暗殺者を極めたら職業が【死神】になってた件について

斎宮蓮太郎

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02 心配された

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俺はこの現象を聞いたことがある。


『異世界転移』


最近話題となっているライトノベルというジャンルの読み物によく題材にされているものだ。


ある人物が何らかの原因により、召喚なり神に拾われたなりされ、地球とは全くことなる世界に転移する話だ。


ただこの場合、もどきということになるのだろう。俺は何故か若返っている。
若返っての転移がないわけではなかったが、異世界転移の直意とは若干語弊があるため一応もどきとしておこう。


何かに転移させられたか、時空の空間が裂けてとか。非現実の根拠を非現実で説明するのはある程度の常識を持った俺には難しい。
そもそも俺は神を信じていない。信じていたら人を殺すことを生業にしていない。生きるために必要だったとはいえ結局それで生き延びたところで何一つやりがいを感じていなかったし、むしろ肩身の狭い思いをしていた。


だが、こうなったら信じるしかないだろう。
神はひとまず置いておくとして、この非現実は現実だと認めるしか。


「お兄さん、ここってどこかわかる?」


  ◇◇◇◇


話を円滑に進めるために、記憶が一部喪失しているということにしておいた。
言っても信じられるとは思えないし、もとより言うつもりなどない。


この街はバーグハイツというようだ。大陸の中で最大の領土を持つローミル王国の要塞都市らしい。また、話を聞くと国王や貴族がいるようだ。まるで中世のヨーロッパである。


また、これもよくわからないが職業というものがあるそうでこれは生産者ギルドや冒険者ギルドで見れるらしい。
職業というのは本当の職業のことではなく、ステータス上の特性のようなものらしい。
それぞれの職業によって職業スキルを獲得できたり、身体能力が変化したりするようだ。スキルは自分の技術や才能が目に見えたものだ。


正直、生産者で成り上がるのは好ましくない。第一、誰かに教えてもらいながら何年も修行するのは現実的でない。あくまで俺にとってはだが。
よって、俺は冒険者ギルドに入ることにした。幸い、ギルドには12才から登録できる。今の俺の見た目では15、6才かそこらだから問題ないだろう。

世界規模である冒険者ギルドは
常に命を張る危険な仕事だが、暗殺者をしていたときに比べてリターンが大きすぎる。今さらこれに乗らない手はないだろう。


「それにしても、このへんでら見ない服装だな。生地も上等なものだ。もしかすると、お前は他国の貴族かもしれんな」


おっさん――ムルドは少し思案したような表情をして言った。


「貴族ではない気がするけどなあ。あ、これからギルドにいって登録したいんだが、場所を教えてほしい」

「危険だぞ・・・といってもお前は素手で魔物を倒しすんだったな。しかも職業なしで。ギルドには案内してやろう」


と言って連れてこられたのはなかなかどうして立派な施設だった。お世辞にも豪華とは言えないが、頑丈な作りになっており、おそらく戦うところもあるようで、よくできていた。


「すごいな、ここは」

「そりゃそうだろう。ここいらじゃ一番大きなところだ」


ムルドに連れられて中に入る。中は屈強な男や軽装で身軽そうな男、大剣を持った女など、容姿は様々なれど皆戦闘服をきた人達で溢れていた。
場違い感さえ感じるが、俺の血濡れた白シャツを怪訝そうに見るだけで何もしては来ない。

それどころか、ムルドを見ると何やら畏まった表情になり、怯えさえ伺えた。ムルドは中々有名人らしい。


「あら、どうかなさいましたか?ムルド様」


気づいた受付嬢の1人がムルドに話しかけた。


「ああ、こいつの冒険者登録を頼みたいのだ。少し訳ありでな。実力は保障しよう」

「とすると、その服は…」

「返り血だ」


すかさず俺が答えると少し驚いたような表情になった。怪我をしていたと思っていたのだろうか。


「こいつは職業の恩恵をう受けることなくウォレストウルフをソロで倒している。これが魔石だ」

「!?職業の恩恵なしでですか…見たとこ
ろ、力はそれほどなさそうですが」

「まあ、運が良かったんだよ」


とりあえず誤魔化そう。少々目立ってしまっているようだし。元々の視線の原因はムルドにあるが。


「ですが、職業の恩恵なしとは珍しいですね。拝見したところ、既に成人はされているご年齢だとお見受けしますが」

「だから訳ありなんだ。聞かないでくれると有り難い」


受付嬢は少し思案する様子を見せ、その後俺たちを別室に移動させた。


「では、ステータス確認を行います。ご本人しか見えませんのでご安心ください。こちらの水晶に手を触れていただけますか?」

「ああ」

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