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四
34話 中和
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早足で新山の部屋に戻った千隼は部屋の一番奥にあるベットの前に立つとピタッと立ち止まった。少し遅れて後を追ってきた新山が無言で立ち尽くす千隼になんと声をかけようか悩んでいると千隼は大きく伸びをしてそのまま「あー!」と大声を出してベットにダイブした。
奇想天外が千隼の言動に新山が困惑していると千隼は、そんな新山の方にくるりと顔を向けニヤッと笑った。そしてベットサイドで自分を見て棒立ちをする新山の手を引き、ベットに引きずり込んだ。
「ちょっ...危ないって。ごめん、どう言う心境?...怒ってたんじゃないの?」
笑っている千隼の顔を見てとりあえず安堵の表情を浮かべると、新山も釣られて笑いながら言った。
「うーん...怒ってたと言うか鬱憤晴らし、かな。この前新山さんから話聞いて、お母さんにはおれが代わりに何か言い返したいって思ってたしそのきっかけができてよかった~って感じ。」
満足した表情でそう言った千隼にぽかんと口を開けるとしばらくして新山は「佐々木のことは?」と聞いた。
「あー。まぁ確かに家族のこと馬鹿にされた感あったのはいい気しないけど、多分今の話を兄貴本人が聞いたとてあの人はこれっぽっちも気に留めないだろうしそう言うスタンスだからさ。他人は他人、みたいな?本人そんななのに、おれがイライラしててもじゃん。ならその熱量別の形で発散するわ。」
冷静に話を振り返る千隼に新山は、もう笑うことしかできず千隼の頭を撫でた。
「いや、本当に......うん。流石だわ千隼くん。まじでそう言うところめっちゃ好き。本気で見習いたいわ俺も。まぁ俺は馬鹿で単純だからさ。自分の感情コントロールできずにむき出しにしちゃうからダメなんだろうな。」
「...それが新山さんのいいところなんじゃん。ド直球に気持ち伝えてきたり馬鹿正直なところ、おれはいいと思うけどね。」
「おぉ...?俺のそこが好きってこと?ねぇそう言うこと?」
「......新山さんうるさい。」
薄く頬を赤く染めながら顔を逸らす千隼の事を愛くるしそうに見つめると、新山は千隼にキスをして抱きしめた。そんなふうにイチャイチャと過ごしていた二人のことを途中から部屋のドアをそっと開けて見守っていた父親と愛美は苦笑いをしながら二人に声をかけた。
「あのぁ~...取り込み中のところ大っ変申し訳ないんですが、ちょっといいでしょうか~?」
愛美の声に驚いた千隼が新山を思い切り突き放すと、すぐに体勢を変えベットに座り込んだ。
「あ、えっと...今のはその...」
「大丈夫大丈夫!めっちゃ微笑ましかったし千隼くん可愛かったよ!」
「愛美...それ多分千隼にとって全然フォローになってないわ。」
動揺する千隼に慰めるように言った愛美の話を聞いて横から新山が口を挟んだ。
そんな三人のことを側から見ていた父親は本題に話をし始めた。
「そうそう。これから愛美と隣駅にあるケーキ屋にでも行こうと思っていたんだが、二人も一緒にどうかな?さっきのお詫びも兼ねて是非ご馳走したんだが...。」
二人にそう話しかける父親に千隼が遠慮をしようとするとすかさず新山が口を開いた。
「あ、じゃあ四人分頼むわ。ちょうど今日の夜千隼の家で花火やるからそのまま持って行く。」
「えっ!?いやいや...悪いから本当いいって!」
新山の肩を掴んで千隼が首を横に振ると、そんな千隼を見て父親が明るい顔つきで話した。
「そうだったのか!なら尚更持って行ってくれ!千隼くんの家にはいつもお世話になっているようだし...ホールケーキでもいいかもな!」
「いいねいいね!その方がいっぱい食べれそうじゃん!」
父親と愛美そして新山がその話に乗り、わちゃわちゃとしているとそれを申し訳なさそうに千隼は横から頭を下げた。
「...こう言ってるしせっかくだから買って貰おうよ。父さんわりと世話焼くの好きだから千隼にもしてあげたいんだと思うよ?」
新山からその話を聞くと千隼は渋々小さく頷き「ありがとうございます。」と父親と愛美に言った。
「こんなに立派なケーキ買ってもらっちゃってよかったのかな...。」
千隼の家の前まで送ってくれた父親と愛美にお礼を言うと、明るく手を振って車で去って行った二人を見送り千隼と新山は家の中に入った。
そして玄関で靴を脱いだ後でふと紙袋の中に入ったホールケーキを見て千隼が言った。
「いいじゃん。愛美だって絶対これがいいと思うって言ってたし父さんだってめっちゃ賛成してたよ。...まぁそのまた先にこれは?って聞いた俺は値段で選んだだけなんだけどね。」
ヘラヘラと笑いながら新山靴を脱ぐと、頬を膨らす千隼の頭を撫でた。
「絶対そうだと思った!!明らかにこれだけ値段高かったしおれ、新山さん絶対やってるわって思ったもん。見た目可愛いくせにお値段全然可愛くなかった。」
新山が不満を漏らす千隼のことを宥めながら二人でリビングに向かうと、そこには佐々木の姿があった。
「お~?朝からお熱いねぇ。おい新山さんや。人の大事な弟を朝帰り...もはや昼帰りさせるなんてやってくれるねぇ!」
携帯ゲームをしながら適当なことを言う佐々木を無視して千隼はキッチンに向かいケーキを冷蔵庫に仕舞った。
「せっかくケーキ持ってきてやったけどお前の分はなしな。千隼と俺と赤城で美味しく頂くわ。」
「は!?何ケーキあんの?それは話が違ってくるわ!よく来たな、マイベストフレンズ!まぁゆっくりして行ってよ!!千隼、茶入れて茶!もしくは炭酸でも可!」
「...お前切り替え早すぎだろ。」
呆れながら新山が佐々木のくるぶしを蹴ると千隼は佐々木にバナナオレを放り投げた。
「痛っ!お前ら暴力はんた...え、何これ。くれんの?」
冷蔵庫の中に千隼が大量買いしているマジックペンで「おれの」と書かれたバナナオレを受け取ると佐々木はぽかんと口を開けた。
「...おれは兄貴のことを別に尊敬してないわけじゃない。」
ボソッとそう言うと千隼はそそくさと自分の部屋に上がっていった。全てを悟った新山が微笑んでいると理解が追いついていない佐々木は新山に「え、何。俺あいつにことなんか怒らせた?」とぼやいた。
そんな佐々木に新山は笑いながら「さぁね。彼なりの精一杯のデレなんじゃない?」と言い返し、先に上がって行った千隼の後を追って二階に上がっていった。
奇想天外が千隼の言動に新山が困惑していると千隼は、そんな新山の方にくるりと顔を向けニヤッと笑った。そしてベットサイドで自分を見て棒立ちをする新山の手を引き、ベットに引きずり込んだ。
「ちょっ...危ないって。ごめん、どう言う心境?...怒ってたんじゃないの?」
笑っている千隼の顔を見てとりあえず安堵の表情を浮かべると、新山も釣られて笑いながら言った。
「うーん...怒ってたと言うか鬱憤晴らし、かな。この前新山さんから話聞いて、お母さんにはおれが代わりに何か言い返したいって思ってたしそのきっかけができてよかった~って感じ。」
満足した表情でそう言った千隼にぽかんと口を開けるとしばらくして新山は「佐々木のことは?」と聞いた。
「あー。まぁ確かに家族のこと馬鹿にされた感あったのはいい気しないけど、多分今の話を兄貴本人が聞いたとてあの人はこれっぽっちも気に留めないだろうしそう言うスタンスだからさ。他人は他人、みたいな?本人そんななのに、おれがイライラしててもじゃん。ならその熱量別の形で発散するわ。」
冷静に話を振り返る千隼に新山は、もう笑うことしかできず千隼の頭を撫でた。
「いや、本当に......うん。流石だわ千隼くん。まじでそう言うところめっちゃ好き。本気で見習いたいわ俺も。まぁ俺は馬鹿で単純だからさ。自分の感情コントロールできずにむき出しにしちゃうからダメなんだろうな。」
「...それが新山さんのいいところなんじゃん。ド直球に気持ち伝えてきたり馬鹿正直なところ、おれはいいと思うけどね。」
「おぉ...?俺のそこが好きってこと?ねぇそう言うこと?」
「......新山さんうるさい。」
薄く頬を赤く染めながら顔を逸らす千隼の事を愛くるしそうに見つめると、新山は千隼にキスをして抱きしめた。そんなふうにイチャイチャと過ごしていた二人のことを途中から部屋のドアをそっと開けて見守っていた父親と愛美は苦笑いをしながら二人に声をかけた。
「あのぁ~...取り込み中のところ大っ変申し訳ないんですが、ちょっといいでしょうか~?」
愛美の声に驚いた千隼が新山を思い切り突き放すと、すぐに体勢を変えベットに座り込んだ。
「あ、えっと...今のはその...」
「大丈夫大丈夫!めっちゃ微笑ましかったし千隼くん可愛かったよ!」
「愛美...それ多分千隼にとって全然フォローになってないわ。」
動揺する千隼に慰めるように言った愛美の話を聞いて横から新山が口を挟んだ。
そんな三人のことを側から見ていた父親は本題に話をし始めた。
「そうそう。これから愛美と隣駅にあるケーキ屋にでも行こうと思っていたんだが、二人も一緒にどうかな?さっきのお詫びも兼ねて是非ご馳走したんだが...。」
二人にそう話しかける父親に千隼が遠慮をしようとするとすかさず新山が口を開いた。
「あ、じゃあ四人分頼むわ。ちょうど今日の夜千隼の家で花火やるからそのまま持って行く。」
「えっ!?いやいや...悪いから本当いいって!」
新山の肩を掴んで千隼が首を横に振ると、そんな千隼を見て父親が明るい顔つきで話した。
「そうだったのか!なら尚更持って行ってくれ!千隼くんの家にはいつもお世話になっているようだし...ホールケーキでもいいかもな!」
「いいねいいね!その方がいっぱい食べれそうじゃん!」
父親と愛美そして新山がその話に乗り、わちゃわちゃとしているとそれを申し訳なさそうに千隼は横から頭を下げた。
「...こう言ってるしせっかくだから買って貰おうよ。父さんわりと世話焼くの好きだから千隼にもしてあげたいんだと思うよ?」
新山からその話を聞くと千隼は渋々小さく頷き「ありがとうございます。」と父親と愛美に言った。
「こんなに立派なケーキ買ってもらっちゃってよかったのかな...。」
千隼の家の前まで送ってくれた父親と愛美にお礼を言うと、明るく手を振って車で去って行った二人を見送り千隼と新山は家の中に入った。
そして玄関で靴を脱いだ後でふと紙袋の中に入ったホールケーキを見て千隼が言った。
「いいじゃん。愛美だって絶対これがいいと思うって言ってたし父さんだってめっちゃ賛成してたよ。...まぁそのまた先にこれは?って聞いた俺は値段で選んだだけなんだけどね。」
ヘラヘラと笑いながら新山靴を脱ぐと、頬を膨らす千隼の頭を撫でた。
「絶対そうだと思った!!明らかにこれだけ値段高かったしおれ、新山さん絶対やってるわって思ったもん。見た目可愛いくせにお値段全然可愛くなかった。」
新山が不満を漏らす千隼のことを宥めながら二人でリビングに向かうと、そこには佐々木の姿があった。
「お~?朝からお熱いねぇ。おい新山さんや。人の大事な弟を朝帰り...もはや昼帰りさせるなんてやってくれるねぇ!」
携帯ゲームをしながら適当なことを言う佐々木を無視して千隼はキッチンに向かいケーキを冷蔵庫に仕舞った。
「せっかくケーキ持ってきてやったけどお前の分はなしな。千隼と俺と赤城で美味しく頂くわ。」
「は!?何ケーキあんの?それは話が違ってくるわ!よく来たな、マイベストフレンズ!まぁゆっくりして行ってよ!!千隼、茶入れて茶!もしくは炭酸でも可!」
「...お前切り替え早すぎだろ。」
呆れながら新山が佐々木のくるぶしを蹴ると千隼は佐々木にバナナオレを放り投げた。
「痛っ!お前ら暴力はんた...え、何これ。くれんの?」
冷蔵庫の中に千隼が大量買いしているマジックペンで「おれの」と書かれたバナナオレを受け取ると佐々木はぽかんと口を開けた。
「...おれは兄貴のことを別に尊敬してないわけじゃない。」
ボソッとそう言うと千隼はそそくさと自分の部屋に上がっていった。全てを悟った新山が微笑んでいると理解が追いついていない佐々木は新山に「え、何。俺あいつにことなんか怒らせた?」とぼやいた。
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