16 / 41
第二章
【2】お客様(小さい)
しおりを挟む
夕方、食堂でミートパイを一かけらもらって急いで食べてから、部屋で着替えて寮を出る。
抜け道を急ぎ、塀から路地に踏み出したところで、帽子ごと上からぐしゃっと軽く潰された。
「エル、もっと用心して出て来いよ。気が緩んでるぞ」
出入り口横の壁に寄りかかって待ち構えていたのは、同じく帽子を目深にかぶったアーノルド。ざっくばらんな口調で言って、唇を吊り上げて笑っている。
「失礼しましたっ。三日目だからでしょうか、慣れって怖いですね、気をつけます。ここは、ひとに目撃されるとあまりよろしくないんですよね?」
エルトゥールは素直に謝ってから、帽子をかぶり直してアーノルドを見上げた。
一瞬、真顔になって目を見開いていたアーノルドであったが、すぐにいつもの笑みを浮かべる。
「エルは見た目に寄らず気が強いのに、反省するときは反省するし、潔いところがあるよな。ああ、そうだ、ここはあんまりひとに見られない方が良い。もっともそこまで心配はいらないが。じゃあ、行くか」
早足で歩き出したアーノルド。エルトゥールも、遅れまいとその背を追いかける。
(学校で顔を合わせるときと、少し違う。学校では「お姫様」扱いだけど、仕事では私が「男」のふりをしているから、そっちに合わせているみたい。男友達のように、接してくれている)
最初に「男」の姿で会って打ち解けたせいか、エルトゥールとしては、どちらかといえば仕事のときのアーノルドに親しみを覚えていた。
本当の友達や仲間みたいで、頼りになる先輩。
二日間、二人一組でフロアを走り回っていたせいで、その気持ちは強くなっている。
しかし、その日はシェラザードに着くなり、これまでとは状況が違うことが明らかになった。
* * *
「厨房スタッフが足りないから、俺はそっちに入る。エルのフォローはできないけど、もう座席も頭に入ってるから大丈夫だな? わからないことは無理して手をだすな。困ったときは人を頼れ。お客様は新人の実験台じゃないから、失敗するよりはその方が良い」
「わかりました」
アーノルドに言い含められて、エルトゥールは三日目にして一人でフロアを動き回ることになった。
一日目、二日目は、フロアで呼び止められるたびにアーノルドが客の用件を聞き、エルトゥールに指示を出していた。厨房から出て来た料理も、オーダーと料理が合っていることを確認し、テーブルまで間違わないで運ぶところまで、アーノルドが一緒だった。
ピークの時間帯は息もつけないほどだったが、おかげでメニューにあるほとんどの料理を目にする機会があった。
テーブルまでの動線も、アーノルドを追いかけていたおかげで、なんとなく身に着いている。
(三日目だ。右も左もわからない状態じゃない。不測の事態さえなければ、乗り切れる。空気に飲まれるな。慌てない、焦らない)
自分に言い聞かせて、フロアに出る。
「店員さん、注文いいか。羊の胃袋煮込みスープ、茄子の冷製、串焼き肉と、ラビオリ」
「はい!」
オーダーシートにさらさら書きつけて厨房に戻ろうとすると、すかさず「こっちも!」と呼び止められる。聞いているそばから、背後のテーブルからドリンクのオーダーが叫ばれた。
(大丈夫大丈夫、慌てない、焦らない。焦るとミスをする、冷静になろう)
注文が連続すると、顔が強張りそうになる。
そのたびに、アーノルドの笑顔を思い出して平常心を取り戻そうと努めた。
どれだけたてこんでも、アーノルドはそのすべてに笑顔で対応していた。動揺を顔に出すことなく、失敗することもなく。
客席が満席に近づくにつれ、周りのスタッフやエルトゥールの緊張は高まっていったが、厨房にいるアーノルドと目が合うと「大丈夫?」と素早く聞かれる。
そのたびに「問題ないです!」と答え続けた。
(慣れよう。この空気。この速さ。アーノルド様みたいに、優雅に動きたい)
初めて仕事を教わったアーノルドが、そのまま仕事をする上での目標が憧れになっている。エルトゥールは、彼の仕事ぶりをイメージしながら動き、乗り切ろうとする。
幸い、出入り口で客席に案内する係はベテランが対応していたので、そちらは気にしなくても大丈夫であった。
そう思っていた矢先、店先で新規の客に対応する店員の横を、何かがすり抜けてくるのが見えた。
一瞬の隙をつけいたのは、小柄な人影。一人だけ。
(子ども……!? 誰かの連れかな!?)
この店で働き出して二日間、エルトゥールは子どもの客を目にしていなかったが、場合によっては連れてくるひともいるかもしれない。
子どもの周りに大人の姿はないようだが、はぐれて先に一人で入ってきたのだろうか。
たまたま料理を運んだ直後で手は空いており、誰にも呼び止められることもなく、ほんのわずかに余裕ができていた。
エルトゥールは、その子どもの方へと歩み寄った。
はぐれているなら、連れを見つけるなりしなければならない、その一心で。
何しろ、いかにもすぐに汚れてしまいそうな白いドレスを身に着けた小さな女の子で、すでに周囲の酔客から好奇の目を投げかけられている。
(近くに大人がいなくて、一人と知られれば、どんな冷やかしをされるかわからない。中には手を出すような客も)
そこまで客層が悪い店とは感じていなかったが、「港町特有の喧嘩っ早い空気はある」と言い含められているのだ。
か弱い子どもを、放っておけない。
「どうしたの? ひとり?」
きょろきょろと店内を見回している子どもの背後から、できるだけ優しい口調を心がけて声をかける。
子どもは、長い髪を靡かせて、ぱっと振り返った。
目鼻立ちの整った、きっぱりとした美人顔。強い光を放つ深緑の瞳。
「ひとりよ? あなた店員よね。席に案内しなさいよ。入口の男、いつまでも私に気付かないで、とても失礼でしたわ。まさか、ひとりの客はだめなんてことはないですよね?」
子ども特有の甘さを帯びた、澄んだ声。
エルトゥールは、振り返ったその顔に目を奪われ、咄嗟に言葉を失っていた。
(聖女……、リーズロッテさん!?)
抜け道を急ぎ、塀から路地に踏み出したところで、帽子ごと上からぐしゃっと軽く潰された。
「エル、もっと用心して出て来いよ。気が緩んでるぞ」
出入り口横の壁に寄りかかって待ち構えていたのは、同じく帽子を目深にかぶったアーノルド。ざっくばらんな口調で言って、唇を吊り上げて笑っている。
「失礼しましたっ。三日目だからでしょうか、慣れって怖いですね、気をつけます。ここは、ひとに目撃されるとあまりよろしくないんですよね?」
エルトゥールは素直に謝ってから、帽子をかぶり直してアーノルドを見上げた。
一瞬、真顔になって目を見開いていたアーノルドであったが、すぐにいつもの笑みを浮かべる。
「エルは見た目に寄らず気が強いのに、反省するときは反省するし、潔いところがあるよな。ああ、そうだ、ここはあんまりひとに見られない方が良い。もっともそこまで心配はいらないが。じゃあ、行くか」
早足で歩き出したアーノルド。エルトゥールも、遅れまいとその背を追いかける。
(学校で顔を合わせるときと、少し違う。学校では「お姫様」扱いだけど、仕事では私が「男」のふりをしているから、そっちに合わせているみたい。男友達のように、接してくれている)
最初に「男」の姿で会って打ち解けたせいか、エルトゥールとしては、どちらかといえば仕事のときのアーノルドに親しみを覚えていた。
本当の友達や仲間みたいで、頼りになる先輩。
二日間、二人一組でフロアを走り回っていたせいで、その気持ちは強くなっている。
しかし、その日はシェラザードに着くなり、これまでとは状況が違うことが明らかになった。
* * *
「厨房スタッフが足りないから、俺はそっちに入る。エルのフォローはできないけど、もう座席も頭に入ってるから大丈夫だな? わからないことは無理して手をだすな。困ったときは人を頼れ。お客様は新人の実験台じゃないから、失敗するよりはその方が良い」
「わかりました」
アーノルドに言い含められて、エルトゥールは三日目にして一人でフロアを動き回ることになった。
一日目、二日目は、フロアで呼び止められるたびにアーノルドが客の用件を聞き、エルトゥールに指示を出していた。厨房から出て来た料理も、オーダーと料理が合っていることを確認し、テーブルまで間違わないで運ぶところまで、アーノルドが一緒だった。
ピークの時間帯は息もつけないほどだったが、おかげでメニューにあるほとんどの料理を目にする機会があった。
テーブルまでの動線も、アーノルドを追いかけていたおかげで、なんとなく身に着いている。
(三日目だ。右も左もわからない状態じゃない。不測の事態さえなければ、乗り切れる。空気に飲まれるな。慌てない、焦らない)
自分に言い聞かせて、フロアに出る。
「店員さん、注文いいか。羊の胃袋煮込みスープ、茄子の冷製、串焼き肉と、ラビオリ」
「はい!」
オーダーシートにさらさら書きつけて厨房に戻ろうとすると、すかさず「こっちも!」と呼び止められる。聞いているそばから、背後のテーブルからドリンクのオーダーが叫ばれた。
(大丈夫大丈夫、慌てない、焦らない。焦るとミスをする、冷静になろう)
注文が連続すると、顔が強張りそうになる。
そのたびに、アーノルドの笑顔を思い出して平常心を取り戻そうと努めた。
どれだけたてこんでも、アーノルドはそのすべてに笑顔で対応していた。動揺を顔に出すことなく、失敗することもなく。
客席が満席に近づくにつれ、周りのスタッフやエルトゥールの緊張は高まっていったが、厨房にいるアーノルドと目が合うと「大丈夫?」と素早く聞かれる。
そのたびに「問題ないです!」と答え続けた。
(慣れよう。この空気。この速さ。アーノルド様みたいに、優雅に動きたい)
初めて仕事を教わったアーノルドが、そのまま仕事をする上での目標が憧れになっている。エルトゥールは、彼の仕事ぶりをイメージしながら動き、乗り切ろうとする。
幸い、出入り口で客席に案内する係はベテランが対応していたので、そちらは気にしなくても大丈夫であった。
そう思っていた矢先、店先で新規の客に対応する店員の横を、何かがすり抜けてくるのが見えた。
一瞬の隙をつけいたのは、小柄な人影。一人だけ。
(子ども……!? 誰かの連れかな!?)
この店で働き出して二日間、エルトゥールは子どもの客を目にしていなかったが、場合によっては連れてくるひともいるかもしれない。
子どもの周りに大人の姿はないようだが、はぐれて先に一人で入ってきたのだろうか。
たまたま料理を運んだ直後で手は空いており、誰にも呼び止められることもなく、ほんのわずかに余裕ができていた。
エルトゥールは、その子どもの方へと歩み寄った。
はぐれているなら、連れを見つけるなりしなければならない、その一心で。
何しろ、いかにもすぐに汚れてしまいそうな白いドレスを身に着けた小さな女の子で、すでに周囲の酔客から好奇の目を投げかけられている。
(近くに大人がいなくて、一人と知られれば、どんな冷やかしをされるかわからない。中には手を出すような客も)
そこまで客層が悪い店とは感じていなかったが、「港町特有の喧嘩っ早い空気はある」と言い含められているのだ。
か弱い子どもを、放っておけない。
「どうしたの? ひとり?」
きょろきょろと店内を見回している子どもの背後から、できるだけ優しい口調を心がけて声をかける。
子どもは、長い髪を靡かせて、ぱっと振り返った。
目鼻立ちの整った、きっぱりとした美人顔。強い光を放つ深緑の瞳。
「ひとりよ? あなた店員よね。席に案内しなさいよ。入口の男、いつまでも私に気付かないで、とても失礼でしたわ。まさか、ひとりの客はだめなんてことはないですよね?」
子ども特有の甘さを帯びた、澄んだ声。
エルトゥールは、振り返ったその顔に目を奪われ、咄嗟に言葉を失っていた。
(聖女……、リーズロッテさん!?)
21
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
「聖女は2人もいらない」と追放された聖女、王国最強のイケメン騎士と偽装結婚して溺愛される
沙寺絃
恋愛
女子高生のエリカは異世界に召喚された。聖女と呼ばれるエリカだが、王子の本命は一緒に召喚されたもう一人の女の子だった。「 聖女は二人もいらない」と城を追放され、魔族に命を狙われたエリカを助けたのは、銀髪のイケメン騎士フレイ。 圧倒的な強さで魔王の手下を倒したフレイは言う。
「あなたこそが聖女です」
「あなたは俺の領地で保護します」
「身柄を預かるにあたり、俺の婚約者ということにしましょう」
こうしてエリカの偽装結婚異世界ライフが始まった。
やがてエリカはイケメン騎士に溺愛されながら、秘められていた聖女の力を開花させていく。
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜
鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。
秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。
一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。
◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。
聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~
夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力!
絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。
最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り!
追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる