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第二章 日常のようで非日常
★音のない世界
しおりを挟む首から手が離れた。
男は間髪入れず、股に足を入れてくる。
玉を膝で断続的に刺激され、逃れることが出来ずにいた。
「……は…っ」
声を抑えなければと思うのに息が漏れてしまう。
長い舌が首を這いつくばる。
喉仏や側面を先端で舐め、吸い付いた。
「っ!」
そこは爪の先端によって傷つけられた場所。
真新しい傷からは血が出ていて、吸血鬼族のように夢中で食らいついている。
―――……ジュルジュル。
唾液と血液が男の口内で交わる。
喉を鳴らし、胃へと誘われた。
“左目に傷があって、食事中に目が赤くなっていれば其奴の可能性が高い”
シンさんの言葉を思い出す。
首から口を離した男の目は、真っ赤に染まっていた。
そして眉と左目を繋ぐ傷。
店で見た時、フードの陰で左目が隠れていた。
ただの食屍鬼族かもしれない。
そう思って後を付けた。
一応シンさんに連絡しておくか。
そんな軽い気持ちでスゥにお願いしたのだけれど、結果的には当たっていて。
運が良いのか、それとも悪いのか。
確実に後者だ。
男の背に、赤黒い物体が見え隠れする。
二人のような可愛らしい尻尾ではなくて、触手に近い物だった。
血のような色に、思わず息を飲む。
数本の触手が隠れることを止め、堂々と姿を現した。
アダルトアニメでしかいたことがない触手に、恐怖を感じた。
「い、……ゃだ」
拒否する俺を無視して、首に巻きついてくる。
まるで生きているかのように蠢き、脈打っているのが不快だった。
気持ち悪い。
気持ち悪い。
気持ち悪い。
頭を占めているのはそんな感情で。
快感なんてものは無かった。
「こんな状況で勃起するわけないか」
俺の下半身を見て、つまらなそうに呟いた。
当たり前だという言葉は出てこなくて、無言で男を睨む。
「いいな、その目。凄く良いよ」
男優が言いそうなセリフを口にして、自分のベルトを外した。
下着から取り出された男のモノは完全に勃起していた。
体を寄せ、股間周りに擦り付けてくる。
顔を背けると元の位置に戻され、触手達が体を弄ぶ。
胸や俺のモノを刺激したり、手を頭の上で固定したり、ひざ裏に巻き付いて足を持ち上げたり。
自らの手で支える必要が無くなった男は、指に唾液を絡ませていた。
水気を帯びた指が、秘部へと当てがわれる。
「……っ、…ゃめ…」
容赦なく侵入してくる指に、嫌悪感を抱く。
前立腺を刺激され、「…ヴッ」とくぐもった声が出た。
背筋から脳天にかけて電気が走るようなこの感覚。
二人に刺激された時と同じはずなのに、気持ちがよくないのはなぜだろう。
それなのに反応してしまう体が、今は憎くて仕方がない。
「勃起したな」
満足そうに笑う男。
何がそんなに嬉しいのか。
俺には分からなかった。
「お前の中を存分に味わったら、骨まできっちり喰ってやるよ」
指ではなく、脈打つ熱い塊が入口を撫でる。
「嫌だ。嫌だっ……ぃや」
二人の姿が頭に浮かぶ。
涙が止まらなかった。
二人以外とするなんて……嫌だよ。
嫌だ嫌だ嫌だ。
「泣き顔も良いな」
お前にそんなこと言われても嬉しくない。
「お願いだから、やめ…っ!……ぁ」
大して慣らされていない秘部に、男の先端が押し入ってくる。
その感覚が気持ち悪くて……現実逃避したくて、きつく目をつぶった。
尻を血が伝う。
“あぁ、切れたのか”
そう思うことしかできなくて。
あんなに恐れていた死を、望んでいる自分がいた。
「きっつ」
苦しそうな呟きが、遠くの方で聞こえた。
全ての音が遮断されていく。
男が口を動かして何か言っているが、俺の耳に届くことはない。
これが拒絶なのだと悟る。
俺の世界から、音が消えた。
そう思っていたのに。
「「貴様あぁぁぁぁぁぁ!!!」」
その声だけは、はっきりと聞こえた。
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