君は、裸の王子さま—イタズラ御曹司は気弱な幼馴染みが欲しくてたまらない!

茜琉ぴーたん

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 そして、夜。
「…っア、あ♡」
「悠里、昨日より…柔らかくなってる…気持ち良い」
 清潔なシーツで、心平は悠里を抱いた。
 キスから愛撫、合体…と、なんとなくのフォーマットが出来上がりつつある。これを極めたり、変則的にしたり、イレギュラーを楽しんでみるのも良いだろう。
「しん、ぺい、く…んッ♡♡♡」
「あ、出ちゃった?」
「れ、ちゃった…」
「ん、じゃあ、僕がイくまで、頑張ろうね」
「ひゃいぃ」
 セックス中だけの心平のプチ俺さま感に悠里は痺れ、そのポテンシャルにおののく。
「(心平くん、一昨年、去年まではこんなじゃなかったのに。僕がタチになってたら、痛い目見てたかも)」
 心平の気弱なところや優しいところはそのままだが、彼も就職活動や悠里との駆け引きで鍛えられたのだ。ぽんといきなり変わった訳でもなく、少しずつ積み上げた自信や経験を表に出し始めたというだけなのである。
 ちなみに気弱さだって現役なものだから、悠里が不安そうな顔をすれば心平の腰は一瞬躊躇ためらい止まる。
 けれど昨日までとは違う、本心を窺い知るために絶妙に動きを続けて
「何か、考えごとしてる?」
とアプローチを掛ける。
「あ、ううん…ッ♡心平くん、カッコいいなって、思っ、あ♡」
「ありがとう、悠里も、カッコいいよ…あ、もう、イきそう…悠里、キスしよう」
「ふぁい♡」
 ぐらぐらと腹と脳が煮える。愉悦で視界はボヤけて、既に果てているから頭も舌も回らない。
 悠里は心平にガシッとしがみ付き、全身で熱情を受け止めた。
「ふッ…う、んッ♡♡♡んー……ん、ん……悠里、抜くね」
「うん……あのね、さっき…心平くんは頼もしくなったから、僕が抱く側にならなくて良かったなって、考えてたんだ…」
 クタクタのスキンを外した心平はキョトン顔で、しかし
「僕が抱かれる側だったら、どんだけ泣いてるか分かんないね」
と苦笑する。
「んー…僕が支配して、心平くんが従って、家庭教師の時みたいな…変な関係になってたと思う。そうならなくて済んだのは、心平くんがちゃんと抵抗してくれたから、僕を叱ってくれたからなんだ」
「そうかな?まぁ適性はどうか分からないけど、抱くからには強い気持ちであろうと心掛けてるよ」
「…ありがとう。僕ね、ワガママなお坊ちゃんだからさ、これからも迷惑掛けるかもしれない。でも、心平くんのことはずっと大切にするから。離さないからね!」
「ふふ、うん、お願いします」

 初体験という山場を超えた二人は、ひとつ大人になった。絆は強固になり、それ故に離れがたく淋しくなる。
「ずっと、一緒に居たい」
「…この近くに就職しようか?」
「そ、そんなの悪いよ、僕が卒業したら地元に戻るんだし」
「だよね」
 ボケでも冗談でも、提案してくれたのは嬉しかった。心平が都内に就職するのは無いことではないが、地域を絞ってそこから希望業種を探すのは現実的ではない。
 将来的に家業を手伝って欲しい願望はあるものの、悠里の父もまだバリバリだしそこまでの融通は利きそうにない。
「…僕が帰るまで…浮気、しないでね」
「僕、ちゃんとした恋愛感情抱いたの悠里くんが初めてだからなぁ…悠里くんを上回る魅力のある人、地元には居ないと思うなぁ」
「居ても居なくても、しないでよ」
「もちろん…悠里くんもね」
 実は心平は、午前中の買い物帰りにこっそりジムを覗いていた。
 明り採りのために全面ガラス張りで、しかしトレーニング風景が外から見えないように床から2メートルほどはステッカーで隠してある。入り口は受付が見えるようにそのままのガラス戸で、そこから心平は中の様子を窺ったのだ。
 覗いた時、これからなのか終わったのか、若い女子に受付の悠里は話し掛けられていた。心平の気配にも気付かないくらい、にこやかに談笑している風に見えた。
 心平はモテない男子の本能で、女子が積極的に攻めている雰囲気を察した。目線や仕草から、悠里を落としに掛かっていると感じたのだ。
 悠里はイケメンだし実家がお金持ちだしモテる、自分の恋人が他の人間にアプローチされているのは気分が悪かった。そんなことがあったからこそ、今夜の心平はオラオラ度をちょっぴり上げて"君は僕の男だ"と顕示した訳だ。
 悠里にしてみれば言い寄られるのは日常茶飯事で、特別珍しいトピックでもないから口に出さなかっただけなのだが。
「うん?僕は心平くん一筋だもん、知ってるでしょ」
「知ってる…でも、気を付けてね」
「うん。ナンパのあしらいも慣れてるよ。野心持ってる女の目付きって恐いんだ、大学では気の合う友達が出来たからそいつらとつるんでるから安心して」
「…その子たちに惚れたりとかは?」
「…そこにまで嫉妬するの?どうしたの、心平くん」
「ううん、僕より悠里くんの方が圧倒的に浮気チャンスはあるんだよなって思ってるだけ」
 「する訳ないじゃん」、そう言って悠里は用意された心平の腕に首を乗せる。
「僕だって、心配してるんだよ。悠里くんはカッコいいから」
「顔は生まれつきだから仕方ないじゃん」
「全部だよ、体つきも、その余裕も。あと、抱かれてる時は可愛い」
「…心平くん以外には見せないから大丈夫だよ」
 浮気する・しない論争は互いを持ち上げヨイショし合う褒め合戦となり、可笑しくなった二人は裸で笑い合った。

 結ばれたてカップルの蜜月はこのように微笑ましく、そして情熱的に過ぎて行く。
 その後も心平は悠里宅に入り浸り、留守を守り、せっかく会員権があるからと下の極ジムで鍛えたりもした。
 悠里は汗をかく心平の新鮮な姿に萌えて、また心平もキビキビ働く悠里の姿にキュンとなる。
 帰宅後は食事も摂らずさかり、来る前に買ったスキンは余裕で空になった。

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