彼女は銀狼ギャル、ときどきコアラ

茜琉ぴーたん

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 ひとり暮らしのアパートへ帰宅してすぐに作業着を洗濯機に入れ、洗いも濯ぎも最低限のスピードコースでさっさと洗剤を入れて回し始める。替えの作業着はあるのだが日課のようなもので、夜のうちに干しておかなければ落ち着かないのだ。
 実際そこまで汚していないし臭いも無いはず、しかし客対応もあるためにそう不衛生にもしていられない。事実、車いじりに関係ないだろと1週間もツナギを洗濯しなかった先輩は客から嫌な顔をされていた。
 整備に性別など関係ない、しかし女性客からわざわざ指名を受けたり「女の方で良かった」などと感想を貰ったりすると、自分にもそれなりに役目があるのだろうと安心できる。

『おつかれ、もう帰った?』
秋花がおかずを温めていると、作業を終えた車崎からスマートフォンへメッセージが届いた。
『おつです。帰って、ご飯にするところです』
『またメシ行こうな』
 返信を読んだ秋花はスマートフォンの画面を2度見して、ぶふと吹き出す。
「………なんやコレ、可愛い…」
 業務連絡くらいでしか使わなかったメッセージに現れた突然の顔文字、その形が車崎の笑った時の表情によく似ていて…秋花はしばらく眺めてははにかんでいた。



 就寝前、秋花はメールチェックをしているとショッピングサイトからのポイント確認の旨が届いていることに気付く。
 貯まったポイントの失効期限が月末に迫っている、数百円分ではあるがもったいないとアプリを開いて欲しいものを思い出してみる。
「なんか…あったかな………もったいないな…」
 自分のもの、贅沢品、日用品、と考えているうちにふと「恋人へのプレゼント」などと普段考えもしなかった選択肢が浮かび上がった。しかし車崎の好きなものなんて車用品に決まっているし、イベントでもないのに贈り物なんて気恥ずかしい。
「いや、でもな……せや、パンツ、」
秋花は先ほど風呂に入った際に脱いだ下着から糸がほつれて出ていた事を思い出し、下着を新調するのが良いと着地する。
 中腰になってもパンティーラインが目立たない使い慣れたメーカーの3枚組ショーツを買い物カゴに入れて、関連商品で上がってきたランジェリーにもついつい目をやってしまう。彼女は可愛い下着でテンションを上げるタイプではないのだが、車崎というお試しではあるが恋人ができてしまった今、備えておくのも礼儀かななどと思ってしまった。
「えっろ、うわ…ちゃうねん、予備、シンタローさんとやのうて…普段よりちょい豪華くらいの…脇高は苦しいから…薄いやつで…」
 秋花は脳内ギャラリーに言い訳をしながら、装飾性が高く華やかな…普段使いにはセクシー過ぎるレースの透け感マシマシなブラジャー・ショーツセットをカゴに追加して勢いで購入確定を押す。
「ちゃうねん、ポイントがもったいないから。すぐ使うわけちゃうし、準備とかちゃうから、」
 ぐだぐだと独り言を言って気を紛らわす秋花、刷り込まれた車崎とセクシーランジェリーのイメージは深く深く彼女の意識へと潜り込み、夜から明け方にかけて夢となって現れるのだった。
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