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しおりを挟む「航介さん…宇陀川さんのこと、イメージしたんじゃないですか?」
「あ、」
彼は紅から一転蒼に顔色を変えて、目を閉じ私の尋問から逃げた。
喋り方や物言いから匂う妙な嫌悪感、キモいとか可笑しいとかではなく不愉快な上からおちょくるあの感じ。
そうかさっきの航介さんには宇陀川が透けて見えるみたいだった。
これを婉曲して伝えようと思ったのだが割とストレートにぶつけてしまった。
「航介さんは宇陀川さんのことダンディーだと思ってたんですね」
「…宇陀川さんはそう自称してるから…つい」
「航介さんって、あの人よりちょっと歳上ですよね」
「そうだけど、僕は渋みとかまだ足りないから…変な演出しちゃった…すみません」
「……」
どうしてくれようこの空気、いや私が笑うのを我慢すれば良かったのか。
でも最中に宇陀川イズムを感じて気分が悪くなっていたらそれはそれで大変だったか。
「栞さん…?」
主導権は私にあるみたい、やめるか続けるかは私に委ねられているようだ。
もう裸だし泊まる気でいるし、ラストチャンスに賭けてみようか。
セックスの善し悪しなんて分からないし、悪ければまた指摘すれば良いのだし。
「…航介さん、普通に…私、ダンディーさとか求めてないので…すみません、セリフみたいにされちゃうと笑っ…いえ、お、可笑しくって」
思い出し笑いで肩が揺れる。
それを逞しい腕が掴んで再びシーツに押し倒す。
目の前の丸い瞳に私が映り込んで、確認できるくらいにぴったりくっ付いて
「もう…忘れて下さいよ」
と私の視界を塞いだ。
「…は、い…」
「普通に…します」
「はい…」
「栞さんッ…い、挿れますッ」
「それは言わなくても」
照れ隠しのツッコミに顔を合わせてふふと笑う、体を起こした彼の手元は敢えて見ずにその時を待つ。
「笑うとか…酷いなぁ」
「いや、笑いますって」
「ムードというか、情緒ってものがあるじゃないですか」
「そういうの好きなんですね」
「栞さんには、もっと明け透けな方が良いのかな」
「うゎ」
足首を掴んで高く持ち上げられて、つい声が上擦った。
そして渇き始めた所にちょんと当たって温かい感触がずるずると入って来て…
「はは、ずっぽしだ」
と航介さんが笑う。
「…ふゥ…」
「気持ち良いですよ、栞さん…あー…絡んでくる…」
「変なこと、言わないデ…」
「本音ですよ、気持ち良い…搾られる感じ、良いなぁ、クールな栞さんがこんなにトロトロになってるの…スケベで良いなぁ…」
「きも、い……あ、あ、」
結局のところ、気持ち悪い語彙のセンスは航介さん持ち前のものなのである。
年齢の割に下衆な表現、この後も伏せ字じゃないといけないような事をたくさん言われた。
私があからさまに引いたものだから彼は余計に奮い立ったみたいで、最悪これが最後でも構わないとフルパワーを使ってくれたらしい。
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