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7◆ロベルト視点

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「ロベルト!今日のスイーツは僕に作らせてもらったんだぁ!た~べ~て~♡」

「ふむ。頂こう」

ルートが職業体験で頑張るようになって、魔族達とルートは急激に仲良くなった。

今では、皆気軽にルートと接している。

ちなみに、ルートの脱ぎ癖は直っていない。

そして、私の目の前にはクリームとチョコソースと果物が盛られたパンケーキ。

………そんなに昔じゃないあの日が懐かしいな。

ルートと初めて出会ったあの日のパンケーキは、ただ焼いて皿に乗せられただけのパンケーキだった。

こんなにスイーツらしくなって………。じゅるり。

私は涎が出てしまって、素早く拭いた。

み…みられてないよな?

「味の自信もちゃんとあるよぉ」

「そ…そうか。では、お互いに食べるとしよう」

「うん!」

幸せそうに笑うルートと、私は今日も甘味の幸せを噛み締めた。



夜。

宰相が困った表情で私の部屋にきた。

「何かあったか?」

「それが………良くない噂を耳にしました」

「良くない噂?」

宰相は言いにくそうに、噂の内容を語る。

なんと、私がルートを拐って監禁しているという噂が流れているらしい!

………噂というか、半分正解じゃないか。

拐ったは否定するが、監禁は肯定するぞ。

「それでですね、勇者とかいう一行が明日こちらに来ます。拐われた村人を助けるためとかで………」

「急だな。ルートは有難迷惑だろうがな」

「ですね」

まったく、ルートが毎日どれだけ幸せそうにしていると思っているんだ。

明日は、ちゃんと話し合いで誤解を解かなくてはいけない。

………しかし、話をちゃんと聞いてくれるだろうか?

不安だ………。

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