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第二章
【10】お姉さまと一緒
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「『私は男です』って先程言い張っていましたけど……、エルトゥール姫ですよね?」
カウンター席で並んで座って、皿から茄子の冷製を取り分けて食事を始めたところで、リーズロッテが切り出した。
「はい。誤魔化す会話は時間の無駄だと思いますので、正直に言います。学校で、ときどきすれ違いますね」
「よくわからないのですが。エルトゥール姫は本当は男性? それとも……?」
探るように尋ねられて、エルトゥールはあはは、と軽い笑い声を立てた。
「男性に見えていたら嬉しいのですが。仕事中だけ、変装のつもりです。とはいっても、面と向かってしまえば、いくら男と言い張っても無理はあるかもしれません。その点、ジャスティーン様は素晴らしい女性だと思います。普段あれほどお美しくて、なおかつ男装すればきちんと男性に見えるなんて。力もありますし、並の男性にはまず負けない強さを備えてらして……、本当にかっこいい方ですよね」
そう、ですね……と答えるリーズロッテの視線が泳ぐ。
どうしたのだろう、とエルトゥールがその顔を覗き込もうとしたとき、厨房からカウンターに串焼き肉の皿が置かれた。
「我が婚約者殿の人望には恐れ入る」
目を細めて、眉間に皺まで寄せたアーノルドであった。
エルトゥールは、つい身を乗り出して力説する。
「アルは立場上面白くないかもしれませんが、ジャスティーン様がモテるのは自然の理です。あんなにかっこいい方は、世界広しといえどなかなかいません。私も心の底から憧れています」
「……憧れといわれても。エルは、ジャスティーンが女性だから心酔しているんだよな?」
「はい。私はやはり、強い女性に惹かれるものがありますので。もちろん、ジャスティーン様が男性だったら、と考えるのはそれはそれで楽しいですけどね。夢があります」
「夢……?」
胡乱気なまなざしになるアーノルドに、エルトゥールは苦笑をもらした。
いつも一緒にいる、友人レベッカ。かねてから憧れていたというジャスティーンへの慕情は恋情にも似て、会話を交わす仲になった現在、日ごとに思いが増しているように見えるのだ。
もしジャスティーンが男性だったら、二人の間の障害のいくつかは取り除かれるのにと、考えずにはいられない。
(王子と婚約している公爵令嬢だし、万が一にもそんなことがあり得ないのは、わかっていますが)
「あまり目くじら立てないでください。卒業したらアルはジャスティーン様を独り占めできる立場なんですから、今だけは」
「さあな。婚約はあくまで婚約だ、結婚じゃない。婚約破棄という言葉も世の中にあって」
「そんなこと言って。アルがジャスティーン様のことを愛しているのは知っています。お幸せに」
「うん……、状況的にそう言われるのは仕方ないんだが……、なんというか」
ぶつぶつ言いながら、厨房に引き揚げていく。
エルの隣で、リーズロッテは両手で顔を覆っていた。
「リズさん、どうしたんですか」
「いえ。辛くて。エル姉さま……、それはあまりにも鈍い」
指の隙間から、呻くような呟き。
リーズロッテに体ごと向き直っていたエルトゥールは、目を瞠った。
「『姉さま』……!? 私、末っ子だから今までそんな風に言われたことがなくて。すごく嬉しいです。感動がこみあげてきまして。リズさん、もう一回言ってください……!」
ふるふると震えながら拳を握りしめて迫るエルトゥール。
リーズロッテが言ってくれるのを今か今かと待ち構えていたが、どこかからの視線を感じて顔を上げる。
串焼き肉の串を掴み、肉を外すことなくかぶりついていた超絶暗黒系美青年が、リーズロッテの向こう側の席からきついまなざしを注いできていた。
「俺の聖女に懸想しているのか。俺の前でそれは、覚悟はできているんだろうな」
「お、俺の聖女? ジェラさん、猫から人型になったら、急に図々しくなってないですか? リーズロッテさんはみんなの妹です! お姉さまと呼ばれたければ、列に並んで順番を待ってください!」
「あの、エル姉さま、ちょっと何言っているかわからないです。ジェラさんも少し黙って。おとなしく食べていてください」
冷静そのもののリーズロッテに言われて、ジェラさんは「うむ」と食事を再開する。
エルトゥールも椅子に座り直すと、明らかに喜色を滲ませて照れながらも、素直に謝った。
「ごめんね、つい。いまちょっとお姉さまの気持ちがわかりかけちゃって。妹って、いいね」
「……ええ。なんでしょう、私もお姉さまがいたら良いなって思うことがあって、こう、つい」
「リズさんにはジャスティーン様という最高のお姉さまがいるのに。私までお姉さまに加えて頂けるなんて、光栄の極み」
輝くばかりの笑顔のエルトゥールを前に、リーズロッテは曰く言い難い表情でしばし固まった。
やがて「殿下も、これは苦労しますね」と独り言のように呟いてから、小さく咳払いをして「ところで」とそれまでの流れを断ち切って、話を始めた。
「エル姉さま、わたしの見間違いでなければ、先程『魔法』を使っていましたね。つまり、エル姉さまは、『そういうこと』ということでよろしいですか」
そういうこと――魔力を持つ、魔導士の端くれであるということ。
「リズさんの目に見えたというのであれば、見えたものを信じてくれて構わないです。あまりひとに言うつもりもないのですが。私の場合、あれが限界なんです。まったく実用的なものではないのです」
「ですが、いかにそれがごくわずかであっても、魔力を持つか持たないかは、人間か魔導士かを分ける、動かしがたく絶対の違いなのです。エル姉さま、折り入って相談があります」
「妹」リーズロッテの、あらたまった口調。
エルトゥールは背筋を伸ばして「なに?」と先を促した。
「エル姉さま、わたしと一緒に、『魔法学』の勉強をしませんか」
「魔法学は……。だけど、受講申請の時期を過ぎてしまったんじゃないかな」
「現状、在校生の中で受講しているのはわたしだけなので、申し出ればドロシー先生は喜んで受け入れてくれるはずです」
リーズロッテの熱を帯びた誘い文句に耳を傾けつつ、エルトゥールは考え込む。
(あまり魔法のことはひとに知られたくない……。「魔法学」をとれば、魔法が使えると言っているようなものだと思うんだけど。どうしよう)
自分の生まれ持った「素質」のひとつであるのは間違いなく、せっかく教えを乞う相手がいて、研究できるのであればしてみたい気持ちもある。
だが、公開するリスクを考えると、簡単には踏み出せない。
「リズさん、私はやっぱり」
普段の授業だけで。
そう言いかけたエルトゥールの手をとり、リーズロッテは真剣そのものの表情でエルトゥールの目を見つめながら言った。
「わたしは、この特殊な生い立ちもあって、友だちを作りにくいです。その上、授業も『魔法学』が中心で、他の生徒と話す機会は本当に少ないのです。エル姉さま、わたしと一緒に勉強しましょう。わたしはエル姉さまと仲良くなりたいです」
リーズロッテに見上げる角度から切々と訴えかけられ、もはや余計なことを一切考えることなく、エルトゥールは即座に返事をした。
「わかった。『妹』のお願いなら、姉さま断れないね。喜んで」
リーズロッテの向こう側では、人型ジェラさんが会話に口を挟むことなく、黙々と食事を続けていた。
カウンター席で並んで座って、皿から茄子の冷製を取り分けて食事を始めたところで、リーズロッテが切り出した。
「はい。誤魔化す会話は時間の無駄だと思いますので、正直に言います。学校で、ときどきすれ違いますね」
「よくわからないのですが。エルトゥール姫は本当は男性? それとも……?」
探るように尋ねられて、エルトゥールはあはは、と軽い笑い声を立てた。
「男性に見えていたら嬉しいのですが。仕事中だけ、変装のつもりです。とはいっても、面と向かってしまえば、いくら男と言い張っても無理はあるかもしれません。その点、ジャスティーン様は素晴らしい女性だと思います。普段あれほどお美しくて、なおかつ男装すればきちんと男性に見えるなんて。力もありますし、並の男性にはまず負けない強さを備えてらして……、本当にかっこいい方ですよね」
そう、ですね……と答えるリーズロッテの視線が泳ぐ。
どうしたのだろう、とエルトゥールがその顔を覗き込もうとしたとき、厨房からカウンターに串焼き肉の皿が置かれた。
「我が婚約者殿の人望には恐れ入る」
目を細めて、眉間に皺まで寄せたアーノルドであった。
エルトゥールは、つい身を乗り出して力説する。
「アルは立場上面白くないかもしれませんが、ジャスティーン様がモテるのは自然の理です。あんなにかっこいい方は、世界広しといえどなかなかいません。私も心の底から憧れています」
「……憧れといわれても。エルは、ジャスティーンが女性だから心酔しているんだよな?」
「はい。私はやはり、強い女性に惹かれるものがありますので。もちろん、ジャスティーン様が男性だったら、と考えるのはそれはそれで楽しいですけどね。夢があります」
「夢……?」
胡乱気なまなざしになるアーノルドに、エルトゥールは苦笑をもらした。
いつも一緒にいる、友人レベッカ。かねてから憧れていたというジャスティーンへの慕情は恋情にも似て、会話を交わす仲になった現在、日ごとに思いが増しているように見えるのだ。
もしジャスティーンが男性だったら、二人の間の障害のいくつかは取り除かれるのにと、考えずにはいられない。
(王子と婚約している公爵令嬢だし、万が一にもそんなことがあり得ないのは、わかっていますが)
「あまり目くじら立てないでください。卒業したらアルはジャスティーン様を独り占めできる立場なんですから、今だけは」
「さあな。婚約はあくまで婚約だ、結婚じゃない。婚約破棄という言葉も世の中にあって」
「そんなこと言って。アルがジャスティーン様のことを愛しているのは知っています。お幸せに」
「うん……、状況的にそう言われるのは仕方ないんだが……、なんというか」
ぶつぶつ言いながら、厨房に引き揚げていく。
エルの隣で、リーズロッテは両手で顔を覆っていた。
「リズさん、どうしたんですか」
「いえ。辛くて。エル姉さま……、それはあまりにも鈍い」
指の隙間から、呻くような呟き。
リーズロッテに体ごと向き直っていたエルトゥールは、目を瞠った。
「『姉さま』……!? 私、末っ子だから今までそんな風に言われたことがなくて。すごく嬉しいです。感動がこみあげてきまして。リズさん、もう一回言ってください……!」
ふるふると震えながら拳を握りしめて迫るエルトゥール。
リーズロッテが言ってくれるのを今か今かと待ち構えていたが、どこかからの視線を感じて顔を上げる。
串焼き肉の串を掴み、肉を外すことなくかぶりついていた超絶暗黒系美青年が、リーズロッテの向こう側の席からきついまなざしを注いできていた。
「俺の聖女に懸想しているのか。俺の前でそれは、覚悟はできているんだろうな」
「お、俺の聖女? ジェラさん、猫から人型になったら、急に図々しくなってないですか? リーズロッテさんはみんなの妹です! お姉さまと呼ばれたければ、列に並んで順番を待ってください!」
「あの、エル姉さま、ちょっと何言っているかわからないです。ジェラさんも少し黙って。おとなしく食べていてください」
冷静そのもののリーズロッテに言われて、ジェラさんは「うむ」と食事を再開する。
エルトゥールも椅子に座り直すと、明らかに喜色を滲ませて照れながらも、素直に謝った。
「ごめんね、つい。いまちょっとお姉さまの気持ちがわかりかけちゃって。妹って、いいね」
「……ええ。なんでしょう、私もお姉さまがいたら良いなって思うことがあって、こう、つい」
「リズさんにはジャスティーン様という最高のお姉さまがいるのに。私までお姉さまに加えて頂けるなんて、光栄の極み」
輝くばかりの笑顔のエルトゥールを前に、リーズロッテは曰く言い難い表情でしばし固まった。
やがて「殿下も、これは苦労しますね」と独り言のように呟いてから、小さく咳払いをして「ところで」とそれまでの流れを断ち切って、話を始めた。
「エル姉さま、わたしの見間違いでなければ、先程『魔法』を使っていましたね。つまり、エル姉さまは、『そういうこと』ということでよろしいですか」
そういうこと――魔力を持つ、魔導士の端くれであるということ。
「リズさんの目に見えたというのであれば、見えたものを信じてくれて構わないです。あまりひとに言うつもりもないのですが。私の場合、あれが限界なんです。まったく実用的なものではないのです」
「ですが、いかにそれがごくわずかであっても、魔力を持つか持たないかは、人間か魔導士かを分ける、動かしがたく絶対の違いなのです。エル姉さま、折り入って相談があります」
「妹」リーズロッテの、あらたまった口調。
エルトゥールは背筋を伸ばして「なに?」と先を促した。
「エル姉さま、わたしと一緒に、『魔法学』の勉強をしませんか」
「魔法学は……。だけど、受講申請の時期を過ぎてしまったんじゃないかな」
「現状、在校生の中で受講しているのはわたしだけなので、申し出ればドロシー先生は喜んで受け入れてくれるはずです」
リーズロッテの熱を帯びた誘い文句に耳を傾けつつ、エルトゥールは考え込む。
(あまり魔法のことはひとに知られたくない……。「魔法学」をとれば、魔法が使えると言っているようなものだと思うんだけど。どうしよう)
自分の生まれ持った「素質」のひとつであるのは間違いなく、せっかく教えを乞う相手がいて、研究できるのであればしてみたい気持ちもある。
だが、公開するリスクを考えると、簡単には踏み出せない。
「リズさん、私はやっぱり」
普段の授業だけで。
そう言いかけたエルトゥールの手をとり、リーズロッテは真剣そのものの表情でエルトゥールの目を見つめながら言った。
「わたしは、この特殊な生い立ちもあって、友だちを作りにくいです。その上、授業も『魔法学』が中心で、他の生徒と話す機会は本当に少ないのです。エル姉さま、わたしと一緒に勉強しましょう。わたしはエル姉さまと仲良くなりたいです」
リーズロッテに見上げる角度から切々と訴えかけられ、もはや余計なことを一切考えることなく、エルトゥールは即座に返事をした。
「わかった。『妹』のお願いなら、姉さま断れないね。喜んで」
リーズロッテの向こう側では、人型ジェラさんが会話に口を挟むことなく、黙々と食事を続けていた。
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