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15◆ダクラス視点

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シアンに注意をされて、渋々始めたルーナの運動。

運動中は抱っこができないし、密着率もかなり低下する。

せいぜい、ルーナの両手を私の両手で繋ぐまでしかシアンは許さなかった。

なにもそこまで厳しくしなくてもいいじゃないか!

30分も両手だけだなんて、なんという拷問だ!

しかし、シアンはルーナの身体に良くないと力説して譲らなかった。

百歩譲って、ルーナの足腰が弱るのは………むしろ大歓迎だ。

ルーナが自力で歩けなくなったら、ずっと私から逃げられないということになる。

………なんと素晴らしいことか。

だが、ルーナが病気になるのは大反対だ。

もしも、また失ったら………もう私は生きていられない。

失った瞬間に、私の命も終わりを迎えるだろう。

失わないように、私はルーナの運動を毎日必ず30分はしなくてはいけない。

ちなみに、何故30分かというと、シアンは1時間を指定していたんだ。

だが、私が10分にしろと抗議した。

口論になって話し合いの結果は、間をとって30分にしようとなった。

毎日30分、私は試練に耐えなくてはならない。

だが、いざ始めてみるとちょっとだけ楽しかった。

ルーナの視界には私しか写っていなくて、歩く足も私に向かって歩くんだ。

そして、終わったらルーナにマッサージをしてやるんだが………どこを触ってもマッサージだからと言えばルーナは信じてくれた。

実際には………。

「パパ、そこ胸だよ?」

「胸もちゃんとマッサージした方がいいんだよ」

「そうなの?」

「そうだよ!これはマッサージだよ!」

マッサージとはまったく関係のない部分もたっぷりモミモミした。

私のマッサージで、触っていない部分はない。



そういえば、ルーナの敬語が抜けてきたんだ。

なかなかいい傾向だと私は思うぞ。

もっと私になついて、もっと私に警戒心を無くして、もっと私に甘えて、もっと私を好きになって………。

そうしたら、やっと私はルーナを美味しく頂ける。

本当は今すぐ抱きたいけど、ルーナに嫌われたり怖がられたりしたら………もうおしまいだ。

もしもそんなことになったら、もうルーナと二人で心中するしかない。

だから、慎重にしなければ。

私は、ルーナと一緒に死ぬ未来よりも、ルーナと一緒に幸せに生きる未来が欲しいから。

だから………ルーナ………私を愛して。
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