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6(最終章)
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しおりを挟む「栞さん、今日、素っ気なくて寂しかったですよ」
「そうですか?普通でしょ…ちょっと、」
今夜も航介さんの自宅で、我々は仲良く夕食を囲む。
彼は昼間の態度があんまりだと、コタツの中で私の脚をぷにぷに踏みつけていた。
「そろそろうちに…越して来ませんか?」
「まだ付き合ってひと月ちょいですし」
「長さじゃないですよ、濃さと深さです」
「でしょうけど…」
「僕ら、合ってますよね、ね?」
何とも思ってないところから好感を持ち想いを通わせ体を重ね…濃縮タイプな私たちの恋愛は長さの割に確かに深いのかもしれない。
彼は私を追いかけて表向き下手に出て、私に「やれやれ、仕方ないなぁ」と押し負けた形でことを治めさせようとしている。
そうすれば私は「航介さんが諦めてくれないから」と彼に責任を押し付けてしぶしぶ了承できるのだ。
愛され求められるのを甘んじて受け入れる私、そして押しの強い彼。
航介さんは未だ敬語は抜けないものの、もう私との会話で吃ることは無くなった。
というか、よくよく聞いてみれば私との会話でしか吃っていなかったらしい。
「そんなに私が恐かったのか」と問えば「好きだから緊張するんですよ!」とのことだった。
でも仲良くなってしまえば緊張もしないし気も大きくなるし、なるほど彼は根っからの小心者でもないみたい、普通の人だったらしい。
「合って…ますかね」
「そうですよ。そろそろご実家にご挨拶させて貰いたいですし」
「早い早い」
「僕は対外的に気が弱いですから、勇気を出せず諦めてきたことは結構あるんです。でもこうやって栞さんと仲良くなれて自信になってるんですよ。栞さんが僕を強くしてくれてるんです」
「口が上手いんだから」
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