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四
42.5話 仲直りと花火大会
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いつもならベットに横になるとものの数分で眠りに落ちるおれだけど、今日は安心する温もりに包まれていながら一切眠気が来ることなく一時間近くこの体勢をキープしていた。
新山さんの家にきた時はまだカーテンの隙間から差し込む日差しが鬱陶しいと感じる時刻だったのにそんな光が今やだんだんと落ちてきて、適度に明るいくらいを時間帯だった。
「あ、今日花火大会らしいわ......行く?」
そう後ろから話しかけてきた新山さんの方にゆっくりと身体を回転させると勢いよく股間に向かって膝を上げた。
「...痛っ!そこはまずいって...ガチで潰れるわ。」
「一回だけとか言ったくせに三回もして、しかもこの身体で花火大会に行こうとか言い出す新山さん絶対おかしいし気遣いのカケラもない。ついでに精◯もない。」
頬を膨らしながらヘソを曲げる千隼に笑って返すと新山は「ごめんごめん。」と軽く謝り千隼を抱きしめた。
「でも全然あと数回戦くらいは余裕でいけます俺。」
「聞いてもないクソほどいらない情報すぎる。」
不機嫌そうにそう言い返しながらも携帯に手を伸ばすと、花火大会の詳細を調べ出す千隼を柔らかい表情で見ると新山は起き上がって携帯片手に千隼の腰を優しく揉みほぐした。
「千隼の家からだとちょうどビルの死角でよく見えないんでしょ?俺んちからなら毎年いい感じに見えるから今年はここから見るって言うのも手だけど...。」
そう話した新山に対して曖昧な返事を返すと、千隼は小声で「焼きそば...チョコバナナ...。」とボソボソ呟いた。
その言葉を聞いた新山は重たい腰を上げるとパパッと部屋着から着替え、携帯と財布を手に取った。
「...チョコバナナは愛美が祭り行くらしいから買ってきてもらうわ。夜、焼きそばとお好み焼きでいい?ちょい近くのスーパーで食材買ってくるわ。彼氏の愛情たっぷり屋台飯にすんべ。」
嫌な顔一つせずそう伝えると軽い足取りで部屋を出て行った新山を見て千隼は呆然としたあと、ため息を吐きベットに置いてあったクマのぬいぐるみを抱きしめた。
他の人と対等に扱ったり相手にそう扱われるのは人として当たり前だと思うしむしろそうであってくれた方が良い関係を築けると思う。
でもそれは友人関係でのことであって、恋愛なら話は別だ。
幼稚な考えだし空事なのはわかりきったことだけれど、所謂「お姫様扱い」をされる女性側に憧れることもあった。でも自分は男だから扱う側にならないといけないと抑制した。しかし今のおれはそんないつかに夢見た夢物語を叶えてしまっている。今日だって初体験で学んだおれがカバンに常備するようになったバ◯ァリンでも飲んでしまえば、多少無理してでも花火大会には行けたのだろうけれどあんな言葉を間に受けた新山さんは家で楽しむ策を取ってくれた。それだけでも恵まれた環境なのに、手料理まで用意してくれるおれの彼氏は流石に出来すぎていると思う。
「......もう少し素直になりたいのにな。」
両腕に抱えたぬいぐるみをギュッと抱きしめると千隼は先ほどの自分が言った言葉を反省し落ち込んだ。
そんな時玄関の鍵が開く音が聞こえハッとすると、その足音は徐々におれのいる部屋の方へ近づいてきた。そしてその音が止むと同時に部屋のドアノブがガチャっと開けられた。
「秋冬?玄関に見慣れない靴があったけど...」
そう言いながら顔を上げた新山の母親は千隼の顔を見て驚き目を見開いた。
「あ...またお邪魔してます。あ...えっと...新山くんは今買い物に行ってて...。」
同じように動揺している千隼もまたどう返していいものか悩み辿々しくそう返すと「あらそうだったの...。」と気まずそうに母親は部屋の前で棒立ちしていた。
後から家に入ってきた家政婦がその現場を見て母親をリビングに誘導すると、母親はあっさりとその場から立ち去った。
母親がリビングないし入っていくと安心したかのように千隼は息を吐きまたベットにバタンと倒れ込んだ。
恋人の親というだけで気を張るのに、新山さんから色々話を聞いているから更に気を遣い少し身構えてしまう。あまり気に留めない方がやり易いのだろうけれどそんなわけにもいかない。きっとこれから何度会ってもこの感じは拭えないのだろうと思う。
そんなことを呑気に考えていた千隼が上の空で過ごしていると次は部屋をノックし再び母親が新山の部屋にやってきた。
ぼーっとしていたせいかベットに横になっていた千隼は母親の姿を見て焦って身体を起こすと母親は笑って千隼に話をした。
「あら、全然いいのよ。ゆっくりしていて。少し話をしたいと思って来ただけだから......ちょっとあなたにお願いしたいことがあるの。」
淡々とそう口を開いた母親の話を真剣な顔で聞き入れると、千隼は「なんでしょうか。」と返事を返した。
「秋冬が家出をしようとしてるのは知っているかしら...?あの子高校を卒業したらここを出ていくって言ってるの。でもそんなこともちろん母親としては認められないしあの子はまだ子供だから絶対に一人じゃやっていけないわ。パパも娘も好きにさせてあげようって諦めてて...私は家族なのにそんなことはしたくないの。でも私の話なんて全く聞き入れてくれないのよ。...だからあなたから止めてくれないかしら?きっとあの子もあなたに言われれば考え直してくれるかもしれないから...。」
明るい顔つきでそう話す母親の話だんだんと顔色を変えていった千隼は話を最後まで聞き終えたあとで「すみません。」と言い頭を下げた。
「僕には引き受けられないです。......他人の家庭の事情に口を出すのは違うと分かってはいるんですけど正直全部...全部秋冬くんから事情を聞いてる僕から言わせてもらうと、彼の選択は決して間違ってないと思います。きっと今の環境から抜け出したいと思ったから秋冬くんはそう言った進路と生活環境を選んだんだと思うんです。だから僕はそんな秋冬くんの事を応援したいと思ってます。共感できず...力になれずごめんなさい。」
真面目に返答をした千隼の言葉を聞くなり母親は顔色を返え舌打ちをすると「役立たずが。」とボソッと毒を吐いた。
それを聞いた千隼が驚いて顔を上げると同時にバタバタと足音を立て、新山が部屋に入ってきた。
「今なんて言った?...次何かしたら縁切るって言ったよな?」
低いトーンで新山がそう言うと母親は慌てたように焦った口調で口を開いた。
「違うのっ!その子が一方的に私を責めるようなこと言ったから...だから悪いのよ!」
一切悪びれることのない母親の話を無視して千隼の方に向きを変えると新山は「ごめんね、気悪くした?」と態度を180℃変えて千隼に話しかけた。
「いや、おれは大丈夫...それより。」
千隼の頭を撫でながら謝る新山に千隼がアイコンタクトを送ると背後で呼吸を乱しながら二人を見ている母親の方に新山は顔を向けた。
「......そもそも男となんか付き合うからそんな変な考えになったんだわ!全部あなたのせいよ!あなたが私の息子をたぶらかしたせいで息子はこんなこになっちゃったのよ!!」
大声をあげる母親の声を聞きリビングから飛んできた家政婦が急いで母親を宥めリビングに連れて行こうとしたものの、母親は「謝れ!息子と別れろ!」と罵声を浴びせ続けた。しかし千隼は一向にキョトンとした顔から表情を変えず過ごしていると諦めたのか母親はだんだんと冷静さを取り戻し素直にリビングに入っていった。
嵐が去った後のように部屋の中が静かになると新山はため息を吐いて「マジでごめん。」と千隼に言った。しかしそんな新山にクスッと笑うと千隼は「謝るなら最初から入ってきても良かったんじゃないですかね~?」とニヤニヤしながら言った。
「あ、母さんが一人暮らしするの千隼に止めてくれって言ってたあたりで俺が帰ってきてたのバレてたの?」
「うん。普通に玄関の音聞こえたし、レジ袋のガサガサ音が丸聞こえだった。」
淡々とそう言った千隼の話を聞いて笑い声を上げると新山は「じゃあ下の名前呼んでくれたのはサービス?」と甘い声で聞くと「さぁ、どうだと思う?」と返した千隼の唇にキスをした。
そのあと気を遣って外に行くかと提案されたけどおれは断って新山さんの作ってくれた焼きそばとお好み焼きを食べながら、新山と部屋で一緒に花火を観た。そこから観た花火は格別に綺麗で新山さんの料理も優しい味がした。
あんなに泣いたのに昼間に寝なかったからか、夜はとても眠たくて、お風呂も入らずおれは新山さんにベットでうたた寝してしまった。一度目を覚ますと23時で新山さんは隣で携帯を弄っていた。そしてニヤニヤしながら見せられた写真には、眠るおれに腕枕しながら横で笑っている新山さんとその奥でチョコバナナを持ち、おれたちを見てニヤニヤしている新山さんの妹が写っていた。
それがとても恥ずかしかったしすぐにでも消して欲しいとさえも思ったけれど、それを含めて初めて過ごした新山さんとの花火大会は充実したとても素敵な思い出だったとおれは思った。
新山さんの家にきた時はまだカーテンの隙間から差し込む日差しが鬱陶しいと感じる時刻だったのにそんな光が今やだんだんと落ちてきて、適度に明るいくらいを時間帯だった。
「あ、今日花火大会らしいわ......行く?」
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「...痛っ!そこはまずいって...ガチで潰れるわ。」
「一回だけとか言ったくせに三回もして、しかもこの身体で花火大会に行こうとか言い出す新山さん絶対おかしいし気遣いのカケラもない。ついでに精◯もない。」
頬を膨らしながらヘソを曲げる千隼に笑って返すと新山は「ごめんごめん。」と軽く謝り千隼を抱きしめた。
「でも全然あと数回戦くらいは余裕でいけます俺。」
「聞いてもないクソほどいらない情報すぎる。」
不機嫌そうにそう言い返しながらも携帯に手を伸ばすと、花火大会の詳細を調べ出す千隼を柔らかい表情で見ると新山は起き上がって携帯片手に千隼の腰を優しく揉みほぐした。
「千隼の家からだとちょうどビルの死角でよく見えないんでしょ?俺んちからなら毎年いい感じに見えるから今年はここから見るって言うのも手だけど...。」
そう話した新山に対して曖昧な返事を返すと、千隼は小声で「焼きそば...チョコバナナ...。」とボソボソ呟いた。
その言葉を聞いた新山は重たい腰を上げるとパパッと部屋着から着替え、携帯と財布を手に取った。
「...チョコバナナは愛美が祭り行くらしいから買ってきてもらうわ。夜、焼きそばとお好み焼きでいい?ちょい近くのスーパーで食材買ってくるわ。彼氏の愛情たっぷり屋台飯にすんべ。」
嫌な顔一つせずそう伝えると軽い足取りで部屋を出て行った新山を見て千隼は呆然としたあと、ため息を吐きベットに置いてあったクマのぬいぐるみを抱きしめた。
他の人と対等に扱ったり相手にそう扱われるのは人として当たり前だと思うしむしろそうであってくれた方が良い関係を築けると思う。
でもそれは友人関係でのことであって、恋愛なら話は別だ。
幼稚な考えだし空事なのはわかりきったことだけれど、所謂「お姫様扱い」をされる女性側に憧れることもあった。でも自分は男だから扱う側にならないといけないと抑制した。しかし今のおれはそんないつかに夢見た夢物語を叶えてしまっている。今日だって初体験で学んだおれがカバンに常備するようになったバ◯ァリンでも飲んでしまえば、多少無理してでも花火大会には行けたのだろうけれどあんな言葉を間に受けた新山さんは家で楽しむ策を取ってくれた。それだけでも恵まれた環境なのに、手料理まで用意してくれるおれの彼氏は流石に出来すぎていると思う。
「......もう少し素直になりたいのにな。」
両腕に抱えたぬいぐるみをギュッと抱きしめると千隼は先ほどの自分が言った言葉を反省し落ち込んだ。
そんな時玄関の鍵が開く音が聞こえハッとすると、その足音は徐々におれのいる部屋の方へ近づいてきた。そしてその音が止むと同時に部屋のドアノブがガチャっと開けられた。
「秋冬?玄関に見慣れない靴があったけど...」
そう言いながら顔を上げた新山の母親は千隼の顔を見て驚き目を見開いた。
「あ...またお邪魔してます。あ...えっと...新山くんは今買い物に行ってて...。」
同じように動揺している千隼もまたどう返していいものか悩み辿々しくそう返すと「あらそうだったの...。」と気まずそうに母親は部屋の前で棒立ちしていた。
後から家に入ってきた家政婦がその現場を見て母親をリビングに誘導すると、母親はあっさりとその場から立ち去った。
母親がリビングないし入っていくと安心したかのように千隼は息を吐きまたベットにバタンと倒れ込んだ。
恋人の親というだけで気を張るのに、新山さんから色々話を聞いているから更に気を遣い少し身構えてしまう。あまり気に留めない方がやり易いのだろうけれどそんなわけにもいかない。きっとこれから何度会ってもこの感じは拭えないのだろうと思う。
そんなことを呑気に考えていた千隼が上の空で過ごしていると次は部屋をノックし再び母親が新山の部屋にやってきた。
ぼーっとしていたせいかベットに横になっていた千隼は母親の姿を見て焦って身体を起こすと母親は笑って千隼に話をした。
「あら、全然いいのよ。ゆっくりしていて。少し話をしたいと思って来ただけだから......ちょっとあなたにお願いしたいことがあるの。」
淡々とそう口を開いた母親の話を真剣な顔で聞き入れると、千隼は「なんでしょうか。」と返事を返した。
「秋冬が家出をしようとしてるのは知っているかしら...?あの子高校を卒業したらここを出ていくって言ってるの。でもそんなこともちろん母親としては認められないしあの子はまだ子供だから絶対に一人じゃやっていけないわ。パパも娘も好きにさせてあげようって諦めてて...私は家族なのにそんなことはしたくないの。でも私の話なんて全く聞き入れてくれないのよ。...だからあなたから止めてくれないかしら?きっとあの子もあなたに言われれば考え直してくれるかもしれないから...。」
明るい顔つきでそう話す母親の話だんだんと顔色を変えていった千隼は話を最後まで聞き終えたあとで「すみません。」と言い頭を下げた。
「僕には引き受けられないです。......他人の家庭の事情に口を出すのは違うと分かってはいるんですけど正直全部...全部秋冬くんから事情を聞いてる僕から言わせてもらうと、彼の選択は決して間違ってないと思います。きっと今の環境から抜け出したいと思ったから秋冬くんはそう言った進路と生活環境を選んだんだと思うんです。だから僕はそんな秋冬くんの事を応援したいと思ってます。共感できず...力になれずごめんなさい。」
真面目に返答をした千隼の言葉を聞くなり母親は顔色を返え舌打ちをすると「役立たずが。」とボソッと毒を吐いた。
それを聞いた千隼が驚いて顔を上げると同時にバタバタと足音を立て、新山が部屋に入ってきた。
「今なんて言った?...次何かしたら縁切るって言ったよな?」
低いトーンで新山がそう言うと母親は慌てたように焦った口調で口を開いた。
「違うのっ!その子が一方的に私を責めるようなこと言ったから...だから悪いのよ!」
一切悪びれることのない母親の話を無視して千隼の方に向きを変えると新山は「ごめんね、気悪くした?」と態度を180℃変えて千隼に話しかけた。
「いや、おれは大丈夫...それより。」
千隼の頭を撫でながら謝る新山に千隼がアイコンタクトを送ると背後で呼吸を乱しながら二人を見ている母親の方に新山は顔を向けた。
「......そもそも男となんか付き合うからそんな変な考えになったんだわ!全部あなたのせいよ!あなたが私の息子をたぶらかしたせいで息子はこんなこになっちゃったのよ!!」
大声をあげる母親の声を聞きリビングから飛んできた家政婦が急いで母親を宥めリビングに連れて行こうとしたものの、母親は「謝れ!息子と別れろ!」と罵声を浴びせ続けた。しかし千隼は一向にキョトンとした顔から表情を変えず過ごしていると諦めたのか母親はだんだんと冷静さを取り戻し素直にリビングに入っていった。
嵐が去った後のように部屋の中が静かになると新山はため息を吐いて「マジでごめん。」と千隼に言った。しかしそんな新山にクスッと笑うと千隼は「謝るなら最初から入ってきても良かったんじゃないですかね~?」とニヤニヤしながら言った。
「あ、母さんが一人暮らしするの千隼に止めてくれって言ってたあたりで俺が帰ってきてたのバレてたの?」
「うん。普通に玄関の音聞こえたし、レジ袋のガサガサ音が丸聞こえだった。」
淡々とそう言った千隼の話を聞いて笑い声を上げると新山は「じゃあ下の名前呼んでくれたのはサービス?」と甘い声で聞くと「さぁ、どうだと思う?」と返した千隼の唇にキスをした。
そのあと気を遣って外に行くかと提案されたけどおれは断って新山さんの作ってくれた焼きそばとお好み焼きを食べながら、新山と部屋で一緒に花火を観た。そこから観た花火は格別に綺麗で新山さんの料理も優しい味がした。
あんなに泣いたのに昼間に寝なかったからか、夜はとても眠たくて、お風呂も入らずおれは新山さんにベットでうたた寝してしまった。一度目を覚ますと23時で新山さんは隣で携帯を弄っていた。そしてニヤニヤしながら見せられた写真には、眠るおれに腕枕しながら横で笑っている新山さんとその奥でチョコバナナを持ち、おれたちを見てニヤニヤしている新山さんの妹が写っていた。
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