涙の悪役令息〜君の涙の理由が知りたい〜

2◆タナトス視点

私はタナトス・リエリル。

公爵家の次男で、学園では2年だ。

この学園には、悪役令息と言われる悪逆非道の令息がいる。

彼はルミナス・アルベラ。

同じ2年で、公爵家の長男。

ルミナスは、平気で人を虐げて楽しそうに笑うんだ。



「平民は地べたに這いずっているのがお似合いだよ！あはは！」

平民の生徒を足蹴にして、高笑いするルミナス。

そんなルミナスを皆嫌っていた。

権力がある故に、誰もルミナスの迷惑行為に立ち向かえない。

ルミナスの婚約者の王太子サファリス殿下の注意も聞く耳をもたない。

「卑しい平民を虐げて、何が悪いの？うふふ」

悪を悪と思わぬその態度。

しかし、私はいつも思っている。



どうして君は、いつも泣いているのと………。



ルミナスは、悪行をするとき必ず泣いている。

楽しそうに笑っていても、涙が溢れ続けている。

どうして泣いているのかわからない。

泣きたいのは、虐げられている側だろう。

なのに、どうして虐げている側の君が泣いているの？

私はルミナスが気になって、いつもルミナスを観察するようになっていた。



そして………みてしまった。

ルミナスが、自殺しようとする姿を………。