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しおりを挟むあのデートから数週間。
僕らは予告通り動物園デートを敢行した。
「やっぱりプラプラはしてないわね…見て、悠希斗くん」
「ソウデスネー」
巴先輩は周到に双眼鏡を用意していて、柵の中の可愛いポニーの腹を追っては残念な報告をしてくれる。
何がプラプラってそれはもちろん生殖器のことなのだが、馬から鳥からオランウータンまでざっと観察してみたが…モノを目立つ形でぶら下げて生活している動物はいなかった。
生物において子孫を残すための生殖器は何よりの急所、可能な限り隠すか収めるかしておくのが当然だろう。
「必要な時だけなのね…人間も興奮してなければ目立たないものかしら?」
「いえ、人間は毛が生えてませんから…充分目立ちますよ」
「え、悠希斗くん、生えてないの?」
「訂正します、そこまで毛に覆われてないから、です…なんでそういうとこ中学生みたいな反応するのかな…」
当たり前に生えてはいるさ、でもそれで保護できるほど茂っている訳はない。
たぶんどれだけ伸ばしてもある程度のところで成長が止まってしまうのではないのか。
頭髪と成育ペースが同じならばもっと頻繁にカットせねばやってられないはずだ。
ちなみにだが、僕は資料をもとに昨晩下の毛の刈り込みを行った。
あくまで薄くするだけ、女性はハートとか模ったりする人もいるそうだが男でそれは無いだろう。
「(今日…見せるとも限らないんだけどね)」
街はクリスマスムードが強くなって動物園でさえ赤と緑の飾り付けが増えている。
この機に乗じて仲が発展するかもしれない、しなくても見せたいという気持ちになるかもしれない。
巴先輩の方からあからさまに誘ってくるかもしれない。
「ふふっ、ねぇ、男の子は修学旅行とかで棒の見せ合いをするのかしら?」
「…どうでしょうね、僕が通ってた所は大人しい子が多かったのでみんな前を隠してましたよ。大学生ともなればほどほどに隠してスーパー銭湯とか行きましたけど…わざわざ友達の股間について言及しませんよ」
「なーんだ」
「する人もいるでしょうけど、少なくとも僕はそんな人と友達になりませんから…下ネタどころか、恋バナすらしたことありませんよ」
「友達いないの?」
「なんでそう極端なんですか。信頼できる友人はいますけど…これまで彼女がいた期間が短いもんですから、してもせいぜい『彼女欲しー』みたいな漠然とした願望くらいですよ」
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