ねぇ、きっと愛し合う運命なんだよ

ミクリ21

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8◆セルジュ視点

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「アイリス、セルジュ君………大事な話がある」

アイリス様の父親であるメフィスト様は、その日深刻な表情をしていました。

「父様、どうしたの?」

「………」

何かを言うことを躊躇う様子のメフィスト様。

しかし、それでも伝えようと口を開きます。

「………魔物の…スタンピードの予兆が報告された」

「「!!」」

魔物のスタンピード………。

また、あの日のようにスタンピードが起きるんですか?

「アイリス、セルジュ君。君たちには、原因の排除に向かってもらう。今なら、まだスタンピードにはならない。だから、スタンピードになる原因を探して排除して来てもらう。加護を持つ二人にしかできないことだ。………すまない。王命だから、逆らうことはできないんだ」

俺とアイリス様は加護持ちです。

加護を持っているのは、この国には俺とアイリス様しかいません。

アイリス様を危険に晒したくはありませんが、王命には逆らえません。

ふとアイリス様の方を向くと、真っ青になって絶望の表情をして、ガクガクと震えています。

いつも顔色をあまり変えず、自分の身を大事にしないアイリス様が………怯えています。

「アイリス様」

「セルジュ………セルジュ、死ぬな。死ぬな。死ぬな……っ!!」

「アイリス様?アイリス様!!」

「死ぬな死ぬな死ぬな死ぬな死ぬな死ぬな死ぬな!!」

アイリス様は突然、壊れたみたいに死ぬなと繰り返し、その瞳は俺の名前を呼ぶのに俺をみてはいませんでした。

そして………。

「嫌ぁーーーッ!!」

悲鳴をあげたアイリス様は気を失いました。



それなのに、翌日。

準備を済ませた俺とアイリス様は、スタンピードの原因があると予想される森に行くことになりました。

一刻を争うことだからとはいえ、アイリス様の精神状態は未だに良くないのに………。



アイリス様の震える身体を抱き締めても、アイリス様の震えは余計に酷くなるばかりでした。

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