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しおりを挟む「さっき動物園でも言ったけど…見せるにあたって交際を提案してくれた、そこで私のことを好きだったと言ってくれた、あの日からじわじわと…悠希斗くんへの情愛が高まっていくのが分かるの。夢にも出てきたわ、あの石膏像みたいにね。誠実な悠希斗くんには私、もったいない…痴女よ、仰る通りの痴女よ」
「落ち着いて」
「恥ずかしいわ、好奇心でこんな…恋人にこんなことをさせて…私、悠希斗くんにとって自慢の彼女でありたいと思ったのに…こんなポンコツ女ではお友達にも紹介できないわよね」
「それはこっちの都合ですから…あの、離して」
「嫌よ…触りたいの、恋人の棒だもの」
「はぁ」
ならせめて痛いことはしないで欲しいかな、自虐を振り撒いた先輩は真っ赤な顔で僕を撫で回す。
顔色が変わりにくいのは体質だろうが自分でもコントロールしていたのか。
今の先輩はポーカーフェイスなんてとても言えぬほどに感情が表情に載っている。
そういえば最近では学校にもしっかり化粧をして来るようになったもんな、それでいて赤面するんだから地の肌はもっと真っ赤なんだろうか。
「こんな…エッチね…ふー…ふー…」
「巴先輩、大学にもお化粧をして来るようになったのも僕に関係ありますか?」
「あるに決まってんでしょ…友人に言われたのよ、悠希斗くんからメッセージ着信があった時、私はひどく嬉しそうにしていたんですって」
「良いことじゃないですか」
「そんな、感情を悟られるようなこと…らしくないでしょう、もう笑われるのは嫌だもの…」
クールな巴先輩をデレさせたって僕は友人に吹聴したりしない。
それは彼女も分かっているし僕はその点も信用されているとは思う。
でもやっぱり恥ずかしいのか、先輩本人も見た目からのイメージに多少は振り回されているのか。
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