「聖女に丸投げ、いい加減やめません?」というと、それが発動条件でした。※シファルルート

ハル*

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瞳に映りこむモノの存在 2 ♯ルート:Sf

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~ナーヴ視点~


“聖女の従者”

現段階での俺の立場は、そうなっているらしい。

ジークに俺のステータスの変化について聞けば、称号めいたものの項目に大層な称号がついたばかりだよと聞かされた。

従者っていうのが下っ端とか小間使いみたいでちょっと嫌なんだが、それでもナニカがついた後は自力じゃ変えようもない。

そして、その称号がついたタイミングが、アイツがアレクたちと禁書庫へ向かって以降のことだとわかる。

ジークの鑑定がアレクの念話同様でスキルアップした影響で、以前見られなかったものが見えたりもして。

とはいえ、だ。

俺たちが見たいと思っているものがあっても、そう上手くはいかないことが多い。

アイツのステータスに関して妨害っぽいのがかかっているやつが、こっちの能力よりも上だから見れないものもあるんじゃないかという説も浮上。

ジークのスキルが上がるのが先か、浄化か他の何かしらが起きるのが先か。

焦れそうになりつつも、日々やれることをやっていくしかないし、やれることを増やしていくしかない。

簡単そうで簡単じゃないことを、先が見えない中で継続するのは地味にキツイ。

そんなことを思いつつも、俺やシファがこれまで続けてきたいろんな研究はそれが当たり前だったしな。

即時即答ってのがなくても、腐らずにいればそのうちどこかで結果が出るはず。

基本的な性格は短気なはずの俺も、自分の体のためでもあり俺と同じ悩みを抱える誰かのために…急いて事を仕損じたくはない。

カルナークは教会とのやりとりを直接見ていたようなもんで、俺はその光景をアレク経由で何回か見せてもらった。

何回か、の理由。

それは教会との話の最中にあった、聖女=アイツの言葉…だ。

今までアイツの性格や行動、発言、その他諸々を聞きたくもないのに聞かされてきて、何となく俺なりにだがどんな人物かを認知していたつもり。

…にもかかわらず、あの場面でのあの発言と、あの物言い。絶対に使わないだろう口調に、声のトーン。

本人以外からの情報だけとはいえ、思っていた性格とは誤差みたいなものがあって首をかしげた。

その中で一番気にかかったのが、最初の方の発言の後に聴こえた小さな…小さな音。

他の誰に確認しても、わからないとか聴こえないというその音。

俺だから聴こえた…と思った方がいいのかもしれないと後になって思う。

カチリという、かすかな音だった。

カルナークとアレクに頼み、繰り返し聴いては自分の中の感覚を信じられるか自問自答し。

何度か聴いて納得したその音は、勘違いじゃなきゃアイツのから聴こえてきた音だ。

それと、言葉に対しての違和感。それに関しては本人の意思で発しているんだろうけども、誰かの意思も混ざっているようにも聞こえた。

例えるなら、感じがして、気持ちが悪かったんだ。

実際、教会のやつらに言いたいことを吐き捨てるように告げて、本人もすこし気持ちが変わった感じでもあった。

なんていうのか、スッキリした感じ? 気分も上がった?

といっても、カルナークからの報告だから、惚れた欲目みたいなものも含まれている気がするがな。

『聖女に丸投げ、いい加減やめません?』←

――多分、この言葉だ。音がしたのも、この言葉の直後。

口論になる前、何度か教会の方で勉強をしたことがあると聞いている。

何度か勉強しつつ、その中で本人的になにか思うところがあっても、きっと何も言わずにきたのかと思えるような台詞の羅列だった。

不満をぶつけたと形容したら、わかりやすい気がする。

(まぁ、確かに不満とかマイナスの感情を抱きかねない環境下ではあったろうな。教会の方は、好き勝手いうだけで大した協力できたわけじゃないし)

とかなんとかあれやこれやと考えながら、俺は上着を手にしていつもの場所へと向かう。

いつもの場所=アイツの部屋、だ。

魔石化の方が一段落つくかと思いきや、ステータスの『未来』という項目に書かれていた内容をどうにも出来ないままなのが問題あり。

ジーク曰く、実は最初の段階で死亡予定と書かれていて、“予定”ならばもしかしたら消えるような出来事が起きるんじゃないかとかいろいろ思っていたよう。

楽観視してたわけじゃないけど、ロクに対策を練っていたわけでもなかったとジーク。

どうしたらいいか…で頭がいっぱいになって、当初三か月先と書かれていたこともあり、優先順位のランクが徐々にずれ込んでいき。

そうこうしている間に、予定と書かれていただけあって期間が長くなったり短くなったり。

ジークはステータスを何かのついでで見るたびに、一喜一憂。後者の方の場合、特に顔に出さないようにするのに必死だったともらしていた。

下手すりゃ浄化前に亡くなる可能性があった時もあったとかいうから、そりゃ慌てただろうな。

なんにせよ、対応も対策もせずに、誰かに相談するタイミングを失い現在…って感じだ。

あれやこれやを反省しているとジークが口にしていたが、何がキッカケで亡くなるかなんてとこまで見えなかったわけだし。手の打ちようがなかったのかもしれない気もしたりして。

最初書かれていた予定が三か月ってことで、もしかしたら浄化のタイミングなんじゃないかと予想をたてていたよう。

だから、浄化のその日に注意を払っていたら、ケガとか程度で命を落とすまではいかないんじゃと思ったりもしたと。というか、思いたかった気持ちの方が強かったと本音を漏らしていた。ジークにしては珍しい話だ。

(浄化自体が死亡の原因になるのか、シファみたいに魔力使いすぎて魔力じゃなく命を削ることになる…とかも、対象に含めて警戒しないとダメじゃね?)

何度となく見た、過去の聖女たちの夢。

実際、その中には浄化自体が命を奪ったものがいくつかあった。

さすがにここまで来たら、希望的観測で行動を決めるのは悪手な気がしている。

(ジークは優しいからな。こうじゃなきゃいいのに…とか考えたくて、そっちにすがって、いい方向に考えようとするところがある。ポジティブな思考自体は悪いことばかりじゃないけど、それも時と場合によりけりだ)

生きるか死ぬかもわからないまま喚びだされる、異世界のダレカ。

俺たちの誰かが死なないのなら、事実を伝えなくていい……というわけじゃないはずだ。

かといって、伝えて、日々怯えながら生きるのも問題あり。それに、自分が死ぬかもしれないことに加担したいなんてバカはいないだろう。

――俺は、瘴気がそばにある限り、命の危機を身近に感じながら生きなきゃいけなかった。

自分が生きるための研究をして、結果を確かめるには命を懸けなきゃいけなくなる。

瘴気自体がどう反応するのかを、自ら確かめなきゃいけないんだから。

他の誰かに任せられることだったらよかったとは思いつつも、研究している人間が結果を人づてに聞かされるのは面白くない。

現段階では、俺が発動した魔法がキモになる上、攻撃魔法とは違って瞬発力よりも持続力を求めたいモノなのに、時間がなさ過ぎて短時間のみの発動しか出来ていない。

だから、誰かに媒体を託してどうするとかが可能なのと不可能なのが出てしまう。

手をこぶしにして、ドアをノックする。

返事はないけど、勝手知ったるなんとやらでドアを開けて入っていく。

「また寝てるし」

シファがこの場所にいるのがデフォになってて、ベッドの横にイスを置き、そのまま寝落ちしていることが多い。

コイツの目が覚めたら、最初に声をかけたいというだけの理由で。

「シ…」

俺が声をかけようとした瞬間、「あ」と短い声がして視線を上げる。

視線の先には、シファが小さな願いをこめてそばにいたはずの彼女。

俺と目を合わせながら人差し指を立てて唇にあて、静かに…と俺に示す。

それを見下ろしつつ、ハイハイという感じで手をヒラヒラ振って返事とする俺。

シファとは反対側のベッド横へと移動し、小声で話しかけた。

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