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しおりを挟む「巴さん、僕のコレ、何ですか?」
「は?ペニ…す、でしょ」
「何ですって?」
「ぺ、にす、でしょ」
「ハッキリ聞きたいなぁ」
「何度も言わせないでよ、そんなの」
「単語は恥ずかしくないんでしょ?ね、巴さんが僕に『見せて』ってお願いして来たコレ、何ですか?」
「…悠希斗くん、意地悪ね」
「何でですか…腐るほど言ってたのに」
「…ペニス…よ……あの、ごめんなさい、今日は恥ずかしいわ」
あぁ陥落、すっかり大人びたメイクの顔を隠すその手までが愛おしい。
やはり心持ち次第なんだよ、言葉には意味を込めなきゃ伝わらないもんだ。
気持ちを込めれば平仮名ひとつだって意味を成す。
いじらしい手を捕まえて潤んだ目を追いかける、
「巴さん、僕のコレ、何だっけ」
としつこく尋ねた。
「ペニス、悠希斗くんの、ぺに、す、もうやめてよぉ」
「どうなってます?色は?形は?」
「どうって…ひ、皮膚の…黒っぽい…赤黒くて…あ、剥けて…ネットの写真で見た、かたち、」
「完成形ですね…ウォームアップ万端ですよ…巴さん、良いですか?」
のぼせた巴さんは汗だくで「良いわよぉ」と返事して、体を拭いてベッドに向かうまでに僕は何度も問答を繰り返した。
「いい加減にしなさいよ、悠希斗くん!何回もペニスペニスって、言わせるたびに羞恥心が飛んでっちゃったじゃない!」
「本当だ、残念だなぁ」
「まったく…せっかく乙女っぽく振る舞えてたのに」
「免疫力が強いんですね。慣れって怖いなぁ」
とはいえその身体はまだガチガチに強張っている。
ベッドに押し倒してローブを開けば人形みたいに固まってしまう。
「巴さん、力抜いて」
「緊張くらいらするのよ、私でも」
「分かってます、僕だって緊張してますよ…そんなにキャリアがある訳じゃないですから」
巴さんかビギナーだから経験者の僕は辛うじて優位に立っているだけ、僕がやたら饒舌になるのは自信の無さを誤魔化すためでもある。
解せば痛みは少ないのか、一思いに貫いた方が良いのか。
巴さんを不安にさせないようオロオロしたくないから見えないところでため息を吐いた。
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