どこまでも玩具

片桐瑠衣

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枯らされた友情

18

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「ただいま」
「あら、随分早かったじゃない圭吾」
 オレは手すりに寄りかかるようにして階段を上がる。
 入れ替わるように、お洒落をした母さんが靴を履く。
「そうだ、電話来てたわよ」
 ビクッ。
 背中が固まる。
 まさか、と思いつつ「誰?」と返す。
 る、の文字が聞こえたら無視しようと考えながら。
「仁野有紗ちゃんからよ」
 全身の力が抜ける。
 同時に違う緊張が沸いてくる。
「……有紗が?」
 母さんはそれ以上何も言わずに玄関を出て行った。
 あの口紅からして男に会いにいくんだろう。
 父さんが出て行ってから、男遊びが激しくなった。
 別に再婚は構わないが、家に呼び込むのだけは止めてほしい。

 明かりを点けてベッドに倒れ込む。
 肺が潰れる位息を吐いた。
 今日は疲れた。
 なにがって、紅乃木の態度だ。
 何度か話しかけようとしたが、決まって邪魔が入るか避けられたのだ。
 勿論、文句を言いたい訳じゃない。
 あいつのせいじゃない。
 悪いのはただ一人だ。
 だけど、どこかでもう紅乃木との友情を切りたい自分がいる。
 やはり、助けに来てほしかった。
 なんで逃げたのか訊きたい。
 でも、そんなのどうにもならない。
 オレは自分の意志で行動したんだ。
 紅乃木に負い目はない。
 寝たままで腰に巻いたコルセットを外す。
 部活の時のを残してて良かった。
 昨晩は夜中に何度も痛みで目が覚めたのだ。
 腰の激痛に耐えきれず、締め付けるようにコルセットで固定した。
 瑞希は大丈夫だろうか。
 いらぬ世話か、とすぐ思い直した。
 自分で思っていたより精神的なダメージは少ない。麻痺してる。
 あれから泣くこともなく、ただ風呂で処理を済ました。
 全てが機械的で。
 全てが無感情で。
 二度と無いことだけが望みだ。
 しかし、類沢が撮っていた写真はこれから響くのだろう。
 糞面倒な状況だ。
 寝返りを打ち、仰向けになる。
「いまさら有紗が何の用だよ……」
 突然の新たな悩みが頭を埋める。
―馬鹿! 私がいなくなってから苦しんじゃえばいいんだ!―
 あんな捨て台詞を吐いておいて今更。
 正直縁は切れたと思っていた。
 今は新たな彼女もいる。
 有紗は何でもない元カノという肩書きを抱いた他人。
「あ――…」
 また痛みがぶり返してきて、コルセットをつまみ上げた。
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