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3・いけない管理職
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しおりを挟む「んッ…はぁ…常盤、ふロあちょ、う♡いけない管理職ですねぇ♡ん、ン♡」
「その管理職のちんぽを旨そうに食ってんのは…どこのフロア長でしょうね、え、あ、」
大人気ない俺たちは、従業員駐車場の隅に停めた俺の車の後部座席でコトに及んだ。
目隠し代わりのフェンスに前向き駐車、後ろ2つの窓は濃いめのスモークフィルムを貼っているので回り込んで覗きでもしない限り中の様子は見えやしない。
言い訳させてもらえばこれは単なる日除けのためであって、車内でいかがわしい行為をするための措置ではない。
さて昨夜されたばかりのフェラチオを早速おかわりしているのだが、昼間の彼女はより気を許してくれたようで、はぐはぐ口に含みながらもお喋りをしてくれる。
「ん、私で、興奮、して下さるのがッ…嬉しくって…はァ♡」
「美味しいか?」
「はいッ♡美味しい、です、あぁすみません、端なくって、」
ぱさと落ちてくる髪の束を掻き上げて耳に掛ける、女性のこの仕草というのはどうしてこうも男の欲情をかき立てるのだろう。邪魔になるからと最初から張り切って結っておくのも良いだろう、しかし俺は闘牛の牛みたいなもんで揺れる髪だったり尻だったりに惹かれるというか女性の頑張りが見て取れるので好きなのだ。
「正直でっ…イイ、な…改めて、職場で笹目さんを見て、んッ…可愛くて、ドキドキ、したッ、はァ…気持ちぃ…」
「嬉しい、れすッ♡は…ん、常盤ざん、頭、押さえて、良いです、んッ♡んッ」
これも仕込まれたのか悔しいなぁ、けれどこれで悦んでしまうのだから俺もしょうもない。
仕返しされたくていたずらを仕掛けたのか、だとしたら相当なマゾだな、好きで食っているくせに辛そうな顔をする彼女が憎らしい。
「あー、すげ、笹目さん、あ、イく、出ちまう、」
「ん、ん、」
「離れて、ダメだって、笹目、あ、あ」
明るいうちから車内フェラチオは刺激が強過ぎて、始めてそう経たないのに決壊が近付いていた。
しかし口内に発射するのもどうだろうね、ティッシュの備えはあるが可哀想な目には遭わせたくない。
半端なSの俺はモノを抜こうとするも、食らい付いた彼女が放してくれない。
虐めて欲しい君と虐めたくない俺、俺の方が責められてる気分でどうもおかしい…こんなことを考えているうちはまだ修行が足りないのかな、文字通りの逃げ腰を小刻みに揺らせば車もゆさゆさ横揺れした。
「んン♡」
「あッ、良いの?出る、出るッ」
そしてグレーの天井を仰ぎ手に力を込め、
「ごめん、ごめん‼︎っっあ♡♡♡ゔあ、あー♡♡♡…」
とそれなりに雄々しく果ててしまった。
「ん……ゔえ…」
「出して、ごめん…笹目さん上手だな…いや、ごめん」
ばくばく高鳴る心拍を感じつつその余韻に浸れないのは少々癪だ。
けれど俺の子種を口に含む彼女を楽にしてやりたくて、座席の後ろに吊るしてある物入れからティッシュを引き出し彼女の口の下へ持って行く。
「出して、飲むな」
「ん…べぇ………ん…白い、でふね…」
とろり山芋のように粘り気のある液体が俺の手の上に戻って来る、味はお気に召さなかったのだろうか彼女は「失礼します」と告げて舌をティッシュへ擦り付けた。
「…ごめん、苦いよね」
「そんなに謝られると…困ります」
「え、あー…そう?まぁそうか、笹目さんからしゃぶり付いて来たんだっけ」
「違います、常盤さんからお願いされたから……あの、そろそろ名前で…呼び合いませんか?」
「そうだね……水蓮…、水蓮、」
「はい……拓朗さん」
「呼び捨てで良いのに」
「いえ、趣向ですので」
「あぁそう」
俺より下に居たいんだね、ひぃ様と育んだ価値観は崩れることは無いんだろうな…それは寂しくもあるが喜ばしくもある。
仕事で人の上に立つ彼女も好きだが、俺の後ろに控えめに立つ彼女も好きなのだ。誘い受けのようにエッチなトラップを仕掛ける小悪魔的な彼女だって当然好きと思えた。
俺も勝手なもので、弁えた女は好きでも抑圧された女は好きじゃない。繋ぐのは好きでも縛るのは好きじゃない。
これはワガママなのか、しかし俺と同じ想いの男は幾人かはいるはずだ。合意してるけど『嫌がってみたい』『無理矢理にされてみたい』、女性誌の読者の声アンケートでそんな記事を読んだ覚えがあるのだ。
こちらだって本気で嫌がられれば引き下がるが、バラエティにおける『押すな押すな』ノリみたいなことがセックスでも起こっているのが現実である。
要は女性側からグイグイ来られ過ぎると男として立ち位置が分からなくなるんだよなぁ、なので適度に控えめで適度にエッチな女性が良いなぁ、俺のワガママなので言いはしないが。
「…昼メシ…は…いいか…腹一杯だわ」
「でも体力付けないと」
「良い、弁当っつってもビスケットだ、栄養補助食品」
管理職になってすぐの頃は緊張で食事が喉を通らなくなって、休憩といえば携行食をサッと腹に入れてお終い、それが2年ほど今も続いている。もう普通の食事が摂れるはずなんだけど、舌が乾きに慣れてしまったので今さら水気のある物を食べるのが気持ち悪い。
「まぁ…相変わらずですね、よろしければ作って来ましょうか?」
「周りにバレちゃうだろ…社内恋愛は何かと…都合が悪い」
「んー…まぁそうですか」
禁止はされていないが周知されていると万が一に別れてしまった時に気を遣わせてしまう。後戻りできない婚約とかでもしない限り公にしないのが暗黙のルールである。
「堂々としたいけどね、まだ若輩だし…」
「分かります」
会社の敷地内に居る時は気を張り詰めていた、それが彼女と関わることで変わってきた。
私有地とはいえお天道さまの下でこんなことをするなんてちょっと前の自分では考えられないな、よく働いた彼女の唇を指で撫でて背中を曲げる。
「水蓮は食べて来なよ、午後からも長いんだし」
「えぇ、それでは…また、」
「あぁ、また」
軽くキスをして、彼女は人気を確認しつつ店へ戻って行った。
当たり前だが表面だけの口付けでは精液の味なんて分からなかったし確認できたのは温もりと彼女への愛しさだけ、そして賢者タイムと同時に罪悪感が湧き上がる。
俺は恋人に対して紳士だと思っていたし酷い男だなんて言われたことも無い。
過去の恋人と別れた理由は『ケンカ』と『すれ違い』と『転居による交際解消』などで、別れ話になれば「あぁ、はい」と双方納得してすんなりサヨナラしていた。どちらかが縋ったり復縁を申し込んだりなんてことも無い、互いの愛情は同じ分量ずつ交換していたと思う。
なので水蓮を下に置いて序列を作るなんてことに遅ればせながら心身が嫌悪感を示し出していた。
「…尽くすだけなら良いんだよ、従えたいなんて思ってない…あー…」
対等な立場でイチャイチャすれば良いんだよ、でも彼女はもっと強く捕まえてもらおうとしている。
本当に俺の方が虐められている気分だ。
こんなこと誰にも言えないし言ったって分かってもらえないだろう、俺だって同じことを聞かれたら自身の趣向はさておき「従順な彼女で良いじゃないか」と答えるだろう。
彼女のことは好きだ、俺は彼女のして欲しいように『ご主人様』になれるのか、ならねばならないのか、悩んでいると腹がぐぅと鳴った。
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