3 / 3
第二話 王都
しおりを挟む「ね?使えるでしょ?」
「な、ななななんだこの魔術は!?」
ミリーの時が感動だとするならば、今は驚愕だろうか。
審査員の驚愕の変顔を見てミリーはそれ見たことかと胸を張ってドヤ顔する。
「ところで、これなんの属性かわかります?魔術全書にも載ってないんですよね」
「いえ…わかりません。氷魔術など聞いたことも…」
審査員は少し思案して、しばらくしてから口を開いた。
「失礼な態度をとってしまい、申し訳ありませんでした。ですが、魔道具に反応がない以上、規定にのっとり魔術レベル0という判定になってしまいます」
うーん。こればっかりはどうしようもないみたいだ。仕方ない…か。
「わかりました。謝罪と、判定を受け入れます」
「ですが、これは明らかに異例の事態となります。ので、おそらく妹さんと同じく魔術学園に入学されることになるでしょう。おそらく、観察対象としても」
この国に生まれて本当によかったと思った。なぜなら、唯一この国は国民の法律の範囲内で自由権が認められているからだ。
おそらく、隣国のリーヴァル魔帝国では即刻実験対象にされていただろう。
ぶるッ!
この後、審査員から両親への説得があったが戦争に参加義務で両親が渋り、王宮から学園生の内は戦争参加義務免除という特例で俺たちは名門、ルナホーク魔術学園に入学することになった。
俺達の入学は大方確定しているようだが、一応、現段階での実力確認や人格、クラス選考での参考に入学試験は受けなくてはならないと言われた。
それくらいならいいだろう。
二人とも、魔術全書は全て理解しているため学力テストの方は問題ないだろう。魔術の扱いには高度な数学知識が必要だからだ。
特に準備することなく、入学テストの日が訪れた。
過疎村のくせに王都から徒歩で行ける距離にあるので全寮制とは言え、気軽に帰ってこれる。
そのため大それた選別会などはしなかった。
そもそも今日は試験を受けるだけで受けたらすぐに帰ってくるのだ。
さあ、これからミリーは期待の魔術師。俺はよくわからない観察対象になるわけだが、
「緊張してるのか?」
「ちょっとね。ミリーはお兄より頭が良くないから…」
「心配すんな。お前の学力なら余裕だよ。実力の方は…言うまでもないか」
そう言って頭を撫でてやると嬉しそうにはにかんだ。
愛い奴め。
「そろそろ行くか」
「うん!」
両親はあえてついてこなかった。
普通に王都が怖いそうだ。
◇◇◇◇
「魔術レベル0ぉ~?そんなやつ入れてなんになるんだぁ?」
「なんでも、未知の魔術を使うようだぞ。王国側からすると観察という意味もあるそうだ」
「ふ~ん」
未知の魔術を使う魔術レベル0の少年か。使えそうなら引き込むのもあり…か。
むしろハードルは低そうだなぁ。その辺は学園の対応しだいだが、孤立したら余裕だな。こっちからそう仕向けるのもいい。
「何にせよ。今年は粒が揃ってる。賑やかな年になりそうだ」
王都では影で良からぬ勢力が働いていることは王宮にも報告が上がっていた。
今は停戦中とは言え、国境では小競り合いがしょっちゅう起こっている。
そのため、各国のスパイがそれぞれの魔術学園に潜り込むことも少なくない。
学園はすでに、戦場でもあった。
◇◇◇◇
「すごいなぁ、妹よ」
「うん。あんなに近くにあったのに初めてなんて、不思議な感じ」
全くもってその通り。両親も行かず嫌いが発動して、ほとんど王都には行っていなかった。
ものすごい人波をやっとの思いでくぐり抜け、試験会場にもなっている学園に着く。
「「………」」
声が出ない。本当にそれほどであった。王宮と同じくらいあるのではないだろうか。
これでもかというくらいに装飾された豪華な門の先に広がる馬鹿でかい中庭。
池とかもあるんだが。
そして、なにより門についてある結界。魔物や魔族を入れさせない類のものらしい。かなり頑丈に出来ており、これだけなら国境のものと同等レベルだった。
妹も圧巻されている様子で、放心状態であった。
中で受付を済ませて受験番号カードを渡される。
0056
0057
受験者千超えとは…確か、入学定員は200人だったはず。
そう考えると悪いことしているような気分になるな。
なんにせよ、試験には全力で取り組もう。
多分。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる