清純派彼女には秘密なんて無い、よね?

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
9 / 25
2

8

しおりを挟む

「(茉莉花まりか、驚くかな)」
珍しく19時の定時きっかりで終業した俺は、帰る連絡もせずに家路を急いでいた。
 いつもは会社を出るタイミングでチャットアプリにてお知らせをするのだが、まだほんのり明るい空に見惚れていて連絡するのを忘れてしまったのだ。
 気付いたのは車のエンジンをかけて出発した時だった。家までは一本道だが交通量もある国道で、一度逸れるとなかなか本線に復帰できない。帰る連絡を打つためだけにコンビニなどに避けていては帰宅時間が遅れてしまう。ならば流れに乗りつつそのまま帰ろうと考えた次第である。

 茉莉花は今日は休みで、晩ご飯の準備をして待ってくれているはずだ。
 サプライズで帰宅して驚かせよう。なんて浅はかだけどちょっとしたイベントを盛り込んでみようと画策した俺は、スイスイと自宅マンションの駐車場へ到着した。
 オートロックエントランスを抜けて階段へ、マンションと言っても2階の賃貸部分が俺たちの家だ。いずれは分譲に移ったり戸建を買ったりとか考えてはいるが、立地的にも家賃的にも今の家がちょうど良いので先のことは未定である。

「(こっそり入ってみよ)」
いつもなら必ずチャイムを鳴らしてから鍵を開けるのだが、とことん驚かせてみたくて静かに解錠してみた。
 ガチャンとそれなりな音が鳴るから気付いて駆けてくるだろう…しかしポーチに入り靴を脱いでも茉莉花は出て来ない。
「(あれ?)」
 調理音で遮られるなんてこともあろうか、揚げ物をしてたら周りの音に気付かないものだ。
 俺は自宅にもかかわらず忍び足でリビングダイニングを覗いた。
「(…いない)」
 となれば寝室だな、調子が悪くて横になっているのかもしれない。しかし俺はここでひとつの可能性にじわじわ期待を寄せていた。
「(ひとりエッチとか、してないかな)」
 玄関の音が分からないほど没頭していたりして、あるいはイヤホンをしてAVを観ていたりして。当然その時の格好は茉莉花ご自慢のランジェリーだろう。
 俺に見つかり「きゃあ!」と恥じらう姿を見てみたい。
「(…やっぱり、)」
 俺がスキンを収めている引き出しは開きっ放し、箱は開いて1枚減っていた。つまりは茉莉花はそれを使ってコトに臨んでいるのだ。
 俺も1枚取ってポケットに忍ばせる。

 そしてそうっと抜き足差し足で寝室方面へ、開けっ放しのドアに近付けば…ブオンブオンとモーターの音がした。
「(当たり)」
 寝室のドアはベッドの足側側面に位置しており、廊下から横たわる茉莉花の脚が確認できた。
 座りではなく完全に寝ているみたいなので、低い体勢で入ればこちらに気付かれない可能性が高い。
 ばくばくと高鳴る心臓、ゆっくり這って寝室へと入る。
「あ、ぁ~♡らめ、あ、あん♡」
「(めちゃ喘いでる…)」
 俺とのセックスと変わらないくらい派手に吠える茉莉花は、腰をぐねぐねくねらせては仮想パートナーを拒んでいる。まぁ予定調和というか様式美というやつか。「いや」と言いつつ強引に襲われるシチュエーションに酔っているのだ。
「あ♡そこぉ、らめ…そらくん、出る、れちゃう、う、」
「(相手、俺だった)」
 そりゃそうだろうがひとまず安心。他の男に襲われる妄想で濡れてるならそれこそ折檻せっかんものだ。
 しかし「出る」とは潮のことか、茉莉花のオナニー暴露からひと月ばかり経つが潮吹きは未だ経験していない。茉莉花は事後に「床を拭いてて虚しくなる」なんて言っていたが、それは愛液だけではなく自身の潮の後始末をしていたということだろうか。
「(見てみたい…)」
 AVみたいにぴしゃぴしゃ噴くのか、小便みたいにちょろちょろ流すのか。
 きっと茉莉花もそろそろ俺から帰る連絡が来ることは予測しているはずだ。夕飯を温め直したりする作業時間を考えると、ぼちぼちフリータイムの終わりを頭に入れつつクライマックスへと駆け抜ける時間帯だろう。
「そら、くん…あ、すきぃッ♡すき、ん~」
「(エア俺、めちゃ愛されてんなぁ)」
 俺に嫉妬するのもおかしな話だが、いざ茉莉花が想像上の俺に責められているところに出くわすと何とも言えない気持ちになる。
 果たして俺は茉莉花のバーチャル空よりも大切に彼女を抱けているだろうか。俺にして欲しいプレイをバイブにさせているのか、それとも俺にはして欲しくないからバイブを働かせているのか。
「(前までは優しいばっかりだったんだよな、今はちょいSな感じ)」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

処理中です...