の姿があった。ぐずぐずと、鼻水まで出して泣いている。
「こ、こんな……こんなのないですよぉ……」
「脚本。脚本だから」
「なんで最後死ななきゃいけなかったんですかぁ!?」
「そこ書いたの主演本人だし~。俺としては将軍と二人で逃避行して、死ぬまでセックスしまくりの快楽堕ちデスアクメ心中までやってほしかったんだけどな~」
「なんでそんな悪魔みたいなこと考えつくんですか!?」
「監督に任せるとこうなるし、続編が出ちゃうんだよな。だから死んで引退、いいだろ」
朗らかに言って笑った主演に、寝取られ役の青年はまた泣いた。
「この子さ……、演技力はいいけど、鬼畜系向いてないから、これっきりにしたほうがいいっスよ。マジで何回か泣きそうな顔してたし」
竿役の男が、寝取られ役の青年を気遣う。鬼畜な役どころを振られがちな俳優が、気遣いに長けているというのは、この業界ではよくあることだった、
「あ、そういえば君。俺さっき本当にちんこ殴っちゃったよな。痛かったろ」
「いえっ我々の業界ではご褒美ですんでっ!」
「あ~プライベートだとマゾ豚やってんだっけ。ごめんな、今回サド側やらせて。苦情は監督に言って」
「ちょっと~まぁ俺がキャスティングしたんだけどさぁ……このおじさん、ちょっと眼力が強すぎるから、生半可な相手じゃ務まらなくて」
主演が監督を小突いた。
長年の気安さだった。
「いえっ!俺の体格活かせんの、やっぱ鬼畜系ですし、それに今回は……最後の最後であそこまでボコボコにやられるのわかってたんで……めちゃくちゃよかったッス!!」
興奮で目を輝かせた竿役の男は、その悪友を務めた俳優たちに呼ばれて、会釈して去っていった。
そうして、だらだらと飲み会は過ぎていく。
寝取られ役の青年は酒を飲みながらずっと泣いていた。
「あ、二次会で引退祝いしようと思いますけど、もちろん来ますよね?」
「今日はやめとく」
「ええ……最近ほんとに付き合い悪いじゃないですか」
「彼氏が泣いてるから無理だな~」
ふざけて言った主演に、監督は大口を上げて笑った。
「だっはは、おじさんが惚気てる」
「メロメロなんでね」
「お幸せに。引退祝いはまた今度やりましょう」
「ああ。じゃあまた今度」
「ってすぐ帰るんか~~~~い」
「帰るだろ~。ほらダーリン、帰るぞ~」
「うっうっ……、なんで、なんで死んじゃったんですかぁ……」
「まだ言ってる」
「そりゃ言うでしょ。ちゃんと若者のケアしなよ、おじさん」
からかって笑いながら、監督は二人を送り出した。
そうして二人の家に帰り、二人っきりの部屋で、青年は主演を務めきった恋人の頬に、ぺとぺとと触れた。
「生きて、生きてますよね……?」
「生きてるよ。なんなら今からセックス出来るぐらい元気なんだけど」
「あれやった後そんな元気ありませんよぉ……」
「ないのか?ほんとに?美人でかっこよくてお前のことが大好きな恋人が誘っても?」
「……よくない、よくないですよ……げ、元気になっちゃう……あんな、あんな目に遭った後なのに……」
「お前は本当に役に入りすぎるな。あれは俺じゃないし、お前でもないよ」
「う、うう、頭、頭ではわかってる、わかってるんです」
「……俺の、お前のためだけの色を見たくないのか?」
艷やかに笑った恋人が誘う。年若い青年はその顔に見惚れて、頬を赤くした。
「……見たい、見たいです」
「ふふ、じゃあおいで。俺の可愛い恋人」
そう笑った恋人の腕の中に、青年は飛び込んで、その唇に口付けた。
恋人の髪が、恋で愛の、花の色に変わる。
その色は、恋人同士の秘密で、この話はもう、ここで終わりだ。
もう、脚本の外のことなので。
※前話がAV撮影で行われたシナリオである、という想定の、概念打ち上げバーベキューの様子
※ファンタジー世界になぜかAVスタジオがある、深く考えずにお読みください
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「お疲れ様でした~!!」
監督の声が響いて、過酷な現場を終えたスタッフたちは盛り上がった。
鬼畜系AVで知られるスタジオだが、今回の撮影はとにかく長かったし、参加の人数も多かった。
様々な種族の行き交うその中で、先ほど作中で死に、少年の声を当てたばかりの主演が、酒をあおりながら、監督に話しかける。
「なぁ、さすがに俺の声で少年は無理ないか?」
主演の男優の苦笑は、作中と代わりのない穏やかなものだ。撮影中ほとんどの時間を裸で過ごした彼は、反動のように厚着の長袖で、肌のほとんどを隠していた。
「あっ、魔導コンピューターでいい感じにするんで!大丈夫です!」
「すごいな今の技術」
「おじさんくさいこといっちゃって~!ほんと今回もよかったですよ!本当に引退しちゃうんですか!?」
「するって言ったらする。本当におじさんなんだから勘弁してくれ」
「またまた~」
男優と監督は何本ものAVを共に撮ってきた旧友である。特に男優の樹霊特有の髪の色の変化を使った演出は好評で、よく作中に組み込んでいた。
そのほとんどは魔導コンピューターか、カラースプレーを使ってのやらせで、彼本人の愛の色は、撮影中に一度も見せることはなかった。
男優と監督に、一人の巨漢が歩み寄っていく。この撮影でメイン竿役と悪役の両方を務めた男は、作中とはまったく違う、明るい表情を浮かべていた。
「これで引退って本当だったんスか!?引退作に竿役やらせてもらえるとは……光栄っス!!」
「そりゃどうも……が、そのセリフ、トラウマになってそうな奴がいるから、控えめにしといてくれ」
主演が苦笑で笑った先に、寝取られ役の青年の姿があった。ぐずぐずと、鼻水まで出して泣いている。
「こ、こんな……こんなのないですよぉ……」
「脚本。脚本だから」
「なんで最後死ななきゃいけなかったんですかぁ!?」
「そこ書いたの主演本人だし~。俺としては将軍と二人で逃避行して、死ぬまでセックスしまくりの快楽堕ちデスアクメ心中までやってほしかったんだけどな~」
「なんでそんな悪魔みたいなこと考えつくんですか!?」
「監督に任せるとこうなるし、続編が出ちゃうんだよな。だから死んで引退、いいだろ」
朗らかに言って笑った主演に、寝取られ役の青年はまた泣いた。
「この子さ……、演技力はいいけど、鬼畜系向いてないから、これっきりにしたほうがいいっスよ。マジで何回か泣きそうな顔してたし」
竿役の男が、寝取られ役の青年を気遣う。鬼畜な役どころを振られがちな俳優が、気遣いに長けているというのは、この業界ではよくあることだった、
「あ、そういえば君。俺さっき本当にちんこ殴っちゃったよな。痛かったろ」
「いえっ我々の業界ではご褒美ですんでっ!」
「あ~プライベートだとマゾ豚やってんだっけ。ごめんな、今回サド側やらせて。苦情は監督に言って」
「ちょっと~まぁ俺がキャスティングしたんだけどさぁ……このおじさん、ちょっと眼力が強すぎるから、生半可な相手じゃ務まらなくて」
主演が監督を小突いた。
長年の気安さだった。
「いえっ!俺の体格活かせんの、やっぱ鬼畜系ですし、それに今回は……最後の最後であそこまでボコボコにやられるのわかってたんで……めちゃくちゃよかったッス!!」
興奮で目を輝かせた竿役の男は、その悪友を務めた俳優たちに呼ばれて、会釈して去っていった。
そうして、だらだらと飲み会は過ぎていく。
寝取られ役の青年は酒を飲みながらずっと泣いていた。
「あ、二次会で引退祝いしようと思いますけど、もちろん来ますよね?」
「今日はやめとく」
「ええ……最近ほんとに付き合い悪いじゃないですか」
「彼氏が泣いてるから無理だな~」
ふざけて言った主演に、監督は大口を上げて笑った。
「だっはは、おじさんが惚気てる」
「メロメロなんでね」
「お幸せに。引退祝いはまた今度やりましょう」
「ああ。じゃあまた今度」
「ってすぐ帰るんか~~~~い」
「帰るだろ~。ほらダーリン、帰るぞ~」
「うっうっ……、なんで、なんで死んじゃったんですかぁ……」
「まだ言ってる」
「そりゃ言うでしょ。ちゃんと若者のケアしなよ、おじさん」
からかって笑いながら、監督は二人を送り出した。
そうして二人の家に帰り、二人っきりの部屋で、青年は主演を務めきった恋人の頬に、ぺとぺとと触れた。
「生きて、生きてますよね……?」
「生きてるよ。なんなら今からセックス出来るぐらい元気なんだけど」
「あれやった後そんな元気ありませんよぉ……」
「ないのか?ほんとに?美人でかっこよくてお前のことが大好きな恋人が誘っても?」
「……よくない、よくないですよ……げ、元気になっちゃう……あんな、あんな目に遭った後なのに……」
「お前は本当に役に入りすぎるな。あれは俺じゃないし、お前でもないよ」
「う、うう、頭、頭ではわかってる、わかってるんです」
「……俺の、お前のためだけの色を見たくないのか?」
艷やかに笑った恋人が誘う。年若い青年はその顔に見惚れて、頬を赤くした。
「……見たい、見たいです」
「ふふ、じゃあおいで。俺の可愛い恋人」
そう笑った恋人の腕の中に、青年は飛び込んで、その唇に口付けた。
恋人の髪が、恋で愛の、花の色に変わる。
その色は、恋人同士の秘密で、この話はもう、ここで終わりだ。
もう、脚本の外のことなので。
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